あの頃、ちょっと怖かった白衣の人が「臨床検査技師」だったようです。

小学生の頃、こんな記憶はありませんか?保健室の前に整列させられた生徒たちは、順番にベッドに横になるよう言われ、白衣を着た大人が手首に白いクリームを塗り、胸に冷たいモノを貼り、力を抜けと言う。だいぶ昔の記憶ですが、私は怖かった思い出があります。今思えば、あの白衣を着た大人は「臨床検査技師」さんで、その時受けた検査が「心電図検査」であったことが判明しました。平成6年12月に学校保健法施行規則の一部改正により、小学校1年生と中学校1年生、高等学校1年生全員に心電図検査が義務付けられました。それより以前にも「心電図検査」は学校で実施されていたようですが、検査の年齢や検査方法は地域によって様々だったようですね。平成6年以降に学生だった方は、私と同じような経験をされている方が多いと思います。あんな小さい頃から心電図検査を受けていたなんて、ちょっと驚きでした。「心電図検査」と聞くと、難しい検査?痛くないの?怖くないかな?と思われがちですが、幼い頃から馴染みのある検査です。そして、「心電図検査」は循環器系疾患の診断には欠かせない検査なのです。少し詳しく説明します。

「心電図検査」は、安全・簡単・痛くない!

当院でも臨床検査技師が「心電図検査」を行っています。偏に「心電図検査」と言っても、検査の目的や用途によって何種類もの心電図検査があります。今回は、最も多くの患者様が受ける「安静時12誘導心電図検査」について説明します。これは先に述べたように、学校健診や健康診断でも一般的に行われている心電図検査で、受けたことのある方も多いと思います。検査は、ベッドに仰向けに寝て受けていただきます。両手首と両足首、胸部6ヶ所に電極を付けて、12種類の波形を記録します。記録時間は約10秒間ですが、呼吸は普通にして大丈夫です。緊張して手足に力が入ると、筋肉が出す電気信号が心電図を邪魔してしまうので、検査中はできる限り手足の力を脱力してくださいね。とはいえ、検査は緊張するものですよね。でも、安心してください!患者様の緊張がほぐれるように、私達が全力でサポートいたします。

そもそも心電図ってなぁに?

私たちの心臓は、常にリズミカルに動いています。成人では1分間に約70回拍動して、全身に血液を送り出しています。1回の拍動で約70〜80ミリリットルの血液を送り出すことができますので、心臓は1分間に約5リットルの血液を送り出していることになります。これをひとときも休まず、一生にわたって拍動し続けるので、心臓はなんとも頑張り屋さんですね。心臓のリズミカルな動きを掌っているのは、実は電気なのです。私たちの体が、心臓を動かすために電気を出しているなんて、ちょっと驚きませんか?心電図はその電気信号をキャッチして記録する検査です。時々、心電図の電極を貼るときに「ビリっと電気が流れませんか?なんだか怖いですね・・・」と言われる患者様がいますが、電気を出しているのは、実は私たちの心臓の方でした。人の一生を支える強靭な心臓もトラブルを起こすことがあり、心臓が正常に機能しているか、どこかに異常が起きていないかなどを検査するために、まず心電図検査を受けてみてください。