3階病棟看護師長 浅野高代

新型コロナウィルスによる、面会禁止に伴って、病棟では治療中または退院に向けて療養中の多くの患者様と接してきました。普段なら治療後にご家族の顔を見ることで、不安な気持ちが落ち着き、気力を取り戻され療養生活を送られる患者様が多く見えます。しかし、このような事態により面会をすることすら禁止となりました。必要な荷物を届けてくれる、洗濯物を持ち帰っていただく等、受け渡しは玄関前で行う状況が続きました。

今回、私たち病棟看護師が心をうたれ、家族とは何か、家族の大切さを改めて知ったエピソードを紹介します。ある日、患者様の部屋に訪室した看護師が目にした場面です。

「外から病室を見上げ手を振る娘さん、病室から外に手を振る父(患者様)」

また、別の日に玄関前で娘さんから預かった差し入れを患者様の病室に届けに行きました。

「差し入れと一緒に手紙を添える娘さん、手紙を読み、微笑む父(患者様)」

見ていて微笑ましい姿ではありますが、正直切なくなりました。その様子を聞き、涙ぐむ看護師もいました。私たち病棟看護師は、直接会っていただきたい思いと、感染を懸念する思いにジレンマを感じながら業務をしています。一番の治療は御家族の笑顔と言葉だと思います。御家族の力が患者様の闘病意欲を高め、救っているのは確かです。面会を制限させていただいている今、看護師は家族の代わりにはなれませんが、患者様の話を聞き、耳を傾け、気持ちを知り、その思いに添い看護することができます。患者様には、どんな些細なことでも話していただき、少しでも力になれたらと思っています。

現在、面会は必要に応じて対応しています。第3波が懸念されるなか、患者様の身体及びこころの健康を願い、感染予防策を実施しながら看護していきます。