皆様、ぎふチャンのラジオ番組で『きょうもラジオは!? 2時6時 』ってご存じでしょうか?

8月13日午後2時30分、『本地洋一のハート相談所』第4回目の放送です。
心臓や血管の病気は急激に症状が悪化したり、重症化したりするケースが少なくありません。「どんな治療法があるのか?」、「急に悪化した場合どうすれば良いのか?」「予防策として、普段の生活でできることは何か?」など、岐阜ハートセンターの松尾仁司院長とパーソナリティの本地洋一さん、吉田早苗さんが対談の中で、地域の皆様の命を守るのに役立つ情報を発信していきます。

前回の放送では『動悸』をテーマに約20分にわたり危険な症状などをお話しいたしました。
その際に、不整、頻、徐という病気のワードが出ました。また、コーナーの最後に自分の脈の測り方をお伝えしました。

リスナーの皆さんは、そもそも『脈』ってなんだかご存じでしょうか?ということで、今回のテーマは『脈』についてです。
最初に、本地洋一さんから松尾仁司院長に対し『脈』をリスナーにわかりやすく医学的に説明してくださいとの投げかけがありました。

松尾仁司院長脈拍とは動脈の拍動する数、すなわち心臓が拍動する数です。

心臓という臓器は人がお母さんのお腹の中にいるときから、お亡くなりになるまでのあいだ、1分間に約60回、1時間に約3,600回、ということは1日約10万回 24時間、365日、一生の間ずーっと休むことなく規則正しく拍動をつづけています。

こういったことから、『脈』はある意味健康のバロメーターといえます。

また、心臓という臓器は身体が必要とする血液の量に応じて脈を増やしたり減らしたりすることが出来る大変賢い臓器です。

階段を上がったり、走ったりする際は、全身の筋肉に多くの酸素や栄養が必要となります。そういった際、心臓が正常に機能している場合であれば、心臓は脈拍数を120回~180回と増やしたり、血圧を上げたりして筋肉に多くの血液を循環させます。逆に寝ているときとか、動かずじっと座っている時には筋肉や脳、内臓といった身体の各器官は運動しているときに比べさほど栄養や酸素を必要としません。したがって、安静時は運動時に比べ脈拍数が少なくなります。

これには『自律神経』が影響しています。『自律神経』とは、内臓の働きや代謝,体温などの機能をみなさんの意思とは関係なくコントロールしており、『交感神経』と『副交感神経』の2種類があります。一般的に精神的に緊張したり運動したりした場合、『交感神経』が活発となり、『脈』が早くなります。一方で夜寝ているときやリラックスしているときなどは『副交感神経』が活発となり、『脈』がゆっくりとなる傾向にあります。

みなさんがご自分の意思で『脈』を早くしたり、ゆっくりうたせたりということが出来ないのはこの『自律神経』が心臓の『脈』をコントロールしているからです。

『脈』を診る上においてもう一つ大切なことがあります。それは、規則正しいかどうかです。一般的に正常な人の場合、安静時にリラックスした状態であれば脈拍数は一分間に60回から70回程度で、かつ規則正しく拍っています。

手首の動脈や頚動脈で『脈』をふれた際に間隔が不規則であったり、『脈』が飛んでいたりした場合は脈のリズムが乱れている可能性があります。

『不整脈』とは脈拍数の異常(早すぎる、遅すぎる)、あるいは脈のリズム異常(心臓内で電気刺激が異常な経路で伝わる)の総称です。

前回『動悸』の放送でお話しした“じっとしているときに急に脈が速くなる動悸”は不整脈が起こっている可能性があります。

『不整脈』の中には放置した場合、意識がなくなったり、最悪死に至るような重症な不整脈もありますが、そうでないものもたくさんあります。多くの方は何らかの『不整脈』を持っていると言っても過言ではなく、その多くは治療の必要がない良性の『不整脈』です。

また、医学的には致死的でない比較的軽症な『不整脈』でも強い症状を訴えられる患者様がお見えになる反面、逆に重症で侵襲的な治療が必要でも『脈』のみだれを感じないという患者様もいらっしゃいます。

『不整脈』の最も一般的な原因は心臓の病気です。

皆さんが定期的に受けている健康診断では、心電図検査が行われています。その理由は、重篤な『不整脈』の有無を確認したり、心臓に負担がかかっていないかどうかを確認するためです。

健康診断で心電図異常を指摘された方が受診された際に我々は、その『不整脈』の裏側に心臓弁膜症、心筋症、冠動脈疾患といった心臓病が隠れていないかどうかを調べます。これら心臓の基礎疾患がなくても出る『不整脈』の多くは良性の『不整脈』です。一方で、心臓に基礎疾患があった場合はその治療をすることにより、『不整脈』も改善する場合多くあります。したがって、健康診断で『不整脈』等の心電図異常を指摘された場合やご自分で『脈』の乱れを自覚した際には、医療機関できちんと診てもらうことが大変重要です。

最後に本地洋一さんより“自分で脈を診る場合1分間の脈を診ればよいでしょうか?”との質問がありました。

松尾仁司院長:脈のリズムが規則正しい場合は10秒間の脈拍を数えそれを6倍すると比較的容易に脈拍数を計測できます。

あっという間に15分がたってしまいました。まだまだ、脈の話は続きそうです。

本日の放送のURLは下記のとおりです。

きょうもラジオは!?2時6時 | ぎふチャン | 2020/08/13/木  14:00-16:00 http://radiko.jp/share/?sid=GBS&t=20200813142925

次回の『本地洋一のハート相談所』は8月27日(木)放送予定です。