4階病棟 看護師
超高齢化社会を迎えているわが国において、当院に入院する患者さんも高齢化の一途をたどっています。また、医療技術の進歩に伴い体に負担が少ない(低侵襲)治療法が増え、超高齢者に対しても治療の選択肢が増えています。入院した患者さんは、その治療の過程で全身に負担がかかります(侵襲)。侵襲に伴い、入院患者さんに起こりうる状況として、食欲の低下、栄養状態の一時的な低下があります。いわゆる「フレイル(虚弱)」の一種とも考えられ、超高齢社会のわが国においては近年この言葉が注目されています。
当院では、循環器病のチーム医療に力を入れており、多職種スタッフが常に連携して一人一人の患者さんの治療を支援しております。一つのチーム紹介として栄養のチームがあります。NST(栄養サポートチーム)は2017年より活動を行っています。医師、管理栄養士、看護師、薬剤師、理学療法士、臨床検査技師などの専門スタッフが連携し、それぞれの患者さんに最適な栄養療法を行います。入院中の栄養療法は、非常に重要で、なぜなら侵襲や入院環境による低栄養は身体の治癒を遅らせる原因の一つとなるからです。そのため早期から栄養療法を行い、栄養状態の改善、原疾患の治癒促進、感染症や口腔機能維持などによる合併症の予防、治療中の生活の質の向上、などを図ります。
私が実際に関わった患者さんでは、入院前からやせぎみの方が手術を受けられ、治療後より食事量が減少しました。入院前は身の回りのことを全て自分でされておりましたが、日常生活において介助を要するようになり、飲み込む力(嚥下:えんげ)も低下しました。NSTチームの活動を通し食事内容・リハビリなどを見直し、患者さんに関わる看護師は申し送りで嚥下に関わる体操・日常生活動作(ADL)の自立を促すなどケアを統一して、患者さんに支援を行いました。その患者さんは回復され、入院時と同じADLで退院されました。患者さんが元気になり入院時のADLに回復する姿は嬉しく、看護をしていて大きな励みになります。
治療をして疾患の回復がゴールでなく、退院後も「いきいきと」楽しく生きるために、日常生活を維持できるようチームで患者さんを支えていきたいです。