こんにちは、理学療法士の久世です。梅雨の時期に入り、蒸し暑い日が増えてきました。今の時期はまだ、体が暑さに慣れておらず、脱水などの症状が増える時期でもあります。体調の変化に気づけるよう日頃からしっかりと管理を行いましょう。

今回は前回お話しした通り『ロコモティブシンドロームの予防』についてお話しさせていただきます。

前回のおさらいですが、ロコモティブシンドローム(ロコモ)とは、運動器の障害により機能に影響が出る状態を指します。ロコモになると転倒リスクの増加、活動範囲の制限、自立生活の困難化から最終的には要介護状態となり寝たきりになってしまうような問題が生じることが言われています。

特に以下のような人々がなりやすいとされています。

①高齢者

加齢: 加齢に伴い、骨や筋肉、関節の機能が低下しやすくなります。これは自然な老化現象であり、特に70歳以上の高齢者で顕著です。

②運動不足の人

運動習慣の欠如: 定期的な運動を行っていない人は、筋力や骨密度が低下しやすくなります。デスクワークが多い人や運動を避けがちな人が該当します。

③栄養不足の人

不適切な食事: カルシウムやビタミンD、タンパク質の不足は骨や筋肉の健康に悪影響を与えます。不均衡な食生活や食事制限をしている人は注意が必要です。

④骨や関節の疾患を持っている人

骨粗鬆症: 骨密度が低下し、骨がもろくなる疾患。

関節疾患: 変形性関節症や関節リウマチなどの疾患を持っている人は、関節の機能が低下しやすくなります。

⑤過去に大きな怪我をした人

骨折や手術歴: 骨折や関節の手術を経験した人は、骨や関節の機能が低下するリスクが高まります。

⑥生活習慣の悪い人

喫煙者: 喫煙は骨の健康に悪影響を与えます。

過度な飲酒: アルコールの過剰摂取は骨密度を低下させる可能性があります。

⑦その他の要因

慢性的な病気: 糖尿病や高血圧などの慢性的な疾患を持っている人は、運動器の健康が損なわれやすいです。

ストレスや精神的な問題: 長期間のストレスやうつ状態は、身体活動の減少や食欲不振を引き起こし、ロコモのリスクを高めます。

これらの要因に該当する人々は、特にロコモのリスクが高いため、早期の予防策を講じることが重要です。定期的な運動、バランスの取れた食事、健康的な生活習慣を維持することが、ロコモの予防と改善に繋がります。

運動器疾患・ロコモ・運動器不安定症と虚弱・サルコペニアの関連

帖佐悦男. ロコモティブシンドローム:運動器疾患を取り囲む新たな概念 Jpn J Rehabil Med 2013 ; 50 : 48.54

寝たきりにならないようロコモを予防するためには、以下のような方法があります。

1. 定期的な運動

ウォーキング: 毎日30分から1時間の歩行を心がける。

筋力トレーニング: 特に下半身の筋力を強化するためのスクワットやランジなどの運動を取り入れる。

バランス運動: 片足立ちやバランスボールを使った運動でバランス感覚を鍛える。

2. 栄養管理

カルシウムとビタミンDの摂取: 骨の健康を維持するために、乳製品や魚、きのこ類を積極的に摂取する。

タンパク質の摂取: 筋肉を維持するために、肉、魚、卵、大豆製品などからタンパク質を摂る。

3. 定期的な健康チェック

骨密度測定: 骨の健康状態を確認するために、定期的に骨密度を測定する。

筋力測定: 自身の筋力レベルを把握し、適切な運動計画を立てる。

4. 生活習慣の見直し

禁煙: 喫煙は骨の健康を損なう原因となるため、禁煙を心がける。

適度な飲酒: アルコールの過剰摂取は骨密度を低下させる可能性があるため、適度な飲酒を心がける。

5. 転倒予防

住環境の整備: 家の中の段差をなくし、滑りやすい場所には滑り止めを設置する。

適切な靴の選択: 安定感のある靴を選び、滑りにくい靴底を使用する。

これらの方法を日常生活に取り入れることで、ロコモティブシンドロームの予防に努めることができます。定期的に運動を行い、バランスの取れた食事を心がけ、健康的な生活習慣を維持することが大切です。

次回は「サルコペニア」をお話しさせていただきます。

病気の予防や運動に興味がある方や運動処方をご希望の方はぜひ心臓リハビリテーション室(058-213-0488)までご連絡ください。

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