『きょうもラジオは!? 2時6時 』~第54弾~

2022年9月8日午後2時30分、『本地洋一のハート相談所』 今年16回目の放送です。

今回の放送のテーマは前回に引き続き『メタボリック症候群』についてです。

本地洋一さん:前回は『メタボリック症候群』というのは、そもそも病気なのか?どのような症状があるのか?などをいろいろお話ししていただきました。

今回は、『メタボリック症候群』はその復習と『メタボリック症候群対策』についてお話しを伺っていこうと思います。

松尾仁司院長:『メタボリック症候群』、世の中ではメタボと略されてずいぶん浸透してきています。

リスナーの皆様も少し太った方に対して、“あなたはメタボですね!”などと言われているのを聞いたことがあるのではないでしょうか!

しかしながら、太っている人すべてが『メタボリック症候群』というわけではありません。

「肥満」とはBMI25以上はと定義されていて、その度合いによってさらに「肥満1」から「肥満4」に分類されます。

また、肥満には『皮下脂肪型肥満と内臓脂肪型肥満』の2種類の肥満があり、

皮下脂肪と内臓脂肪はそれぞれ違った性質を持っています。皮下脂肪はお腹をつまむとわかる脂肪で皮膚のすぐ下に溜まる性質があります。一方で内臓脂肪はお腹の中の臓器、腸の回りの腸間膜につく脂肪なので体の表面からはわかりにくいのですが、いわゆるポッコリお腹の方は内臓脂肪が多くついていると言われています。

『メタボリック症候群とは内臓肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさった状態をいいます』

厚生労働省のホームページを見ますと、『メタボリック症候群』の診断基準は

ウエスト周囲径(おへその高さの腹囲)が男性85cm・女性90cm以上で、かつ血圧・血糖・脂質の3つのうち2つ以上が基準値から外れると、「メタボリック症候群」と診断されます とあります。

『メタボリック症候群は動脈硬化のリスクを高めることが分かっています』

『メタボリック症候群』のなかでも、先ほど、内臓肥満、高血圧、高血糖、脂質代謝異常の4つの条件全て揃った状態を『死の四重奏』のと言い、心筋梗塞などの心臓病で死亡する確率が30倍高くなることが知られています。

本地洋一さん:心筋梗塞や脳卒中のような恐ろしい病気にかからないようにするためには『メタボリック症候群対策』が重要ということですね。

ということは肥満の改善、血圧や血糖値、コレステロール値のコントロールということだとおもうのですが、具体的にはどのように対策すればよいのでしょうか?

松尾仁司院長:『メタボリック症候群対策は生活習慣の改善が重要です』

高血圧症、糖尿病、脂質異常症は生活習慣病と言い、これらはその名前からも示唆されるように日々の生活習慣が深く発症に関係しています。

これらに対してはお薬で治療するというのはもちろんですが、本質的には生活習慣をしっかりと改善することが『メタボリック症候群』の治療のみならず、予防のためにも変重要となります。

本地洋一さん:私も、肥満に分類されているのでやせようとは思うのですが、なかなか難しいですよね! 世間には様々なダイエット法が出回っていますが、医学的にはどうなのでしょうか?

松尾仁司院長:肥満の原因は、食事などで摂取したカロリーが消費しきれずに脂肪として蓄積されることにあります。

・摂取カロリー < 消費カロリー ⇒ 痩せる

・摂取カロリー = 消費カロリー ⇒ 維持される

・摂取カロリー > 消費カロリー ⇒ 太る

また、いわゆる中年太りという状態は、加齢とともに基礎代謝が低下することが大きくかかわっていることが知られています。

『基礎代謝とは人が生きていくために最低限必要なエネルギーです』

『基礎代謝』とは、体温維持、心臓の拍動や呼吸など安静にしている時、つまり生きているだけで消費されるエネルギーで、相当するエネルギー量(熱量)は、成長期が終了して代謝が安定した一般成人で、1日に女性で約1,200、男性で約1,500キロカロリー(kcal)とされています。

この基礎代謝は、加齢とともに徐々に低下していき、1~2歳児の基礎代謝の基準値と比較すると、50歳代の方の準値は約3分の1になることが知られています。

つまり、10代の頃と同じ高カロリーの食生活を基礎代謝が低下してきた40代、50代でも続けた場合、摂取カロリーが消費カロリーを上回るため、消費しきれないカロリーが脂肪として蓄積されることにより太ってしまうということになります。

本地洋一さん:ということは、食事から接種するカロリーを減らすことが大切だということでしょうか?

『極端な食事制限はやめましょう』

松尾仁司院長:少し違います。極端な食事制限は一時的に体重を減らすことは可能かもしれませんが、人の身体は飢餓状態が続くと基礎代謝がさらに低下しより太りやすい体質になってしまいます。

吉田早苗さん:極端な食事制限ではなく、バランスの良い食事が大切ということですね。高カロリーな甘いものや、高脂肪の揚げ物を控えるといったことでしょうか?

『消費カロリーを増やすには基礎代謝を上げましょう』

松尾仁司院長:バランスのよい食事と同様に重要なのは運動習慣の継続です。

基礎代謝は筋肉量と密接な関係があります。筋肉量が多い人ほど基礎代謝が高いことが知られています。お散歩などの有酸素運動と並行して、筋力トレーニングを行った場合、筋肉量が5%、基礎代謝量が10%向上し、脂肪が5%程度減少するというデータもあります。

『継続は力なり』

運動を習慣として継続するには、いくつかのコツがあります。

・周囲の人に運動を継続することを宣言する

・玄関に運動靴を置く!しまわない!

・目指す姿の写真を張る

・近所の公園や運動施設を利用する

・テレビを見ながら筋トレを行う

あと、運動を楽しみにすることがポイントです。

ご夫婦で、あるいは仲の良いお友達と一緒に散歩することから始めてはいかがでしょうか!

吉田早苗さん:ありがとうございました。また、心臓や循環器疾患に対する質問やご意見などがございましたら、番組までドシドシとお寄せください。