リハビリチームは患者様の生活を守ることをあきらめない

〜管理栄養士・薬剤師編~

《外来リハビリテーションについて》

心臓リハビリテーションとは、心臓病の患者様が快適な家庭生活や社会生活に復帰するとともに、再発や再入院を防止することを目指すための総合的活動プログラムです。リハビリテーションと聞くと運動といったイメージが強い方が多いと思いますが、心疾患に対しては様々な職種が介入して患者様と一緒に治療に取り組むといったことが重要です。それぞれの職種が患者様に沿った治療プログラムを立案し、カンファレンスにて情報を共有します。患者様一人一人のゴール設定を全員で共有することによって全ての職種が同じ方向を向いて患者様の問題点と向き合えます。そして、患者様と共に治療に取り組むことで患者様の生活を守っていくことが、私たちリハビリテーションスタッフの役割だと感じています。今回は前回の理学療法士・看護師編に引き続き、岐阜ハートセンターが誇る専門性の高いリハビリテーションスタッフとして管理栄養士と薬剤師を紹介させて頂きます。

病態に応じた食支援にて栄養改善を目指す管理栄養士》

管理栄養士 桂川 曜子

こんにちは、管理栄養士の桂川です。よろしくお願いします。リハビリテーションを行う際に適切な栄養補給・栄養管理は不可欠です。栄養状態が悪いことや食事管理が不十分であると、リハビリテーションを頑張って行っていても効果が出ない事があります。当院では外来通院をされている患者様に対し、管理栄養士が食事の確認やアドバイスなどの栄養指導を定期的に実施しています。患者様の生活・食習慣や状態は個々の病態によって異なります。「自宅の食事はどうしたらいいか、わからない」「入院中のようには上手くいかない」など不安を抱えている方は多く、患者様が来院した際にはお声かけをしながら状態を確認させて頂き、指導時にはじっくりと話を伺う事で、食事における患者様の身体的・精神的な不安を取り除けるようにサポートしていきたいと考えています。実際、退院後に全く食欲がなく、体重がどんどん減っていってしまう患者様がいらっしゃいました。食事の記録用紙を確認させて頂いた際、そこには全く何も書かれていませんでした。私は「まずは何なら食べることができるのか?」を考え、患者様と一緒に食事のタイミングや嗜好などをできる限り詳しく聞き取り、少量でカロリー摂取できるものからオススメしました。当初は栄養補助食品のみで済ますことが多かった患者様も徐々に記録用紙に食事内容が記載されるようになり、半年後には病気になる前と同じような食事が摂れるようになり、体重も徐々に増えていきました。病気を治すためには薬や運動だけでなく、生きていくために必要な”食事”自体が重要な治療であるとういうことを再認識しました。それから私は患者様にどんな些細なことでも食事に関することは積極的に関わり、栄養士として自分ができることを患者様に提供するよう努めています。どんなことでも構いません。少しでも患者様の食生活が楽しくなるよう些細なことでもお話して頂けたら嬉しいです。

《患者様の不安を取り除く相談役でもある薬剤師》

薬剤師 岩田 晃佳

はじめまして、薬剤師の岩田と言います。宜しくお願いします。一般的に約3割の患者様は正しく薬を服用できていないと報告されております。そのため、薬剤師の求められる役割の1つに服薬アドヒアランスの改善があります。服薬アドヒアランスとは患者様自身が積極的に治療に関わり、薬の効果や副作用の理解を深めることです。外来リハビリテーションに参加された患者様には定期的に飲み忘れがないかなどの残薬確認、相互作用の有無の確認や効果、副作用について本人への指導だけでなく退院後にサポートする家族への服薬指導も併せて行います。アドヒアランスを向上させることで飲み忘れや飲み間違いを減らすことができ、再発や合併症を予防することができます。以前関わった患者様にこんなことを言われた経験があります。『病気はもう治ったと思ったから薬は飲まなくなった』と。その方は自分の判断で病院への通院をやめてしまい、再入院となった患者様です。患者様の中には『この薬がどんな効果なのか知らない』、『なんで飲まないといけないのかわからない』と言った意見を聞くこともあります。私は薬を患者様の元に届けるだけでなく、その薬の効果や副作用といった説明をすることが大切な役割であり、患者様を守るための重要な治療であるということも併せてお話しさせて頂いております。薬のことだけでなく様々な面で患者様の不安を取り除けたらと思っていますので、不安なことがありましたら気軽に相談して下さい。

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