『きょうもラジオは!? 2時6時 』~第56弾~

2022年10月13日午後2時30分、『本地洋一のハート相談所』 今年18回目の放送です。

今回の放送のテーマは『糖尿病の運動と食事』についてです。

本地洋一さん:『成人病やメタボリック症候群に対しては食事と運動が大切』とはよく耳にしますよね!

吉田早苗さん:でも食事制限や日々の運動を継続するのはなかなか難しいですよね。

松尾仁司院長:まずは前回お話しした『糖尿病』とはどのような病気なのかを復習しましょう。

人はエネルギーを消費すると、『血糖値』が下がり空腹や疲労を感じます。

リスナーのみなさんは食事の際に主食としてご飯やパン、麺類を食べると思いますが、これら炭水化物は、体の中で消化吸収されて、ブドウ糖(グルコース)になり、エネルギーになっていきます。

食事で炭水化物を摂取すると、『血糖値』は上がり再び仕事や勉強をするための活力が生まれます。

健康な人の場合はこの『血糖値』はホルモンによって上がりすぎたり下がりすぎたりしないようにコントロールされています。下がりすぎた『血糖値』を上げるためのホルモンはいくつかあるのですが、上がりすぎた『血糖値』を下げるためのホルモンは膵臓のランゲルハンス島のβ細胞から分泌されるインスリン1種類だけです。

『糖尿病』とは、このβ細胞の働きが悪くなってインスリンの分泌量が少なってしまったたり、インスリンがうまく働かなくてグルコースが脳や筋肉などの臓器にうまくとりこめなくなって『血糖値』が常に高い状態になる病気です。

『糖尿病』とは特に症状もなく徐々に全身をむしばんでいくシロアリのような病気で、放置すると血管内皮という組織が障害され何年も続くと内皮細胞機能がどんどん低下してしまい、それに伴って動脈硬化が進行して狭心症、心筋梗塞などの心臓病、脳梗塞や脳出血などの脳卒中が起こりやすいことが知られています。

したがって、早期発見、早期治療とともに予防が大変重要となります。

最近では、良い治療薬がたくさん出てきてはいますが、なにより糖尿病にならないための予防と糖尿病を放置し悪化させないことが大切です。

本地洋一さん:糖尿病にならない、悪化させないために重要なのが食事と運動ということですね!

松尾仁司院長:そのとおりで、血糖値をコントロールするためには、食事と運動が重要であることが広く知られています。

『糖尿病の食事』

糖尿病になったら、厳しい食事制限があり、お医者さんからあれ食べちゃダメ、これ食べちゃダメと言われてしまうと思っている方も多いかと思いますが、食べてはいけないものは特にありませんし、またこれさえ食べればよいといった特別なメニューもありません。

吉田早苗さん:リスナーさんからも糖尿病だから甘いものは食べちゃダメとかいうお悩みを伺うことがありますよ。

松尾仁司院長:甘いものが全くダメというわけではなく、食べ過ぎが良くないということです。

ご自分の体に合ったエネルギー量(必要カロリー)と栄養バランスがとれた食事を規則正しく摂取することが基本になります。

10代~20代で活発に運動をされている方は、運動で多くのカロリーを消費するうえ基礎代謝が高いので、食事で多くのカロリーを接種してもそれらを消費することが可能です。

しかしながら、40代~50代になって運動習慣がなくなるとともに、加齢による基礎代謝が低下した方が、若いころと同じ食生活を続けた場合には、食事で摂取したカロリーが日常生活で消費されるカロリーを上回ってしまうため、肥満や『糖尿病』の原因となります。

 

糖尿病の予防や悪化させないための食事療法のポイント

① 間食の量と頻度を減らしましょう

② 主食の量を減らしましょう

(ごはん、パン、麺類など炭水化物を多く含み、血糖値が上がりやすい)

③ 麺類と一緒にご飯を溜めることはやめましょう

(うどんとおにぎり、ラーメンとチャーハンなどの重ね食べは✖

④ 野菜のおかずを先に食べるようにしましょう

(キノコ、海草、こんにゃくなど食物穿刺を多く含むものがおすすめ イモ類やカボチャなどは糖質を多く含みます)

⑤ 飲み物は無糖のものを選びましょう

(スポーツドリンクや甘いジュースは糖分が多く含まれています)

⑥ 栄養成分表示を確認しましょう

吉田早苗さん:糖質制限という食事療法がありますが、完全に糖質を接種しないほうが糖尿病にとってはより良いということでしょうか?

松尾仁司院長:難しい質問ですね! 学会の中でも賛否両論で、意見の分かれるところですが、糖質を完全にシャットアウトする完全糖質制限よりも糖質の摂取量を少なくするプチ糖質制限が勧められていると思います。

特に2型の糖尿病は肥満と深く関連していることが知られています。

標準体重を「22×身長(m)の2乗」の式で算出し、ご自分の体重が標準体重よりも大幅に重い場合は、減量をお勧めします。

複雑な計算が面倒な方は、

・身長150cmの方の標準体重: 50kg

身長160cmの方の標準体重 :56kg

・身長170cmの方の標準体重: 63kg

・身長180cmの方の標準体重: 71kg

を目安にしてみてください。

ご自分の年齢や運動量で消費されるカロリーはどれくらいかを考えそれに見合ったエネルギー量の食事をバランスよくとることが大切で、長く続けるには完璧な食事改善を目指すよう里も、調理法や食品を変えたり、血糖をコントロールする食べ方を工夫することが大切です。

『糖尿病の運動療法』

運動の効果

運動療法が何故よいかと言いますと、2型糖尿病の場合、その原因が肥満、過食、運動不足によるものだからです。運動によりエネルギーを消費して、肥満を解消・抑制します。さらに運動を習慣化すると筋肉の活動量が上がることにより、悪かったインスリンの働きも改善します。さらに食後1時間頃に運動をすると、ブトウ糖や脂肪酸の利用が促進されて血糖値が下がるという効果もあります。

運動の種類

運動の種類には、有酸素運動とレジスタンス運動の2つがあります。糖尿病の患者さんは、ダンベルなどを使って筋肉に負荷をかけるレジスタンス運動より、歩行やジョギング、水泳などの全身運動にあたる有酸素運動のほうが効果的といわれています。

どれくらい行えばよいか?

心臓病などの病気や下肢に障害をお持ちでないかたなら、1日やく7,000歩から10,000歩位が良いとされています。

歩行運動の目安としては1回につき15~30分間、1日2回、1週間に少なくとも3日以上の頻度での歩行運動が望ましいとされています。

吉田早苗さん:10,000歩って結構ありますよ・・・ それを週に3日とはかなりハードルが高いですね!ショッピングモールでのお買い物ならいけそうかもしれないですけどね。

三日坊主になりそうです。

松尾院長:おっしゃる通りで、普段全く運動していない人にとっては初めから10,000歩を週3回ですと、かなり無理がありますので、最初は10分くらいから徐々に時間と距離を伸ばしていくほうが良いと思います。

また、心臓病や足に障害がある方などは、最近では運動処方と言って医学的に効果的かつ安全な運動の種類や運動強度、時間などを設定していただける病院も増えていますので、心臓病などをお持ちの方は是非主治医の先生に相談してみてください。

あと、運動を習慣として継続するには、周囲の人に運動を継続することを宣言する、玄関に運動靴を置いてしまわない、近所の公園や運動施設を利用するなどいくつかのコツがあります。

あろ、運動を楽しみにすることがポイントで、ご夫婦、あるいは仲の良いお友達と一緒に散歩することから始めてはいかがでしょうか!

吉田早苗さん:ありがとうございました。また、心臓や循環器疾患に対する質問やご意見などがございましたら、番組までドシドシとお寄せください。