こんにちは。管理栄養士の嶌田です。

前回は脂質についてお話しさせていただきました。今回は、脂質の中でも「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」について詳しくお話しさせていただこうと思います。

脂質を主な構成成分である脂肪酸には「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」があります。この2つの違いは、脂肪酸の構造の中に二重結合を持っているか、持っていないかの違いなのですが、構造の話は言葉では分かりにくいと思います。簡単にこの2つの脂肪酸の特徴をお伝えすると、「飽和脂肪酸」は動物性の脂に多く、常温で固体であることが多く、「不飽和脂肪酸」は植物性の油に多く、常温で液体のことが多いです。もちろん例外はありますが、簡単に見分ける方法として参考にしていただければと思います。

「飽和脂肪酸」は、乳製品や肉類など動物性の脂肪に多く含まれています。飽和脂肪酸には、その他の脂肪酸と比べると体内に貯蔵されやすく、エネルギー源として利用されやすい特徴があります。しかし、過剰に摂取するとLDL(悪玉)コレステロール値を上昇させ、動脈硬化を促進することで、心筋梗塞をはじめとする循環器疾患のリスクを高めます。また、エネルギーの過剰摂取につながり、肥満にもなりやすくなります。一方で、不足してしまうと血管がもろくなり、脳出血などの症状を引き起こすリスクが高くなるので注意が必要です。

「不飽和脂肪酸」は「一価不飽和脂肪酸」と「多価不飽和脂肪酸」に大きく分けられます。「一価不飽和脂肪酸」はオリーブ油に含まれるオレイン酸が有名であり、日本人が摂取する一価不飽和脂肪酸の約88%を占めていると言われます。一価不飽和脂肪酸は摂取することで、動脈硬化や心筋梗塞などを引き起こすLDL(悪玉)コレステロールを低下させる効果があります。

「多価不飽和脂肪酸」は「n‐3系脂肪酸(オメガ3脂肪酸)」と「n‐6系脂肪酸(オメガ6脂肪酸)」に分けられます。

「n‐3系脂肪酸(オメガ3脂肪酸)」には調理油に含まれる「α‐リノレン酸」や魚油に含まれる「EPA」や「DHA」などがあります。また「n‐6系脂肪酸(オメガ6脂肪酸)」には大豆油などに含まれる「リノール酸」があり、これらの多価不飽和脂肪酸は、LDL(悪玉)コレステロールを低下させたり、動脈硬化を防ぐといった様々な作用があります。

一般的に脂質と聞くとあまり体に良くないイメージを持たれるかもしれませんが、脂質も体にとっては必要不可欠な栄養素です。様々な脂質をバランス良く摂取することを意識しましょう。

管理栄養士はあなたにとってベストな食事プログラムを提供します。ご興味がある方は当院心臓リハビリテーション室(058-213-0488)までご連絡ください。