外来看護師

当院では、2015年に「あしの外来」が開設されたことをきっかけにフットケアチームが発足しました。現在病棟と外来に在籍する看護師のメンバーは、フットケア指導士、血管診療技師(CVT)、インターベーションエキスパートナース(INE)、弾性ストッキング・圧迫療法コンダクターなどの専門資格を取得し、それぞれの学びを院内で共有、様々なあしの問題を抱えておられる患者様の看護に努めています。

外来では、しびれや冷え、痛み、色の変化、むくみなどの不調を訴える患者様の中には、どこに行っても原因がわからず悩まれ受診される方も少なくありません。当院は循環器専門病院ですので、動脈硬化に伴う症状の方の診断・治療も行っており、あしの外来でも「あしの血管が詰まっていないでしょうか?」「何か悪い病気では?」と心配されて受診する患者様をみかけます。しかし、その多くは慢性的な静脈不全の症状でいわゆる第二の心臓である脚の筋肉を上手く使えず心臓に血液が返すことができず症状が出てしまう方で占めています。その要因の多くは歩行習慣の低下、正しい歩き方が出来ていない、適切な靴の履き方の習慣が無い事などにあります。

当院では、そのように足に関する悩みで来院された患者様一人一人の症状、背景に合わせて、「あし」の問題解決に向けた検査、治療を行います。例えば、足の血管障害が疑われるようなら、ABI(下肢の動脈硬化の評価)、血管超音波検査は勿論、心電図や心臓超音波検査、呼吸機能検査など、血管以外の異常も見逃さないよう全身の評価を行います。心臓、動脈などに問題がないと診断された場合は医師の指示により、あしのむくみに対しては圧迫療法と生活指導を行っています。 生活指導では本来歩くために大切な足部のアーチというものが崩れていたり、足首や足趾の関節も硬く変形を伴う方もおられますので、フットケアチームの理学療法士が考案した「あしゆびストレッチ、筋力運動」のパンフレットを用いた指導、靴の履き方、歩き方、傷を作らないよう保湿などをお伝えしています。

以前は医師が診察中の限られた時間の中で生活指導も行っていましたが、現在は外来看護師皆で指導内容について学び合い、診察後に看護師も患者様おひとりずつに合わせ必要な生活指導を行っています。

私たちフットケアチームは、開院当初から大切にしている「目の前の方を大切に」を合言葉に、個々の患者様(時にはご家族)に合わせ、帰宅後も継続してセルフケアが出来るようなフットケア指導を心がけ、しっかり時間をかけて見守り、寄り添って参ります。

現在コロナ禍の中、行動制限も強いられ座位行動(Sedentary behavior)といった言葉も聞かれるようになり始めました。もともと勤勉な日本人は世界一座りっぱなしの時間が長いと言われておりましたが、さらに行動制限を伴う中で、慢性的なむくみで悩まれている方は増えています。歩くことを続けることは生命予後にも良いと言われていますが、むくみが悪化すると、立つこと、歩くこともつらくなってしまいます。一歩でも長くご自身のあしで立ち、歩き、その人らしい人生を続けて頂くために、「ここに来てよかった」と笑顔でご自宅に歩いて帰っていただくために、岐阜ハートセンターの外来では日々学びを続け、「あし」を支える看護を今後も大切にしていきたいと思います。