こんにちは。管理栄養士の嶌田です。今回から複数回にわたって「脂質」についてお話ししようと思います。

 「脂質」は「炭水化物」と「たんぱく質」と並んで三大栄養素と呼ばれています。一般的に脂質と聞くとあまり体に良くないイメージを持たれるかもしれませんが、脂質も体にとっては必要不可欠な栄養素です。

 脂質は炭水化物やたんぱく質の約2倍のエネルギーを産生するため、体にとっては重要なエネルギー源です。また、ホルモンや細胞膜を構成したり、皮下脂肪として内臓を保護したり、脂溶性ビタミンの吸収を助けたりなど様々な役割があります。

 食生活の欧米化に伴い、現代の食生活では脂質は不足しにくいと考えられます。しかし、脂質が不足するとホルモンバランスの乱れや、エネルギー不足、肌荒れなどを引き起こす可能性があります。もちろん、脂質はエネルギー量が多いため、摂り過ぎてしまうとエネルギー過剰を招き、肥満になる可能性もあります。肥満は高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病や冠動脈疾患のリスクを高めます。このように脂質は不足しても摂り過ぎても悪影響が出てくるため、適切な量を摂取することが大切となります。

 脂質の主な構成成分は脂肪酸という物質で、脂肪酸は「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に分けられます。不飽和脂肪酸には一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸があり、多価不飽和脂肪酸には、体内で合成することのできないn‐3系脂肪酸(オメガ3脂肪酸)とn‐6系脂肪酸(オメガ6脂肪酸)があります。この2つの脂肪酸は必須脂肪酸と呼ばれ、食事からの摂取が必要不可欠な栄養素になります。

 管理栄養士はあなたにとってベストな食事プログラムを提供します。次回は飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸の働きや、これらが含まれる食品などについて詳しくお話ししていこうと思います。