心臓血管外科 診療実績
2018年は、開心術・胸部大動脈手術を255例(全外科手術数は489例)行わせていただきました。
新たな治療法として「自己心膜による大動脈弁再建術」を開始いたしました。自己の組織を使用して(人工弁を使用せず)大動脈弁を再建するというこの手術法は、これまで人工弁を使用するしか手立てのなかった大動脈弁狭窄症に対して有用な選択肢となります。以前より我々が注力してきた自己弁を温存・形成する「自己弁温存基部置換術、大動脈弁形成術」と併せて、「人工弁を使用しない大動脈弁治療」に大変強力な治療法が追加導入されたことで、従来の「大動脈弁人工弁置換術」、「TAVI(経カテーテル的大動脈弁置換術)」と併せて、現行で施行可能な大動脈弁手術はすべて行えるようになりました。それぞれの長所を最大限に生かせるように各患者様に最適な治療法をご提供して参ります。
低侵襲心臓手術(MICS)を豊橋・名古屋ハートセンターのサポートの下に開始いたしました。対象疾患は僧帽弁形成術、心房中隔欠損症となります。我々が最も大切にする事は、「安全・確実に、より良く異常構造を修復すること」でありますので、患者様背景を熟考し、胸骨切開を回避する・小さい創部で手術を行う事のメリットがデメリットを凌駕した場合に行う事としております。
医療技術の進歩により成人先天性心疾患の患者様が増加しております。当院では国内有数の症例数を誇る岡山大学 小児心臓血管外科の笠原真悟教授のご助力・指導の下、最適な手術を行っております。
大動脈瘤に対する治療は、人工血管置換術とステントグラフト(カテーテル治療)を心臓血管外科にて行っております。時にはそのハイブリッド治療を選択することもあり、患者様にとって最も好ましい治療選択をご提供しています。
待機手術症例が多くを占めておりますが、緊急症例も可能な限り受け入れております。循環器専門病院だからこその迅速な対応が救命率に大きく寄与しております。心臓血管外科ホットラインなどを導入し、ご紹介いただく先生方と密接な連携の上、これからも地域医療のために尽力してまいります。
他院から多くの手術見学者(外科医、臨床工学士、看護師、検査技師)のご来院を頂きました。同じ道を志す先生方からの注目も頂ける手術チームであることを目指しています。
開院10年が経過いたしました。2018年4月より後期研修医の関 淳医師が、12月より外科専門医・心臓血管外科修練医の津村康介医師が入職、活躍しています。多くの方に支えられて此処までに至った来し方を十分に振り返り、新たな10年史を一層多くの患者様の笑顔とともに過ごせるよう、スタッフ一同、一意専心、精進して参ります。