患者様は、入院生活において不安やストレスを感じ、様々な思いを抱かれていることと思います。そのため私は患者様の言葉だけでなくその言葉の奥にある一人一人の思いを聴き、思いにそった看護を行うことを大切にしながら日々患者様と関わろうとしています。
これまで関わらせていただいた中で印象に残った患者様とのエピソードをご紹介させて頂きます。患者様は重症下肢虚血による足趾潰瘍や壊死に対する治療のため当院に入院されました。下肢の血流を確保するカテーテル治療を繰り返し実施し、また毎日創部の処置を行っていましたが創部感染を繰り返し、入院が長期化していました。また、抗がん剤治療が必要な状態でもありました。入院中の患者様から強い口調で話され、充分なコミュニケーションや関わりを持つことができない日々が続きました。どうして患者様は強い口調で話されたのか、その思いを知りたいと思い、患者様と関わる際には強い口調で話された際も真摯に受け止め口調や言葉だけにとらわれずその裏にどのような思いがあるのか考えるようにしました。さらに病室に積極的に伺い患者様の思いを傾聴できるよう時間を作るようにしました。
そのような関わりのなかで患者様は下肢の治癒の目途が立たないことに対する不安や苛立ち、癌に対し治療ができていない現状に対する不安や焦り、退院後の自宅での生活に対する不安など多くの思いがあり、そのために強い口調になってしまったのではないかと気付くことが出来ました。その後も患者様の気持ちに寄り添い、傾聴する姿勢を継続することで徐々に患者様の表情も明るくなり、自ら看護師に思いを打ち明けて下さり、一緒に散歩に行きたいと誘ってくださるようになりました。そして退院の際には笑顔で「ありがとう」の言葉を頂くことができました。
患者様と関わり、思いに気付けたことで入院している患者様は自分の思いや不安をそのまま表現したり、看護師や周囲のスタッフに伝えることができずに葛藤されたり、苦しんでおられるのだと改めて感じました。患者様一人一人抱える不安や思いは異なると思いますが、その思いを傾聴できるような関わりを行い、患者様一人一人の思いに寄り沿った看護ができるようにこれからも努力していきます。