地域医療連携室看護師

私は今年の3月まで病棟看護師として働いていましたが、4月から地域医療連携室に移り、働くようになりました。地域医療連携室には役割が大きく2つあります。

1つ目は前方連携で、地域のかかりつけ医など他施設からの外来受診、専門的な検査を目的とした患者様の受け入れ、転院患者様の受け入れや他施設への診察・検査予約業務を行います。

2つ目は後方連携です。入院患者様へ社会資源の活用提案や各種相談、自宅退院や転院先の検索や選定を行い、受け入れ先との連携業務を行います。

私は主に後方連携の役割を担い、患者様への退院調整を実践しています。

当院は急性期病院のため、日々たくさんの患者様が入院、そして退院されます。当院に入院される多くの患者様やご家族は、思いがけない急病の発症と入院に戸惑われます。また、急な環境の変化や病気の治療により、認知機能の低下や筋力の低下をきたし、入院前にできていた身の回りのことができなくなってしまうことも少なくありません。もちろん順調に自宅へ退院できる患者様がほとんどですが、昨今の超高齢化社会に伴い、当院に入院される患者様も高齢の患者様が多く、高齢者の独居や老々介護など退院支援を必要とする患者様が増加しています。

「早く自宅に帰って元通りの生活に戻りたい」

「リハビリして、以前と同じように自分で歩けるようになりたい」

「自分の世話で家族に余計な手間や面倒をかけたくない」

「家に帰って、また救急車で運ばれたりしないか不安」

などの入院した患者様の気持ち、そしてご家族の気持ちを(時に声なき声を)聞き取り、患者様ご本人とご家族にとって、しっかり理解、納得した形で退院までのプロセスを進めることができるように日々考えています。そのために、退院調整を行うにあたり、入院前にご自宅でどのような生活をされていたか、できるだけ事細かにご本人とご家族からお話を聞きます。今までのライフスタイルをもとに、患者様とそのご家族が不安なく自宅で過ごすことができるのか、それともまずは他の病院へ転院して入院リハビリや治療を継続するのがよいか、それとも事情により施設に入所した方がよいのか、などをご本人とご家族の想いをすり合わせて、方針を決定することが大切だと考えます。

そのために、私が、患者様やそのご家族と話しをする上で、一番心がけていることは、自分の思いや考えを表出しやすい雰囲気作りをすることです。初対面のスタッフに対して、家の中のプライベートなことを話すことに、抵抗がある方もいらっしゃいます。ちょっとした機会に少しでも多くのコミュニケーションの場を作り、患者さんが自分から話をしやすい環境を整えます。そして、身体的・社会的・精神的な視点から、患者さんの今の状況を多面的に理解、スタッフ間で共有し、患者さんの暮らしと人生を十分に考慮した方針をスタッフ皆で考えて(医師をはじめ看護師、リハビリなど多職種でのカンファレンス)退院支援を行います。

退院調整に関わり、まだ半年ですが、患者様に安心して退院してもらえるよう、目の前の患者様1人1人と向き合い、声なき声にも耳を傾け、それぞれの状況に寄り添って個別に支援していきたいと思っています。

退院後の暮らしに向けて、何か不安やお困りのことがございましたら、いつでも気軽に声をかけてください。