特定行為実践看護師 木内佑哉

私は循環器専門病院の手術室で勤務する9年目の看護師です。手術室では器械出し看護業務や医師の指示のもと麻酔補助業務を行ってきました。手術が無い日は外来、病棟、カテーテル室、集中治療室へ行き看護を実践しています。その中で感じたことは、手術を終えた患者様が術後トラブルなく退院できているのかという疑問と手術室や他部署で看護実践の経験を積みたいと考えるようになりました。看護の質向上のために教科書で勉強もしますが、臨床現場や体験から得られる学びの大きさを感じスキルアップできる研修制度を探しました。そんな中タイミングよく自院で特定行為研修が開始するとのことで、迷わず受講し現在、第1期特定行為実践看護師(当院独自の名称)として活動しております。

特定行為研修は1年間のうち前半がe-ラーニングによる動画講義です。この研修制度は勤労学生でも受講できるため、業務終了後は自宅で講義を視聴し、新しい医療・看護知識の獲得することに専念しました。後半は臨床現場で研修が行われます。臨床現場では人工呼吸から離脱できず長期挿管中の患者様に関わらせていただきました。なぜ離脱できないのか、本当に人工呼吸は必要なのか等を考え、主治医や受け持ち看護師と相談し、現状できる一番良い医療、看護を提供することができました。この経験は手術室で勤務しているだけでは出来なかったことであり、特定行為研修の成果と考えます。

1期生ということもあり今後の活動内容や職場の環境整備は自身で行う必要があります。

勤務部署は手術室でありその中でできる事を考え、動脈血液ガス分析関連の特定行為を日々実践し知識と技術の向上に努めています。また、教育面では育成に時間を必要とする麻酔補助業務に関わっております。麻酔補助業務は麻酔科と同様にモニターを随時確認して、薬剤準備、記録などを行い医師に近い思考で患者様を診ることが必要です。特定行為研修で医師の視点を学んだ経験を活かし、教育が円滑に進むよう麻酔補助業務の基準書を医師と作成しました。医師がどのタイミングで何を見ているのかを見える化することは、私の役割と考えています。他部署の看護師から長期人工呼吸器装着中の患者様のウィーニング相談や、医師からは特定行為の依頼があり、少しずつではありますが研修を受けたことで良い変化を感じています。自身の未熟さを痛感する場面も多いですが、患者様や御家族様に最善のタイミングで看護を提供できるようにしていきたいです。