2025年9月18日午後2時30分、『本地洋一のハート相談所』 の放送です。
今回の放送のテーマは『季節の変わり目に注意すること』です。
本地洋一さん:季節がだんだんと変化し始めて、明日の朝あたりは涼しくなりそうです。
そこで今日は季節の変わり目に注意をすることです。ちょうど今ですね。
松尾仁司院長:そうですね。特に今年の夏は暑過ぎたので、ちょっとほっとしておられる方も多いんじゃないかと思います。秋になると気温が35度以上あったのが30度、あるいは28度27度とだんだん下がっていきます。今の時期の変わり目というのは、気温の変動が大きいということになります。
気温の変動と病気の関係というのは極めて強いです。心筋梗塞は冬に多いというイメージがあると思いますが、秋に多いというイメージはあまりないかもしれません。なぜかと言うと絶対温度、例えば0度とか-5度とかそういった気温の絶対温度ももちろん関係していますが、1日の気温変動で最高気温と最低気温の変動が大きいということも血管病とリンクしていることが言われています。いわゆる寒暖差というものです。秋から冬の時期が一番多いですが、夏から秋でも気温の変動が大きくなるタイミングなので、心臓の病気を発症する人が多くなるということになります。
本地洋一さん:そうするとまさにこれからですね!

松尾仁司院長:そうなんです。特に心臓や血管に病気をお持ちの方は注意が必要です。

『寒冷と心筋梗塞増加のメカニズム』
- 血管の収縮
・寒さを感じると交感神経が緊張し、末梢血管が縮みます。
・その結果、血圧が上がり、心臓にかかる負担が増加します。
・収縮した冠動脈で血流が増えると、虚血やプラーク破綻のリスクが高まります。
- 血圧変動
・特に「朝方の冷え込み」で血圧が上昇します。
・高血圧や動脈硬化のある方では、血管壁へのストレスが強くなり、プラーク破綻や血栓形成の引き金になります。
3.血液の濃縮・凝固能更新
・寒さで体内の水分が減り(発汗・乾燥による脱水)、血液が濃くなります。
・血液粘度が上がり、血小板や凝固因子が活性化し、血栓ができやすくなります。
- 交感神経・ホルモン反応
・寒冷刺激によりアドレナリンやノルアドレナリンが増加します。
・心拍数や心筋の酸素需要が増え、冠動脈に狭窄やプラークがあると虚血発作に繋がります。
松尾仁司院長:例えば血管以外にも風邪などの感染症にもかかりやすくなりますし、季節の変わり目というのはそういう意味で病気が発症しやすくなるタイミングであることは確かだと思います。
本地洋一さん:これからの季節は温度計ではそんなに暑くないし、朝の冷え込みもないし、どちらかというと過ごしやすい温度帯だと思いますが、その中でも温度差が大きかったりすると病気のリスクは高まってくるということですね。
気候がよくなったので、それに合わせて動こうとするタイミングだと思います。食欲に関しても暑くて食欲がなかったのが食べられるようになります。秋は食欲の秋、運動の秋とか言います。これからの季節、どのようなことに注意していけばよろしいですか?

松尾仁司院長:例えば夏の間、特に今年の夏は暑かったので、運動は危険なので控えてくださいという状況でした。それが秋になって今度はどんどん運動しましょうと話が変わってきます。運動は悪いことではなく、運動はやれる人はどんどんやったほうがいいですが、やはり急に行うのではなく、少しずつ段階的に運動量を増やしていくなどの注意は必要だと思います。
本地洋一さん:今先生のお話を伺っていて、暖かいところから急に寒いところ、冷たい部屋からお風呂とか、そのような急激な温度変化は室内でよくあると思いますが、今みたいに過ごしやすくて、不快に思わないような気温であっても季節の変わり目というのは注意することがたくさんあるということですね。
松尾仁司院長:そうです。例えば35度以上あるような日が続いていると、脱水にならないようにしましょうと連日テレビで言われると思いますが、秋になって少し涼しくなると、その言葉はおそらく消えてしまいますよね?でも日中に30度近くなる日もまだありますし、特にご高齢の方は少し暑さが緩んだとしても、水分補給というのは続けていただく必要があるかなと思います。
『夏から秋への季節の変わり目に注意すること』
- 朝晩の冷え込み、急な温度差
気温が下がると血管が縮み、血圧が上がりやすくなります。練る前や朝起きた時は、軽く歯折れる服や薄手の毛布で体を冷やさないようにしましょう。
- 水分不足
涼しくなって喉の渇きを感じにくくなりますが、体はまだ汗をかいています。水分不足は血液がドロドロになり、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めます。こまめな水分補給を忘れずに。
- 不規則な生活習慣
亜紀はイベントや飲み会が増えやすい季節です。過度な飲酒・夜更かしは、不整脈や心不全を悪化させます。
- 夏の疲れ(残暑バテ)
夏の疲れが残っていて、だるさ・食欲不振が出やすい時期です。疲れは心臓にも負担となるため、十分な休養と栄養路心がけましょう。
- 不規則な生活習慣
秋はイベントや飲み会が増えやすい時期です。過度な飲酒・夜更かしは、不整脈や心不全を悪化させます。
本地洋一さん:あと先生、先ほど打ち合わせの中で、気候が良くなると気分が良くなって薬を服用している方が薬を飲まなくなってしまうとか、元気になったから薬はいいだろうとか、そんな風に考える患者さんもいらっしゃるという話を伺ったので、お薬のことについて再度確認をしたいと思います。
松尾仁司院長:薬には2種類あります。1つは症状を取るための薬。例えば高い熱が出た時に解熱剤を飲むとか、感染症の時に抗生物質を飲むとか、そのような薬は症状を取るために飲んで飲んでもらうので、要するに症状がなくなったら飲まなくてもいい薬になります。
もう1つ、多くの方が飲んでいる薬はそうではなく、その薬を飲むことによって元気で過ごしてもらうために必要な薬になります。コレステロールや血圧、糖尿病の薬などは症状を取る薬ではありません。そのような薬を秋になって暑さがなくなって調子が良くなったから薬を飲まなくなってしまう方というのは正しくはありません。やはり長い目で見て自分の体調を管理・コントロールする、将来怖い病気にならないようにするという薬に関しては、体調がいい時にも確実に飲まなければいけないので、そこは間違えてほしくないと思います。
本地洋一さん:なるほど。お医者さんが毎日飲みなさいよと言わされたら、それは指示に従って服用する。自分が元気だと思って適当にやめたりしないということですね。
吉田早苗さん:薬はなるべく少ない方がいいと、皆さん思ってますもんね。

松尾仁司院長:薬の副作用や体に合う合わない薬はもちろんあります。最近週刊誌やSNSでは書きすぎているようなことがあります。真実ではないことがたくさんありますから、やはり主治医の先生とよく相談してもらうことが必要だと思います。
吉田早苗さん:やはり今お話聞いていても、季節の変わり目というのは注意することが非常にたくさんありますし、体も季節によって変わってくるということなんですね。自分に合った無理しないということが大切で、皆さん、季節の代わり目に注意しながらお過ごしください。

次回のハート相談所は2025年9月25日(木)にお送りいたします。
また、心臓や循環器疾患に対する質問やご意見などは番組までドシドシとお寄せください。