『心房細動』とは。

心臓の拍動が不規則(バラバラ)になる不整脈の一つです。心房という部屋が異常に速く不規則に拍動(細動)している状態のことをいいます。
心房細動には以下の問題点があります。
① 心臓の中(左心房)に血栓ができ脳梗塞の原因となる。
② 自覚症状(自覚症状がない場合もあります)
動悸・息切れ・疲労感・胸の不快感 など

ここでは心房細動による脳梗塞についてさらに詳しくご説明します。
心房細動では心房が不規則に拍動しているために血液が滞留し、心房内に血栓が形成されます。この血栓がとんで脳を栄養する血管をふさぐと脳梗塞を起こします。
血栓の約90%が左心房にある左心耳という袋状の場所で形成されます。

写真提供:ボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社

心房細動がある人は無い人に比べて脳梗塞を発症する確率が約5倍高いと言われています。
また心房細動による脳梗塞は大きな脳梗塞を生じることが多く、死亡や寝たきりなど重篤な後遺症が生じる割合が高いです。

《心房細動による脳梗塞を予防する治療》

・薬物治療(抗凝固療法)
脳梗塞を予防する目的で血液を固まりにくくするお薬(抗凝固薬)を使用します。
心房細動がある人が全て脳梗塞を起こしやすいわけではありませんので、以下の指標を参考にして脳梗塞リスクが高い人に使用します。
CHADS2(チャッズ)スコアという指標が一般的に使用されています。
心不全(C) 1点
高血圧(H) 1点
年齢(75歳以上)(A) 1点
糖尿病(D) 1点
脳梗塞や一過性脳虚血発作 2点     / 合計6点
この点数が高いほど脳梗塞になりやすいと言われています。
2点以上(場合によっては1点)あれば抗凝固療法を行った方が良いとされています。
抗凝固療法として使用される薬剤
ワルファリン(ワーファリン)
リバーロキサバン(イグザレルト) アピキサバン(エリキュース) ダビガトラン(プラザキサ) エドキサバン(リクシアナ)

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・左心耳閉鎖術
抗凝固薬は内服している間は脳梗塞の予防効果がありますが、内服を中断すると脳梗塞のリスクにさらされます。
多くの人は上記の抗凝固薬を安全に使用することができますが、長期間の抗凝固薬の内服ができない患者さんに対して抗凝固薬の代替治療が左心耳閉鎖術です。
脳梗塞リスクを低減する1回限りの治療です。
長期間の抗凝固薬の内服ができない人とは・・・
貧血を伴うような大出血の既往
脳出血の既往
抗血小板薬(バイアスピリン、プラビックス、エフィエントなど)を内服している
何度も転倒しけがをする
高齢や腎機能障害        など。

左心耳閉鎖術は専用の医療器具を全身麻酔下で心臓に留置します。取り換える必要のない永久的なものです。太ももの血管(静脈)に挿入した管(カテーテル)を左心房まで誘導し左心耳に器具を留置します。治療は1~1.5時間かかり、患者さんは治療翌日から歩行が可能です。退院後は今までと同様の生活が可能です。

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