3階病棟看護師

私たちは、病と共に生きる患者さまが療養の場所を変えても、生活習慣を出来るだけ維持できるよう、外来・病棟・在宅を繋ぐ継続看護を心がけています。
心臓の病で初めて入院される方も、2度目以降の入院の方も、共通するのは“患者さまそれぞれのこれまでの生活を振り返り、人生観や価値観をもとに退院後の生活を考える”ということです。
入院生活は日常ではありません。仕事や家事・お出かけをすることはなく、栄養士の管理している食事があり、看護師が血圧や体重を測り、お薬を飲んだかを確認する生活です。そのため入院中は調子が良くても、患者さまが日常の生活へ戻られたとき、病気の管理で問題となることはないか知る必要があります。患者さまと退院後の生活について話をしていると「退院後は、○○はできないのですね」「△△は食べてはいけないんですね」と、何かを諦める発言をされる方が多くみえます。
私は、患者さまが退院後の生活管理を“暮らしの制限”ではなく、“病気を抱える自分の体と上手く付き合うための工夫”と考えていただけることを目指しています。そのためにどんな工夫ができるのか、看護師だけでなく医師・薬剤師・栄養士・理学療法士・メディカルソーシャルワーカーなど多くの他部門がそれぞれの専門性を活かしてアイデアを出しあい、患者さまの退院後の生活をサポートできるよう考えています。

そして、”設定した退院後の生活目標”や”入院中の様子”を入院中に関わった看護師から外来看護師に伝え、退院後は実際どのような生活を送られているか、定期通院時に看護師から確認させていただきます。現在、心不全患者さまを中心に、病棟(入院中)と外来(退院後)で途切れのない看護を行い、もし生活指標が目標の値から離れてしまった場合は患者さま、ご家族と看護師が一緒に自宅での生活を振り返ることができます。そうすることで一緒に新しい目標を考え、その時々の患者さまに合った生活管理や生活習慣を見つけられます。それが “病気を抱える自分の体と上手く付き合っていく”ことだと考えます。
現在、岐阜ハートセンターでは、より患者さまが過ごしやすい環境で病と付き合っていくことができるよう、退院支援や継続看護のシステムの構築を行っています。生活の主体は患者さま自身です。入院や外来の際は、これまでの生活やどんな生活を続けたいか、ご本人の本音の声を聴かせてください。また、退院後に患者さまをサポートしていただくご家族の声も聴かせてください。私たちは、患者さまひとりひとりの心にも身体にも暮らしにも寄り添った看護ができるよう、部署を超えて病院一丸となって努力し続けます。