『きょうもラジオは!? 2時6時 』~第81弾~

2023年10月12日午後2時30分、『本地洋一のハート相談所』 第81回目の放送です。

今回の放送のテーマは『脈』です。

本地洋一さん: リスナーの皆様の中にもご自分で脈を取られて「あー、こんなものか」と思われた経験がある方がお見えだと思います。

ところで『脈』って何ですか?と聞かれたときにちゃんと答えられる方は少ないのではないでしょうか?

吉田早苗さん: 先ほど本地さんが自分の脈をとるといわれましたが、なんとなく手首の辺りで脈をとることは知っていますが、私の場合それがよくわからなくて・・・

松尾先生、『脈』の取り方から教えていただけますか?

松尾仁司院長: わかりました。辞書で『脈』という漢字を引いてみますと、血管。動脈が伝える心臓の鼓動、すじ立ってつづくものとあります。

脈拍という単語を耳にすることがあると思いますが、これは心臓の筋肉が一定のリズムで収縮すること(拍動)により、動脈を通じて全身に血液が送られることです。拍動に伴って動脈内壁に圧力の変化が生じるため、手首の動脈やふとももの付け根の動脈などでは、動脈の拍動を感じることが出来ます。

ご自分の手首の内側で、親指の付け根あたりを軽く触れてみてください。そうするとドクン、ドクンという拍動を触れることが出来ます。

 

1分間の感じられる脈拍の回数を脈拍数と呼び、人の場合一般的な成人で60回~70回程度の方が多いです。

 

ただし、運動した時などには身体は安静時よりも多くの血液を必要とするため心臓は脈拍数を120回→140回→160回/分と増やして多くの血液を全身に送り出します。また、精神的な緊張状態でも交感神経の興奮により脈拍数は高くなります。これらはいずれも生理的な反応で病的なものではありません。

 

本地洋一さん: 脈が乱れるという表現を聞くことがありますが、これはどういうことでしょうか?

 

『不整脈』

松尾仁司院長: 『動悸や脈の乱れ』を主訴に岐阜ハートセンターを受診される患者様は少なくありません。これらの患者様の症状の原因が『不整脈』である場合があります。

『不整脈』には、安静時の脈拍数が1分間に100回を超える「頻脈」、50回以下になる「徐脈」、脈が飛ぶ「期外収縮」、心筋がでたらめに動く「細動」などがあります。

『不整脈』は、加齢や生理的な理由により誰にでもあることで、ほとんどの場合、心配ありません。しかし、重い『不整脈』は心機能だけでなく他の臓器にも影響しますので、適切な治療をしたほうがよいでしょう。

本地洋一さん: 治療が必要な『不整脈』についてもう少し教えてください。

松尾仁司院長:まず、動悸の原因は1.生理的反応による頻脈、2.心臓以外の病気が原因の頻脈、3.不整脈や心不全が原因の脈の乱れの3種類があります。 “何もしていないときに急にドキドキする”場合や、 “ちょっと動いただけで胸がアブツク”といったような症状がある場合は、その後ろに病気が隠れている場合があります。

心臓以外の病気が原因の代表的なものは、貧血がある場合や甲状腺の病気による内分泌ホルモンの異常があげられます。

また、『動悸』と息切れはセットで現れることが多いです。運動をすると手足の筋肉はより多くの酸素を必要としますので、息切れを感じます。その結果呼吸回数を増やして多くの酸素を肺から血液中に取り込み、心臓は多くの血液が筋肉にいきわたるように心拍数を増やして対応します。

ただし、ごく軽い労作時に起こる『動悸』や息切れの場合は、心臓病をお持ちの方の他に、肺に病気がある方にも表れる症状です。

心臓の病気を例に挙げますと、不整脈の他にも狭心症、心臓弁膜症、心筋症などたくさんの病気がありますが、いずれも症状として『動悸』や息切れを訴えられる場合が多くあります。

そのため、患者様の訴えだけで正しい診断をつけることは出来ません。

特に『動悸』や息切れの頻度が増えてきたり、感じ方が強くなってきた場合はなるべく早めに病院を受診することをお勧めします。

比較的頻度の高い不整脈に心房細動があります。この不整脈は加齢とともに頻度が高くなり、70歳を超えると10%を超える頻度で心房細動を発症していると言われています。

心房細動を放置すると心臓の中に血栓といる血の塊ができて、その血栓が脳卒中などの恐ろしい病気を引き起こす可能性があるということです。

これらの病気が隠れていることを早く見つけて正しい診断と治療につなげるためには、定期的に健康診断を受けることが大切です。

 

吉田早苗さん: 次回のハート相談所は2023年11月2日(木)にお送りいたします。

また、心臓や循環器疾患に対する質問やご意見などは番組までドシドシとお寄せください。