外来看護師

外来看護師は、在宅で療養される患者さまと病院をつなぐ役割を担っています。具体的には、一般外来エリアでの採血や薬剤を投与するような検査の介助、一刻を争う緊急処置の対応、電話による医療相談など多岐に渡ります。また、通院患者さまが療養生活を送る上でポイントとなるお薬の管理やお食事について、血圧測定値などのお話を伺うこともあります。

そういった外来看護師の仕事の中に、入院や検査などをご説明するオリエンテーションという業務があります。わたしはいつも、入院が決まった患者さまのご家族にお話しをする際、患者さまが不安を表出しやすいように環境を整え、入院生活がイメージでき、安心して治療に向かうことができるような説明を心がけています。医師に伝えたいこと、入院生活で心配なことなどをお伺いした際は、患者さまに代わって医師や病棟看護師へお伝えする橋渡しも大切な役割だと思っています。

今回は、私が実際に外来から退院後まで関わらせていただいたAさまのエピソードをお話ししたいと思います。

私がAさまに初めてお会いしたのは、Aさまが心臓の手術を受けられるために、心臓血管外科医師から手術の説明を受けられるときでした。医師からの説明後、Aさまとご家族さまからいろいろなお話を伺うことが出来ました。手術後の生活や、仕事復帰に不安があるなどの会話の中で、今予定されている入院時刻だと、お子様の学校の帰宅(時刻)に支障が出そうだと気にしておられました。私から医師に相談・調整し、無事お子様の帰宅に支障がないよう入院時刻を変更することができました。Aさまは「えっ?こんなこと相談していいの?」と心配されましたが、「(治療を受ける上で)小さな不安まで聞いて解決してもらえてよかった」と大変感謝してくださいました。

Aさまには、入院当日にも外来でお会いし、入院中も無事手術を乗り越え、病棟でリハビリを頑張られる姿などを拝見し、コロナ禍で面会制限があるつらさなどのお話を伺うこともできました。退院日は家族に迎えられ、入院前の少し不安そうな表情とは全く違う明るい笑顔で退院される姿は別人のようにうれしそうでした。

また、退院後の初回外来では、わざわざ私を探して会いに来てくださいました。「ごはんがおいしくて太った」「こういう時どうしたらいいの?」など近況報告をかねて伺った相談内容から、病状に関わる情報がありました。診察前に医師に伝え、適切な説明をしてもらうことで、Aさまは安心して帰って行かれました。元気になられた姿を拝見できたこと、顔や名前を覚えてくださっていたこと、心配事を解決できたことが本当に嬉しかったです。

外来で看護師が患者さまと関わる時間は限られていますが、今後も在宅で療養されている患者さまに寄り添える看護を目指していきたいと思います。