3階病棟 心不全療養指導士

 アドバンス・ケア・プランニング(以下ACPとする)とは、人生の最終段階で受ける医療やケアについて、患者と家族などの身近な人、医療従事者が事前に繰り返し話し合う取り組みのことです。人生の最終段階において、患者本人の意思を尊重した医療・ケアを行えるようにするために実施されます。2018年には、厚生労働省において“人生会議”という愛称が付けられ、2025年現在もその普及啓発活動が盛んに行われています。

岐阜ハートセンターは、安全な医療の提供(safety)、心臓疾患専門病院としての確かな技術の提供(Specialty)、こころ温まる接遇(Spirit)、24時間お断りしない体制(System)を理念に掲げており、病院理念に則って看護部では、「心温まる看護で、その人らしく生きる支援をします。」という理念を掲げて日々の看護を行っています。また当院では、患者の一人ひとりがその人らしく生きていくためのサポートが出来るようにするために、2020年からACPの取り組みが開始となりました。開始当初は、「死」というタブー視されやすい問題を取り扱うことで、患者様から、「突然そんなこと聞かれても困る。」と厳しいお言葉を頂いたり、「そんなこと今話したくない」と気分を害してしまうこともありましたが、まず患者に病気について理解してもらうことから開始し、多職種で関わり、話し合いを続けていくことで、患者とその家族の希望に沿ったケアの提供ができるようになってきました。患者とご家族からは、「なかなか親子でも話し合いにくい内容だったからいい機会になりました。」という声や、地域の医師からは「ACPをしていたおかげで患者が希望通り自宅での最期を看取ることができました。」と感謝の言葉を頂いております。 現在では、試行錯誤を重ね、ACPのフローを作成し、それらに沿って患者と家族に実施しています。

今後もACPを継続的に実施し、医療者・患者・家族が十分に話し合える基盤を整えていきたいと思います。対話を通じて価値観や希望を理解し、将来の医療・ケアの方向性を共有することで、安心して生活できる環境づくりに貢献していきます。また、コミュニケーションを促進し、患者・家族の不安やストレスを軽減することも大切にしていきたいと考えています。

看護師として患者と家族の希望を尊重した医療を提供し、一人ひとりの命の物語を大切にしながら最期まで安心して過ごしていけるよう支援してきたいと考えています。世代を超えて意思が引き継がれ、未来の医療やケアに繋がるよう、医療者としてACPを推進し、多くの患者や家族、地域の方々と信頼関係を築きながら取り組んでいきます。