『きょうもラジオは!? 2時6時 』~第115弾~

2025年3月13日午後2時30分、『本地洋一のハート相談所』 令和7年5回目の放送です。

本地洋一さん: 昨日の新聞記事の情報ですが、岐阜県民は運動不足だそうです。

2022年から2024年の期間の調査では、20歳以上の県民で週に1回以上運動している人は47%と半数以下らしいです。この数値は全国47都道府県中なんと40位だそうです。

吉田早苗さん:えー、岐阜県が40番目ということは1位の県はどこですか?

本地洋一さん: 最も運動の実施率が高かったのは東京都の56%、最も低かったのは福井県の45%だそうです。

 

ということで松尾先生、本日のテーマは『春です、みなさん歩きましょう』でお願いいたします。

 

松尾仁司院長:最近は人生100年時代や健康寿命という言葉をよく耳にするようになりました。この放送でも何度か話題にしたことがありますよね。

少し復習しますと、健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことをいい、2019(令和元)年の健康寿命は男性72.68歳、女性75.38歳となっているようで、平均寿命と健康寿命には男女とも約10年程度の差があります。つまり、平均寿命と健康寿命の差の10年間はご家族を始めとした周囲の方の助けが必要となるということです。

少子高齢化が進む現在、健康寿命を延ばすということはご本人にとっても社会にとっても大変重要なことです。

健康寿命を延ばすためには生活習慣、つまりバランスのとれた食事や十分な睡眠、ストレス管理、中でもウォーキングなどの運動習慣が大変効果的だということが医学的にも分かっています。

逆に、運動習慣がないとどのような不利益が起こってくるのかといいますと・・・

 

歩かないことによる身体的不利益

歩けるのに歩かない、あしが悪くて歩けないことが続くと活動性が低下するので筋力が低下します。すると代謝の低下に伴い食欲が低下し、身体的・精神的な様々な機能が徐々に衰え心身のストレスに脆弱になってしまいます。この状態をフレイルといいます。こうなるとますます歩けなくなるという悪性サイクルに陥ってしまい、寝たきりになって認知機能が悪化します。

 

本地洋一さん: なるほど、健康寿命を延ばすためには年齢とともに低下していく身体機能を維持しつづける必要があり、そのためにはウォーキングを始めとした有酸素運動が重要だということでしょうか? 

松尾仁司院長: さすが本地さん、そのとおりです。ウォーキングを代表とする適度な運動がもたらす効果をあげますと、、、

適度な運動10の効果

① 骨が丈夫になる

運動をすると、骨に力が加わります。この力が骨をつくる細胞の働きを活発にして骨を丈夫にします。つまり、骨粗盤症の予防効果、介護予防効果があります。

② 関節や筋肉が柔らかくなる

運動をすると関節や筋肉が柔らかくなります。これは、体を動かすことで、関節や筋肉などが引き延ばされて、固くなるのを防ぐからです。人の体は動かしていないと、だんだん固くなるようにできています。

③ 筋肉がつよくなり、疲れにくくなる

強い運動をすると普段より強い力を発揮するので、その刺激によって筋線維が太くなり、力が強くなります。体の筋肉は大きく2種類に分けることができますが、特に、強い力を発揮できる筋肉が発達します。また、怠けていた筋肉も働き出し、結果として力が強くなります。力が強くなると、同じ作業でも相対的に楽になり、疲れにくくなります。疲れにくくなるので、日頃の活動最も増えます。

④ 心肺系が強くなり、疲れにくくなる

運動をすると肺で酸素を取り入れる効率が高くなります。また、心臓も筋肉ですから大きく、強くなります。さらに血管が太くなり、毛細血管も増えて血行がよくなり、酸素や栄養、老廃物等を大最に素早く目的地に運べるようになります。これにより疲れが軽減され、強い作業や運動を長くできるようになります。

⑤ 血液がきれいになる

運動をすると善玉コレステロールが増え、悪玉コレステロールが減るので、血管が詰まったり、固くなったりすることを防げます。つまり、動脈硬化、狭心症、心筋梗塞、脳卒中、脳梗塞等の予防効果があります。

⑥ 痩せる、見た目も若返る

運動中および運動後は普段よりエネルギーを消費します。また、筋肉も増えるので、基礎代謝が上がり安静時のエネルギー消費量も増えます。特に低強度の運動を継続すると、力を長く出し続けられる筋肉の方が発達して、脂肪の消費が増えます。このように、高血圧、高脂血症、糖尿病等の多くの生活習慣病と関係の深い肥満を予防および改善するので、生活習慣病の予防・治癒効果があるうえに、プロポーションも改善されてスタイルが良くなり、見た目も若返ります。

⑦ 脳を活性化する

筋肉を動かす信号を送るのは脳です。ですから、体を動かすと脳に刺激を与えることができ、認知症を予防・改善する効果が期待されます。特に、体を複雑に動かす運動はもちろん、ウォーキングのように移動して風景が変わる運動もよい刺激になります。

⑧ 抵抗力がつく

適度な運動をすると免疫機能が高まり、病気に対する抵抗力が増します。

特に、楽しみながら運動をすると効果が高くなると言われています。

⑨ 痛みが緩和する

運動をすると、肩こり、腰痛、膝等の関節の痛みが緩和します。これは、運動により筋肉の緊張がほぐれたり、血行や新陳代謝が増し、回復が促進されるからです。

⑩ 気持ちが元気になる、若返る

適度な運動をすると、気分を明るくなり、ストレスが発散できたり、リラックスできたり、不安感や疲労感が減ったり、意欲がでたり、自信がもてたり、対人関係がよくなったり、生活が充実したり等々さまざまな心への効果があります。つまり、気持ちを若返らせてくれます。

吉田早苗さん: 適度な運動を習慣づけるということは、いいことだらけですね!ウォーキングを生活習慣に取り入れることの大切さが良くわかりました。

でも、私や本地さんのように1日中机の前に座っておしゃべりする仕事をしていると日中はなかなか歩く機会がありません。

実際働き盛りの方が日常生活の中で歩く習慣を持つというのは難しいと考えておられる方も多いのではないでしょうか?また、健康を維持していくには具体的にどれくらいの距離や時間をどれくらいの頻度で歩いたら良いかを教えてください。

松尾仁司院長: おっしゃる通りですね。ですが、エスカレーターやエレベーターを使わずになるべく階段を利用したり、電車通勤の方は、一駅歩くようにするといった工夫をすると良いかもしれませんね!

また岐阜の冬は非常に寒いですし、夏は猛暑日で昼間の暑い時間は熱中症のリスクがありますので、大型ショッピングモールなどのエアコンが聞いている場所で積極的に歩くようにしてみてはいかがでしょうか!

一方で、ご高齢になってくると膝が悪い方が多くなります。そのような方はプールでの水中歩行ですと、浮力によって膝の負担が軽減された状態で水の抵抗による運動負荷がかかりますので大変効果的な有酸素運動が可能となります。

具体的な歩行量は、個人の健康状態や目標に応じて異なりますが、健康を維持するためには、1日30分のウォーキングを目標にし、週150分以上の中程度の有酸素運動を行うことが理想です。

その他では、寝たきりの予防ですと、1日2000歩程度は歩くことが良いとされていますし、心臓病とか脳卒中の予防には、1日5000歩程度が推奨されています。また、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の予防や管理には1日7000~8000歩歩くことが必要だといわれています。

健康寿命を延ばすためには、歩かなくなってしまう状態にならないことが大切です。70歳、80歳、90歳になってもご自分で歩くことが出来ることが元気なご老人の特徴です。こうなるためにも40歳、50歳くらいから意識して運動習慣付けることが重要だと思います。

本地洋一さん: 歩ける状態の人は歩きなさい!足が悪かったりして歩けない方は、主治医と相談してご自分に合った運動をしてくださいということですね!

『みなさん歩きましょう!』

本地洋一さん・吉田早苗さん: ありがとうございました。

 

吉田早苗さん: 次回のハート相談所は2025年3月27日(木)にお送りいたします。

また、心臓や循環器疾患に対する質問やご意見などは番組までドシドシとお寄せください。