『きょうもラジオは!? 2時6時 』~第87弾~
2024年1月11日午後2時30分、『本地洋一のハート相談所』 令和6年1回目の放送です。
今回の放送のテーマは『岐阜ハートセンターってどんな病院?』です。
本地洋一さん: リスナーの皆さんの中にも岐阜ハートセンターをご存じの方は多いと思います。ハートセンターという名前からは心臓の病院という印象がありますが、もう少し詳しくご説明をお願いします。
『岐阜ハートセンターは心臓血管病に特化した専門病院です』
松尾仁司院長: 岐阜ハートセンターは2009年2月5日に岐阜県下初の循環器専門病院としてスタートし、2024年2月で、開院から15周年となります。
私は、2代目の院長となりますが、開院時45名であった職員数も2024年1月には207名と4倍以上に増加しました。循環器疾患治療を通じて、地域へ貢献することが、我々の使命と考えています。
本地洋一さん:岐阜県にもたくさんの医療機関がありそれぞれの施設が理念に沿って医療を行っていると思います。
岐阜ハートセンターの理念からお話しください。
松尾仁司院長: 『岐阜ハートセンターの理念は4つのSです』
岐阜ハートセンターの開院の理念は“Safety” “Speciality&Science” “Spirit” “System” の4つのSです。
1. 安全(Safety):医療の現場には何よりも安全性が要求されます。安心・安全な医療を提供できるようことが岐阜ハートセンターの文化として根付くように努めています。
2. 専門技術(Specialty & Science):岐阜ハートセンターは循環器内科と心臓血管外科を中心とした循環器専門病院で、1分1秒を争う緊急性の高い疾患の患者様が多くおみえです。このため迅速で適切な判断とスピーディかつ的確な治療が必要となります。
Specialtyの意味は循環器専門病院として確かな技術の提供に努めるという意味です。
Scienceに込めた意味ですが、身体というのは極めて崇高で現代の医療をもってしても分からないことが沢山あります。医療の現場で働いているスタッフはまだ解明されていないことを分からないと認識して謙虚な気持ちで患者様と向き合うことが重要と考えています。患者様から教えていただいた様々な知見を科学的見地で解析し、今後の医療の発展につながるように岐阜ハートセンターから発信していくことも我々の重要な使命と位置付けて理念として掲げています。
3. こころ(Spirit):心温まる医療を目指して、岐阜ハートセンターにいらした患者様が当院を受診して良かったと感じていただけるような接遇を職員全体が実行できることが大変重要と考えています。
4. 体制(System): 循環器疾患というのは緊急性を要する病気が多く、休日や夜間に発症することも少なくありません。このような患者様に翌日まで待ちましょうということは命取りになることもあります。24時間365日絶対にお断わりしない体制作りに努めることであります。
篠崎友華里さん: 患者さんは、病気による体調の不安だけでなく生活や金銭面など様々な不安を抱えて病院を訪れます。そんな中、先生の笑顔や“大丈夫ですよ”という言葉だけでも心が救われるところがあります。病院に働くスタッフ全員が患者さんの不安をくみ取って対応していただけると本当に心が救われますよね!
本地洋一さん: 岐阜ハートセンターは、循環器の専門病院で一刻を争う病気の方が多く来られる病院ですよね! 救急救命のために24時間365日、絶対に断らない体制を整備するってとても大変ですよね。
松尾仁司院長: 医療現場というのは、病院の都合で患者様を診ることが出来ない状況は出来るだけ防ぐ必要があると思います。患者様からすると岐阜ハートセンターにお見えになったことはある意味運命みたいなところがあるので、その患者様をしっかりと診ることが出来るがどうかは、ある意味で病院の実力と言ってもよいのではないでしょうか。
その一方で、現在医療現場の過酷な労働条件が社会問題になっており、今年の4月からは医療現場にも働き方改革による労働時間の制約がかかるようになります。ワークライフバランスをより充実させるために、当院でも委員会を立ち上げて様々な取り組みをしています。
労働環境を改善し、医療現場に働くスタッフがより働きやすい環境を作っていくことは、岐阜ハートセンターだけではなく日本の医療機関全体の命題だと思います。
また、地域医療の維持と医療従事者のワークライフバランスの改善を進めていくには、この地域の医療機関がより密に連携し協力し合っていくことが必要と考えています。
本地洋一さん: 次に循環器専門病院として岐阜ハートセンターが目指している方向性などを教えてください。
『岐阜ハートセンターが目指す循環器専門病院とは』
松尾仁司院長: 現在の医療は細分化が進んでいます。我々が行っている循環器領域をとっても、虚血性心疾患、不整脈、構造的心疾患、末梢血管疾患、静脈・リンパ系疾患などに細分化されてきています。
細分化されることによってそれぞれの分野はより速いスピードで進歩しています。
岐阜ハートセンターは、細分化された循環器領域それぞれの分野をリードしていくことが専門病院としての役割だと考えています。目指す循環器専門病院は、1.正確な診断を行うこと、2.治療適応をきちんと吟味すること、3.手術、手技を的確に行うこと、4.長期予後改善につなげる術後管理、これらの過程すべての質を向上させることを目標としています。
このためには心臓血管外科・循環器内科の垣根をなくすとともに、コメディカルスタッフとの連携が大変重要となってきます。
本地洋一さん: 先生とお話ししていてしばしば感じることは、岐阜ハートセンターは内科系の医師と外科系の医師の協力体制がしっかりと構築されていると感じます。これは、岐阜ハートセンターの強みと言ってもよいのではないでしょうか?
『Competitiveではなく、Co-operativeな循環器医療』
松尾仁司院長: 私が若いころは、内科と外科が競い合って患者さんの治療をしていたように思います。
ところが、内科的治療と外科的治療はそれぞれ利点と欠点があり、同じ病気でも患者様によって年齢、職業をはじめとした社会的背景が違う上に、症状や重症度も異なるわけですから、ベストな治療法は、患者様ひとりひとり異なります。
したがって、内科・外科が垣根を取り払い、議論したうえで目の前の患者様にとってベストな治療法選択していくほうが患者様のためになると言えます。
本地洋一さん: いわゆるチーム医療というやつですね!
松尾仁司院長: チーム医療とは、“医療に従事する多種多様な医療スタッフが、各々の高い専門性を前提に、目的と情報を共有し、業務を分担しつつも互いに連携・補完しあい、患者様の状況に的確に対応した医療を提供すること”と定義されています。
大切なことは、“高い専門性”を常に意識することです。
本地洋一さん: いずれにしましても岐阜ハートセンターでは4つのSの理念のもとに患者さんとの双方向かつ良好な関係を築き、目の前の患者さんに最も適した治療選択を高い志と技術を持った医師、看護師、他のコメディカルなどのスタッフがチームで共同して行っている循環器の専門病院ということですね!
最後に松尾院長として患者さんと向き合う時に常に心掛けていることは何でしょうか?
『心の底からこの患者様に良くなっていただきたい』
松尾仁司院長: 先ほども少しお話ししましたが、現在の医療では、全ての病気を治すことは出来ません。しかし、医療従事者が目の前の患者様の病気を良くするために何が出来るのか?この患者様にとってベストな治療法は何か?を考え、それを患者様が理解できる言葉でしっかりと伝えることが大変重要だと考えています。
医療に従事する者として、日々多くの患者様を診させていただくことに幸せと思うことが大切かなと考えています。
私自身が、このような考えで患者様に向き合うことが岐阜ハートセンターのスタッフ全体に伝搬して岐阜ハートセンターの文化になることが、地域の皆様に信頼される病院になっていくのかなと思っています。
篠崎友華里さん: 先生のその思いが患者様に伝わると、患者様自身も勇気づけられたり病気に立ち向かっていく気持ちになりますよね!
本地洋一さん: 松尾院長が医療を行っていくうえで患者さんとの信頼関係を大変重要と考えておられることが良くわかりました。
松尾院長が患者さんに向き合う思いをハートセンターイムズとして今後岐阜ハートセンターで働く若い医師や他の医療従事者に浸透させていくことも松尾院長の重要なお仕事ですね!
次回のハート相談所は2024年1月18日(木)にお送りいたします。
また、心臓や循環器疾患に対する質問やご意見などは番組までドシドシとお寄せください。