集中治療室らしいGHC(Gifu Heart Center)の集中治療の風景
GHCの集中治療室は、24時間365日、断らない、あきらめない、看護を実践しています。
私たち集中治療の看護師は、主に心筋梗塞や心臓手術後の患者さんの命と生活を守る支援をおこなっています。
GHCはみなさんご存知の通り、心臓治療を専門として最先端の知識や技術をもって活躍する医療スタッフが多く在籍し、全国から患者さんを多くご紹介いただきます。
我々看護師は、命を救うために人工呼吸器や循環補助装置の管理や患者さんの生活に着目した介入をおこなっています。重症患者さんの1日も早い回復と元の生活に戻る事が出来るように、医師、理学療法士、臨床工学技士、栄養士と協力し、急性期医療を行なっています。
「皆さんの大切なことはなんですか?」
心臓の病気は突然起こることが多いです。
何の準備もないままに、今この瞬間に起こるかもしれません。
大小あれども皆さま一同に、大切な何かを抱えています。
「猫を飼っているのだけれど、一人暮らしで頼める家族もいない。家族同然の猫なんです」
「ナス栽培に人生をかけて頑張ってきました。今、収穫の時期なんです」
「夫婦で暮らしていますが、妻は私がいないとご飯も食べれないんです。私はどうなってもいいですから、どうにか帰ります。」
「明日は大切な仕事があって、どうしても自分が出ていかないと職場の人たちが困ってしまう。」
これらは、全て実際に私たちが関わった患者さん、ご家族からの声です。
そのような思いを抱えながら、患者さんは病気の為に集中治療室に入床しています。
その人らしい生活をあきらめない ~できない事でなく、できる事を見つける~
私たち看護師の仕事は大きく2つあります。
1つは、病気の回復を目指し医師と共に患者さんの治療をする事です。
そしてもう1つ私たちの大切な仕事は、患者さんのその人らしい生活を守る事です。
なので私たちは、命と向き合い頑張っている患者さんの一番近くで寄り添い、患者さんの話に耳を傾け、大切にしている事を聞きます。
代わりに猫を飼うことはできないけれど。代わりにナスの栽培はできないけれど。患者さんの代わりに仕事には行けないけれど。まずは話をよく聞き、できる限り辛い思いが軽減するように調整します。
・ご友人に連絡をとって、一時的に猫のお世話をお願いし一緒に安心しました。
そして、猫の写真を集中治療室のベッドサイドに飾り、いつでも顔が見られるようにしました。
・御親戚がナスの栽培を手伝ってくれ奥様と頑張っている事をベッドサイドで伝えました。
病状が厳しい時には、ナスを持ってきてもらい生きる力を取り戻せるように努めました。
医療を超えて人を治す”フシギナチカラ”
私たちは、病気を治すには薬や点滴だけではなく、病気を治そうという患者さんの思いや気持ちも大切だと思っています。科学的な根拠は、今はまだありませんが、ベッドサイドに長年いるとそういう力があるなぁと思わされます。
ナスの栽培をしていたご家族の方々に、私たちもご自慢のナスを頂きました。
その方の思いのたくさん詰まった、とっても美味しいナスでした。
明日からも、ベッドサイドで患者さんの人生に寄り添いながら看護していきます。