『きょうもラジオは!? 2時6時 』~第38弾~

2022年1月13日午後2時30分、『本地洋一のハート相談所』今年初めての放送です。

本地洋一さん:今日はまずリスナーさんから質問が来ています。

吉田早苗さん:ラジオネーム時風さんからの質問です。

心臓突然死という言葉を聞いただけで怖いのですが、私は1年に1度か2度の割合で布団に入った時などに、息苦しくなることがあります。その時は、ゆっくり呼吸をして戻るのを待っています。これは心臓よりも肺の問題でしょうかね?

松尾院長:息苦しいという症状は、必ずしも呼吸器疾患ばかりではなく、心臓の病気で起こることもあります。たとえば、狭心症の中には夜間に特異的に症状が出る異形狭心症といった狭心症などです。

1年に1~2回というと、ごく稀に起こるということになりますが、時風さんが、糖尿病、高血圧、高コレステロール血症などの心臓病の危険因子をお持ちであるならば、一度病院でチェックしていただいたほうが良いと思います。

本地洋一さん:心配であれば、1度専門の先生に相談をすると良いということですね!

さて、本日のテーマは『心臓突然死』です。

まず、『心臓突然死』はどのようなものなのでしょうか?

松尾院長: 『心臓突然死』とは症状が発症して、1時間以内に突然意識消失をきたす心臓に起因する内因死』と定義されています。

原因となる疾患では心筋梗塞などの虚血性心臓病、高血圧、心臓弁膜症、特発性心筋症、心筋炎、心サルコイドーシスなどがあります。

日本では、年間約8万人、1日に200人、7分に1人が心臓突然死で亡くなっているといわれています。

本地洋一さん:驚きました。ということは『心臓突然死』はけっして珍しいことではなく、何時、何処で起こるかわからないということでしょうか?

松尾院長:そうなんです。ポックリと亡くなるということは、ご本人よりもご家族をはじめとした周囲の方にとっては心の準備が出来ていないということなので、我々医師としましても助けられる方は何とか助けたいと思うわけです。

ところで、心臓が停止すると脳への血流がなくなり意識を失いますが、心停止から意識消失までの時間はどのくらいかご存じでしょうか?

本地洋一さん:えーっと、10秒から20秒くらいですか?

松尾院長:心停止の原因の多くは『心室細動』と呼ばれる重篤な不整脈です。『心室細動』になると心臓は震えるのみでポンプとして全身に血液を送り出せなくなります。

『心室細動』により脳への酸素供給が途絶すると5秒程度で意識を失い、心停止の状態が3~5分以上続くと、仮にその後心拍が再開しても脳へのダメージが残ってしまうと言われています。これを蘇生後脳症と言います。

心停止から心拍再開までの時間が1分遅れるごとに、救命率は10%ずつ低下します。

119番通報で救急車を呼んでから救急車が到着するまでの時間は平均8.7分で、救急車の到着を待っている間に、何も処置をしないと心停止患者様の救命率は9.3%です。

救急車の到着までに胸骨圧迫、つまり心臓マッサージをしていた場合の救命率は13.8%。

これに対し、胸骨圧迫とAEDを用いた電気ショックを行った場合の救命率は53.6%です。

つまり、心停止から極めて短時間で胸骨圧迫を開始し、さらにAEDが近くにある場合は、救急隊が到着する前でも電気ショックを行い、心拍を再開させないと患者さんを助けることが出来ないということになります。AEDは現在、駅や空港、デパート、学校など多くの場所に設置してあります。身近なところでAEDがどこにあるか知っておくことも有用と思われます。

本地洋一さん:なるほど、突然の心停止の場合は、近くで目撃した人や周囲の人がどのような対応をするかによって、倒れた方のその後の人生が変わってくるということですね。

松尾院長: 一般の方が、突然の心停止を目の当たりにすることはほとんどありませんが、いざという時のために胸骨圧迫やAEDについての正しい知識を持っておくことは、大変有意義なことであると思います。

今は新型コロナウイルスのために、消防署や病院などで行われていた一般市民向けの心肺蘇生法の研修会がなかなか開催されない社会状況ですが、最近はインターネットで胸骨圧迫の方法やAEDの使用方法などを簡単に検索できますので、ご家族そろって勉強してみてはいかがでしょうか。

https://aed-zaidan.jp/index.html

吉田早苗さん:ありがとうございました。また、心臓や循環器疾患に対する質問やご意見などがございましたら、番組までドシドシとお寄せください。

次回のハート相談所は2022年1月27日(木) 14:30からの放送になります。