心臓リハビリテーション部と看護師とで、当院独自のフットケアプログラムを開発しました。フットケア指導自体に診療報酬はつきませんが、患者様の健康のために貢献することを期待しています。

1) 対象

・機能的静脈不全

・下肢静脈術後

・外反母趾、開張足などの整形外科的問題

・深部静脈血栓後症候群

*フットケア外来指導

フットケア指導士看護師が中心となり、外来看護師全員でフットケア指導方法を行なっています。医師からのフットケアプログラムの意義、流れを説明し、患者様がフットケアを習慣として定着できるように寄り添います。

・初診時、医師診察、フットケア指導。むくみの原因をさぐり、フットケアの指導(ストレッチ、筋肉トレーニング、靴の履き方、歩き方)を行います。パンフレットに書いてある内容を確実に行ってください。ひとつひとつに重要な意味があります。時間、回数も大切です。

・1ヶ月後 外来診察を行います。その際には痛みなどの症状の2割程度が軽減します。このペースで継続しましょう。フットケア、ウオーキングの習慣が定着化しているかを確認、不十分の場合には、再指導を行ないます。

・4ヶ月後 症状、検査にて、自覚症状、浮腫の効果判定を行ないます。御自分でフットケア、ウオーキングを習慣化して行なうことができると私たちが判断した場合には終了とします。不十分の場合には、さらに定期的に外来診察、指導を継続します。

足そのものの筋肉(内在筋)と膝から足への筋肉(外在筋)の柔軟性と筋肉トレーニングをすることで、足部、膝下部分の柔軟性、筋力を高めます。扁平足、外反母趾、開張足などから本来あるべき足の形を目指してまいります。

歩行を30分以上週3回で始めて、できれば毎日行う習慣をつけることが重要です。

かかとを靴の後ろに固定して、足首を靴紐で閉めます。その結果、足の指先部分に靴のスペースができ、足指が自由に動きやすくなります。靴を履きやすくするため多くの方が、ひもをゆるめたまま履くため、つま先が靴先へ常にあたり自由度が効かなくなります。現代人のほとんどが、足先1/3が十分使用できずに堅くなっています。この履き方をきちんとするだけで、足指先のしびれなどなくなります。

患者様、クリニックの先生方へ

印刷してご利用ください。

✓フットケア

✓靴の履き方

機能的静脈不全25例において、CIVIQ14(QOL指標)では、pain, physical, phychoすべてにおいて4ヶ月後改善効果を示しました。(IRB2023030)

 

下肢静脈術後

手術治療により静脈の逆流が止まったとしても、そもそも静脈瘤になってしまうような生活習慣(長時間の立ち仕事、運動習慣がないなど)がもともとあったことが症状の原因のひとつと考えられます。手術後、症状が完全に消失しない、あるいは数か月後症状が再発する理由はそこにあります。

足が本当の意味で健康になるためには、ストレッチを行うことで足の柔軟性を改善することと足を使って筋肉を動かすことが解決策です。今日からフットケアを毎日すること、歩行を30分以上週3回で始めて、できれば毎日行う習慣をつけることが重要です。

術後6か月:外来診察を行います。症状が未だ残存し、運動習慣がついていない場合にはフットケアの再強化を行います。

Q & A

Q)歩け歩けと言われても、毎日、農作業をしている。営業で立ち働いている。それで十分だと思います。わざわざ別に歩かないとだめですか?

A)今までの生活を行ったうえでの足なわけですから、別のことを考える必要があります。足のための歩行をぜひ行ってください。時間を作り出せない人は、仕事中でも靴紐を正しくしめてスニーカーを履いて行動してください。安全靴でも靴紐の締め方ひとつで足先への負担は軽減します。

農作業の長靴は足先を使った歩行になりにくいため、足の筋ポンプにうまくつながる動きが難しく、また固定がないため靴の中で足が前ずれしてゆびがかがみやすくなる要因になります。

Q)歩け歩けと言われてもどのように歩いたらよいかわかりません。

A)心臓・肺によいと言われているのは、ご自分が、楽または少しきつい程度のスピードです。まずは習慣づけが大切です。脂肪を燃やす(減量)目標の場合には、歩きはじめ10分後くらいに体が温まります。その後5分間(きつめのスピード)、10分間程度ゆっくり歩く、の繰り返しを行ってください。きつめ運動の合計(60分/週)が、脂肪が効率的に燃える運動量です。

Q)歩け歩けと言われても膝が痛くて整形外科に通ってます。

A) 変形性膝関節症や脊柱管狭窄症などの整形外科的な問題をもともと抱えている場合には、整形外科の主治医の先生に、どこまで歩いたらよいかたずねてください。

また、固定が不安定な靴はさらに足部、膝や骨盤のずれにもつながりやすいので是非正しい履き物での生活をおすすめします。

Q)手術をしてもう症状はとれたんだからわざわざフットケアなんてしなくてもいいと思いますが?

A) 手術治療により静脈の逆流が止まったとしても、そもそも静脈瘤になってしまうような生活習慣(長時間の立ち仕事、運動習慣がないなど)がもともとあったことが考えられます。手術を受けたとしても、症状が完全に消失しない、数か月後症状が再発する理由はそこにあります。機能的静脈不全の状態なのです。この状態には、フットケアと歩行が有効です。

Q)病院にわざわざ来て、薬で直してもらおうと思ったのに、何もしてくれずに自分でリハビリだけやるだけって本当に治るのかな。

A) 私たちは、機能的静脈不全の患者に対して、フットケアプログラム導入4か月後、むくみ、症状が改善したことを臨床研究において明らかにしました。(岐阜ハートセンターIRB 2023030)

内服薬や注射で治るものではありません。この状態を改善するのには、毎日の生活の改善が必須です。まず一歩踏み出してください。4か月後、症状が楽になった自分を想像して取り組んでみましょう。やったらやった分自分に良い形で戻ってきます。私たちもそばに寄り添います。

Q)こんなフットケアなんて、いままで、ジムでストレッチなどいろいろやっているよ。

A)このプログラムには各動作、回数、時間に意義があります。

体幹を整えるストレッチやトレーニングと足部を整えるストレッチやトレーニングとは効果、目的が違います。是非足部を整えるケアを一緒に行ないましょう。

Q)家で自転車こぎをしていることで代用できますか?

A)地面を足の裏でしっかりとらえて、体全体を支える動作が重要です。運動負荷という面では代用できますが、足の健康という意味では代用となりません。