昨今、臨床検査技師とウイルスの知名度が上がりました

患者様から「看護師さん」って声を掛けられることがしばしばあります。「看護師ではなく、臨床検査技師です」と応えると「え?詐欺師?」なんて聞き間違えられることも。臨床検査技師の多くが心の中で「臨床検査技師の知名度低っ!」と思う瞬間です。しかしこのご時世、コロナウイルス(COVID-19)の影響で「臨床検査技師」という専門職の知名度が上がってきました。またウイルスには潜伏期間というものが存在すること、検査にはPCR検査が必要であることも知られるようになりました。しかしウイルスはコロナウイルスだけではありません。そこで輸血に関連したウイルスについて、またそのウイルスの検査の必要性についてご紹介したいと思います。

輸血とウイルス

輸血とは、赤血球などの細胞成分や凝固因子などのタンパク成分が減少または機能的に低下したときに、その成分を輸血により補充することで症状の改善を図る目的で行われます。しかし輸血には一定のリスクを伴うことも忘れてはいけません。リスクを上回る効果が期待できるか十分に考慮し適応を決めます。そのリスクの1つが肝炎ウイルスや免疫不全ウイルス感染です。ウイルスには潜伏期間が存在し、潜伏期間中は検査をしても「陰性」と判定されてしまいます。この潜伏期間中に採取された血液から作製された血液製剤はウイルス検査を合格し、患者様へ輸血されてしまう可能性があります。これらの輸血による感染リスクの可能性は低いのですが根絶することは困難です。もちろん輸血をしないことがリスクを避ける最善策ですが、症状の改善を期待する場合はどうしても感染リスクを伴いながら輸血をします。一般に輸血によるウイルス感染の潜伏期間は2~3ヶ月と言われています。そこで輸血した患者様方には輸血後2~3ヶ月を目安にこれらのウイルス感染症検査を受けていただくようご案内しております。これも臨床検査技師の大切な役割のひとつです。当院ではウイルス感染症検査を外部委託していますので結果が出るのに1週間ほどかかります。輸血をされた患者様でご希望の方は事前に申し出ていただければこの検査を受けることは可能です。ご理解を頂き前向きにご検討ください。よろしくお願いします。

ウイルスと共に

ウイルスは種類によって感染経路が様々です。ここでお話ししたウイルスは血液で感染する可能性が高く、輸血していなければ感染してしまうことは低いのですが、今世間を騒がせているコロナウイルスは飛沫感染や接触感染が疑われており、普通に生活している中で誰でも感染する可能性があります。3密を避けるなど常に感染予防を心がけることが重要です。今後も感染予防にはマスク着用などの咳エチケットやこまめに手洗いやうがいなどを行いましょう。