こんにちは。理学療法士の久世です。皆様体調いかがでしょうか?少しづつ日中は暖かくなり、もうすぐ桜が咲こうとしています。ウォーキングをするにはいい時期になりましたが、花粉や黄砂で外に出られないといった方もいらっしゃるのではないかと思います。
前回に引き続き今回も心不全患者様の運動についてお伝えしたいと思います。今回はズバリ、運動は心臓の機能を改善させるのかについて紐解いてみたいと思います。
心臓の機能の指標の1つに左室駆出率(LVEF:Left Ventricular Ejection Fraction)といったものがあります。わかりやすくいうと、心臓の左側(左心室)が1回の拍動でどれくらいの血液を全身に送り出せているかを示す数値です。
具体的には、左心室にたまった血液のうち、何%が拍出(送り出し)されるかを表します。通常、50~70%が正常範囲とされています。
たとえるなら…
左心室を「スポンジ」、血液を「水」とすると、スポンジをギュッと握ったときにどれくらいの水が出るかを測るようなものです。
例えば、スポンジに100mLの水が含まれていて、握ると50mLの水が出たら、「50%の駆出率」となります。
左室駆出率が低いと?
駆出率が低い(40%以下など)と、心不全の可能性があり、心臓が十分な血液を送り出せていない状態になります。
逆に、駆出率が高すぎる場合も、心臓が過剰に働いている可能性があります。
心臓の健康をチェックする大事な指標と言えます。
そして心臓リハビリテーションは心臓の機能を改善させる可能性があると言われています。
運動により心筋の柔軟性や収縮力が向上し、心臓が効率的に血液を送り出せるようになります。また、適度な運動によ冠動脈の血流が増加し、心筋への酸素供給が改善します。
これにより、心臓の働きが改善し、心臓から拍出できる血液の量を改善させることにつながります。
慢性心不全患者の研究では、心リハを3〜6か月継続すると心臓の機能が5~10%程度改善する例もあると報告されています。ただし、必ずしも全員の心臓の機能が大幅に改善するわけではなく、現状維持や悪化を防ぐことが重要な目的になることもあります。
そして、心臓の機能が改善することで症状が緩和し、生活の質も改善することが報告されています。

J Am Coll Cardiol 2012;60:1521-8
心臓リハビリテーションを受けるべき人
・LVEFが40%以下の心不全患者(医師の指導のもとで実施)
・心筋梗塞や心臓手術後の回復期の人
・高血圧や糖尿病などのリスクがある人(心疾患予防目的)
ぜひとも上記にあたるような方は心臓リハビリテーションの適応です。心臓の昨日を改善する可能性があるが、個人差があるため、「心臓の機能を維持・悪化させない」ことも大きな目的です。
適切な運動、食事、生活習慣の見直しが心不全予防に役立つため、医師の指導のもとで継続することが大切です!
外来リハビリテーションではこういった方々に対して我々は個別の運動指導を行い、その方の目標を一緒に達成できることを支援しています。
理学療法士はあなたにとってベストな運動プログラムを提供します。ご興味のある方は心臓リハビリテーション室(058-213-0488)までご連絡ください。
また、ご質問がある方は是非ご連絡頂ければ幸いです。