『きょうもラジオは!? 2時6時 』~第53弾~

2022年8月25日午後2時30分、『本地洋一のハート相談所』 今年15回目の放送です。

今回の放送のテーマは『メタボリック症候群』についてです。

本地洋一さん:『メタボリック症候群』最近よくメタボというフレーズを耳にします。あまり良い健康的ではない印象がありますが、『メタボリック症候群』というのは、そもそも病気なのか?どのような症状があるのか?などをふくめてご説明いただけますでしょうか?

松尾仁司院長:『メタボリック症候群』、世の中ではメタボと略されてずいぶん浸透してきています。

リスナーの皆様も少し太った方に対して、“あなたはメタボですね!”などと言われているのを聞いたことがあるのではないでしょうか!

しかしながら、太っている人すべてが『メタボリック症候群』というわけではありません。

そこで、『メタボリック症候群』を視聴者の皆様に正しく理解していただくうえで、今回は『肥満』についてのお話からをしましょう。

『肥満』とは身長に対して体重が重たい状態を言います。

リスナーの皆様はBMIという指標があることをご存じでしょうか?BMIとは肥満度を表す指標として国際的に用いられている体格指数で、[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で求められます(身長はcmではなくmで計算します)。

『BMIの値は22が最も健康的です』

日本肥満学会の定めた基準では18.5未満が「低体重(やせ)」、18.5以上25未満が「普通体重」、なかでもBMIが22になるときの体重が標準体重で、最も病気になりにくい状態であるとされています。

『BMIの値が25以上を肥満といいます』

BMI25以上は「肥満」と定義されていて、肥満はその度合いによってさらに「肥満1」から「肥満4」に分類されます。

『皮下脂肪型肥満と内臓脂肪型肥満』です。

 

皮下脂肪と内臓脂肪はそれぞれ違った性質を持っています。皮下脂肪はお腹をつまむとわかる脂肪で皮膚のすぐ下に溜まる性質があります。一方で内臓脂肪はお腹の中の臓器、腸の回りの腸間膜につく脂肪なので体の表面からはわかりにくいのですが、いわゆるポッコリお腹の方は内臓脂肪が多くついていると言われています。

またこの二つの脂肪はその合成と分解の性質にも違いがあります。

皮下脂肪は脂肪の合成と分解に時間がかかるため内臓脂肪に比べ、つきにくく、取れにくい脂肪と言えます。預金にたとえると定期預金ですね!

一方で内臓脂肪はその合成と分解が皮下脂肪に比べてさかんに行われるため、摂取した栄養に余分があれば溜まりやすい脂肪と言えます。

お金にたとえると、お財布の中のお金で出し入れが容易であると言えるかもしれません。

皮下脂肪型の肥満は内臓脂肪型の肥満に比べて、心血管疾患のリスクは低いと言われています。しかしながら皮下脂肪がすごく多いにもかかわらず内臓脂肪が全くないなどという方は多くありません。定期預金(皮下脂肪)がたくさんある人はやはりお財布の中にもたくさんお金(内臓脂肪)があると考えていいのではないでしょうか!

『メタボリック症候群とは内臓肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさった状態をいいます』

厚生労働省のホームページを見ますと、『メタボリック症候群』の診断基準は

ウエスト周囲径(おへその高さの腹囲)が男性85cm・女性90cm以上で、かつ血圧・血糖・脂質の3つのうち2つ以上が基準値から外れると、「メタボリック症候群」と診断されます とあります。

メタボリックシンドロームの診断基準 *厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイトより抜粋

『メタボリック症候群』は厳密には病気ではありませんが、脳梗塞や心筋梗塞などの原因となる動脈硬化のリスクを高めることが分かっています。

『死の四重奏』

先ほど、内臓肥満に加えて高血圧、糖尿病、脂質代謝異常のうち2つが合わさった状態をメタボリック症候群と定義されると言いましたが、これら4つの条件(内臓肥満+高血圧+糖尿病+高脂血症)全て揃った状態を死の四重奏と言い、心筋梗塞などの心臓病で死亡する確率が30倍高くなることが知られています。

本地洋一さん:『死の四重奏』とは恐ろしいですね。『メタボリック症候群』はその一歩手前ということですか!『メタボリック症候群』は病気ではないということですが、放置しておくと恐ろしい病気にかかる可能性が極めて高い状態ということが分かりました。

これまでも、先生に様々な循環器疾患のお話をしていただいたのですが、共通していることは循環器疾患の予防、再発防止や進行を食い止めるには生活習慣の改善が大切であるということですよね!

松尾仁司院長:おっしゃるとおりで、病気の中には癌のように遺伝的要素が強い病気と生活習慣と密接な関係がある『メタボリック症候群』によって引き起こされる動脈硬化を原因とするような病気があります。もちろん近年では大変良い薬が出てきていますので、お薬で血圧や血糖、コレステロールの値をコントロールすることが出来るようになってきています。

しかしながら、長く健康な生活を続けるためには生活習慣を改善することを強くお勧めいたします。

本地洋一さん:私もメタボ体型で、努力はしているのですがどうしても長続きせずにリバウンドを繰り返してしまいます。先生は多くの患者さんを診られていると思いますが、『メタボリック症候群』の方に対するアドバイスをお願いします。

松尾仁司院長: 『メタボリック症候群』特に『肥満』は生活習慣を改善することが非常に重要です。主に食習慣の改善と運動習慣の継続です。これにつきましては、次回に詳しくお話いたします。

吉田早苗さん:ありがとうございました。また、心臓や循環器疾患に対する質問やご意見などがございましたら、番組までドシドシとお寄せください。

次回のハート相談所は2022年9月8(木) 14:30からの放送になります。