2026年5月21日午後2時30分、『本地洋一のハート相談所』 の放送です。
今回の放送のテーマは「ストレスと心臓病」です。
■ ワールドカップで“心臓発作が3倍”に増えた日
松尾院長が紹介したのは、2006年ドイツW杯で実際に起きた“心臓発作が3倍に増えた日”の話です。
当時の医学データによると、ドイツ代表の試合当日、特にPK戦までもつれ込んだアルゼンチン戦では、心筋梗塞や不整脈などの心血管トラブルで救急搬送される人が通常の約3倍に増加したそうです。この現象は医学誌 New England Journal of Medicine に掲載された信頼性の高い研究でも報告されており、「強い興奮や緊張が心臓に大きな負担をかける」 という事実を示す象徴的な例です。
感情が大きく揺さぶられる場面では、心拍数や血圧が一気に上がり、心臓に強いストレスがかかります。特に心臓に持病のある人は、こうした“感情のピーク”がリスクになる可能性が高くなります。

■ なぜ「興奮」や「緊張」で心臓病が増えるのか?
強い感情の揺れは 交感神経を過剰に刺激します。 その結果、体の中では次のような変化が一気に起こります。
- 脈拍の急上昇 — 心臓が高速で動き続ける
- 血圧の上昇 — 血管に強い圧力がかかる
- アドレナリン大量分泌 — 心臓の負担がさらに増す
- 血栓ができやすくなる — 血管が詰まりやすい状態に
- 動脈硬化プラークが破れやすくなる — 心筋梗塞の直接的な引き金に
これらが重なることで、 心筋梗塞・不整脈・突然死といった重大な心血管イベントのリスクが一時的に高まる ことが分かっています。

■ 自然災害でも同じ現象が起きる
震災後に心筋梗塞が増える「震災関連死」も、 精神的ショックによる自律神経の乱れが一因とされています。
つまり、 “心の揺れ”はそのまま“体の揺れ”として心臓に影響する ということです。
■ ストレスは避けられない。だから「対処」が大切
ストレスは「心や体の“歪み”のようなもの」。生きている限り、ストレスを完全にゼロにすることはできません。
だからこそ大切なのは“ストレスに揺さぶられすぎない工夫”を持つことです。

■ストレス対策として効果的なのは「運動」
軽い運動はストレス軽減に役立ち、 高血圧など生活習慣病の改善にもつながります。
■ 江戸時代の“養生訓”にもヒントがある
貝原益軒の『養生訓』には、 現代にも通じる“心の整え方”が記されています。
- 心を平静に保つ
- 気を和らげる
- 言葉を少なくし、怒りを抑える
心の平穏が体の健康につながるという考えは、 時代を超えて受け継がれてきた“健康の真理”なのかもしれません。
■ スポーツ観戦も楽しみながら“上手に付き合う”
- スポーツ観戦そのものが悪いわけではない。むしろ喜怒哀楽を味わうことは人生の豊かさです。
- ただし心臓病を抱える方は、
- 興奮しすぎない工夫
- 結果を知ってから観る
- 主治医と相談 といった対策も必要
スポーツ観戦はストレス発散にもなります。 大切なのは “心臓と相談しながら楽しむこと” です。

次回のハート相談所は2026年5月28日(木)にお送りいたします。
また、心臓や循環器疾患に対する質問やご意見などは番組までドシドシとお寄せください。