当院で治療に受けてくださった患者様、医療連携でお世話になっている紹介元の先生方へ
平素より大変お世話になっております。
岐阜ハートセンター心臓血管外科部長の小山裕です。
今年も残すところあとわずかとなり、年末のご挨拶をさせていただく時期となりました。
この一年を無事乗り切ることができたのは、我々を信頼してご紹介いただきます開業医の先生方のご指導、また我々の治療を信じて体を預けていただいた患者様の頑張りのおかげです。心より感謝申し上げます。
本年を振り返りますと、2020年 1月に当院に私が赴任し、まず心臓血管外科として新チーム体制を作ることから診療を開始しました。治療の安全性を担保しつつ、手術の効率化による手術時間の短縮を行うことで、手術を受けていただく患者様の負担軽減を目指しました。また手術室チームの役割分担を明確化し、手術室におけるスタッフ間の連携を密にすることで、手術の安全性をさらに高いレベルまで高めることができました。この新たな手術室チーム体制は、昨今「働き方改革」として大きな課題とされている医療者の時間外勤務時間の短縮や体調管理にも貢献し、当院外科チームがいつ、どのような患者様に対しても最善のチーム医療を提供できるようになりました。
そして心血管病の専門治療に対しては、より体の負担の少ない低侵襲治療を目指し、スーチャレス弁(縫わない生体弁)の導入、完全内鏡視下MICS手術、経カテーテル的治療であるTAVI治療の改革(治療の効率化による手術時間短縮、局所麻酔での左鎖骨下動脈アプローチの導入など)など大きな進歩を遂げることに成功しました。
低侵襲治療を行う一方で、心血管病の救急治療においても一段高いレベルを目指し、日々の治療に取り組んでおります。当院の治療コンセプトである “断らない、あきらめない、そこに岐阜ハートセンターがある”を体現すべく、最近では90代の超高齢患者様の緊急冠動脈バイパス術や、高度肝機能障害を合併した胸部大動脈破裂患者様の緊急手術、臓器潅流障害による多臓器障害を伴った急性大動脈解離の患者様など、多くのハイリスク患者様も積極的に受け入れて治療を行なっております。
本年は未曾有のコロナ禍により、病院やクリニックへの受診を控える方が多かった反面、岐阜県の非常事態宣言が明けた6月あたりから、救急で運ばれてくる患者様が例年より重症である印象を受けます。「症状がありながらも(コロナが怖くて病院に行くのを)我慢していた」という患者様も多く、日本中が新型コロナウイルス感染症に振り回された一年だったと思います。我々が専門とする心臓病、血管病の治療においては、適切な診断・治療時期が「勝負の分かれ目」となる場合が多々あります。当然のことではありますが、治療が必要な病気は新型コロナウイルス感染症だけではありません。当院では十分なコロナ感染対策のもと、これまでと変わることなく心疾患、大動脈疾患の治療に最善を尽くし、患者様、紹介元の先生が安心して「命」を任せられるハートセンターで在り続けます。
これからも皆様の信頼に応えられる高水準の循環器専門病院として、スタッフ全員がプロフェッショナルとしての責務を果たし、地域医療に貢献していく所存です。
誰にとっても例年以上に忙しい年末ですが、どうか皆様お体にお気をつけてお過ごしください
来年こそ幸多き年でありますようお祈り申し上げます
心臓血管外科部長 小山裕