こんにちは。理学療法士の久世です。9月になりましたがまだまだ暑い日が続いていますので体調管理にはお気をつけください。
先日患者様からこのような質問を頂きました。「先生から痩せた方が良いって言われたんですけど、心房細動と関係あるんですか?」
今回はこちらのご質問にお答えしたいと思います。
肥満と心房細動の関係について
そもそも心房細動とは、心臓の上の部屋(心房)が不規則に震えるように動く病気です。正常な心臓は「ドクン、ドクン」と規則正しく拍動しますが、心房細動では「ドクドクドク」と不規則になってしまいます。これにより、血栓(血の塊)ができやすくなり、脳梗塞などの重篤な合併症を引き起こす可能性がある不整脈とされています。
肥満が心房細動の「独立した関連因子」とは?
医学では「独立した関連因子」という言葉がよく使われます。これは、他の病気や要因に関係なく、それ自体が病気の原因になるという意味です。
つまり、肥満の人は高血圧や糖尿病がなくても、年齢が若くても、他の心疾患がなくても、肥満というだけで心房細動になりやすいということが科学的に証明されています。
なぜ肥満が心房細動を引き起こすのか?
1. 心臓への物理的な負担
体重が増えると、心臓はより多くの血液を全身に送らなければならず、常に重い荷物を背負って歩いているような状態になります。
2. 心房の構造変化
肥満により心房が大きくなったり、心房の壁が厚くなったりして、電気的な刺激がうまく伝わらなくなります。
3. 炎症の増加
脂肪組織から炎症を引き起こす物質が分泌され、心臓の電気的な安定性を乱します。
4. 睡眠時無呼吸症候群
肥満の人に多い睡眠時無呼吸症候群も、心房細動のリスクを高めます。
具体的なリスクの程度として肥満と不整脈に関連する研究によるとBMI(体格指数)が1単位増加するごとに、心房細動のリスクが約3-7%増加し、肥満の人は標準体重の人と比べて、心房細動になるリスクが約1.5-2倍高くなることが報告されています。

Wang TJ, et al. Obesity and the risk of new-onset atrial fibrillation. JAMA. 2004 Nov 24;292(20):2471-7.
肥満は心房細動の独立した危険因子であり、他の病気がなくても心房細動のリスクを高めます。しかし、適切な体重管理により、このリスクを大幅に減らすことが可能です。
健康的な生活習慣を心がけ、適正体重の維持に努めることが、心房細動の予防において非常に重要です。気になる症状がある場合は、早めに医師に相談することをお勧めします。
理学療法士はあなたにとってベストな疾病管理プログラムを提供します。ご興味のある方は心臓リハビリテーション室(058-213-0488)までご連絡ください。
また、ご質問がある方は是非ご連絡頂ければ幸いです。