『きょうもラジオは!? 2時6時』~第121弾~

2025年6月19日午後2時30分、『本地洋一のハート相談所』 の放送です。

今回の放送のテーマは『心不全とは』です。

本地洋一さん:まず心不全というのはどういう病気なのか、心臓の働きも含めて伺いたいと思います。最近よく聞きますよね!

松尾仁司院長:心不全というのは、心臓の働きが落ちてしまうことを言いますが、まずは心臓がどれくらい働き者なのかをお話しします。

心臓がドクンと血液を送り出す回数ですが、1分間にだいたい60~ 70回ぐらいの人が多いです。1分間に60~70回ということは1日に何回打っているかというと、だいたい10万回打っていることになします。1日に10万回ですよ!すごいですよね!?

これが一生(人生80年)に換算すると30億回ぐらい打っているということになります。

血液の量としては、1回につきだいたい80ccぐらいの血液を送り出していて、1分間に換算すると5リットルぐらいの血液を全身に休むことなく、ずっと送り続けているわけです。

しかも1分間に60回というのは、何もしてない時、安静にしている時の回数になるので、

運動などをすると心臓の打つ回数というのは例えば150回、180回となります。なぜそのように回数が増えるのかというと、運動するとたくさんの血液を全身に送らないといけなくなるからです。

先ほど何もしていない時は、1分間に5リットルくらいの血液を送り出していると言いましたが、運動をすると約5倍の25リットルくらいの血液を送り出す必要があります。スポーツによっては、40リットルくらいの血液を送り出す必要があると言われています。1分間にですよ!すごい働き者ですよね!?

吉田早苗さん:すごいですね…

本地洋一さん:拳くらいの心臓が、それだけのポンプ能力を持って動いているということですね。すごいパワーですね!

 

松尾仁司院長:そうなんです。すごい働き者なのですが、やはり年を重ねていくと心臓の血管が細くなる、弁膜症が悪くなる、心臓の筋肉の病気などが合併するなどの障害が出てくると、安静時の5リットルくらいの血液なら送り出せるが、運動時に25リットル必要でも10〜15リットルくらいしか送り出せなくなります。

つまり、心臓がたくさん血液を送り出さないといけない時に、その必要分を出さなくなる。これが心不全です。

なので、心不全の特徴的な症状としてはじっと安静にしている時は症状がないけど、少し動いたりすると、はぁはぁぜぇぜぇ息切れをしてしまう、労作時の息切れがあります。

心不全というのは心臓の状態を表す言葉で、病気の診断名・病名ではありません。なぜかと言うと、心臓の力が落ちる原因というのは色々な種類の病気があります。心筋梗塞や狭心症などの血管の病気や心臓の弁に異常をきたす心臓弁膜症、心臓の筋肉の病気や不整脈などの病気によって、心臓がうまく動くことができず血液を上手に送り出せない状態、心不全になってしまうということになります。

本地洋一さん:心不全というのは病名ではなく、状態なんですね。心臓が心不全を起こさないために、日常生活の中でならないようにするために予防することはできますか?

松尾仁司院長:そうですね。心不全の状態にならないこと、予防することが一番大事ですね!心不全にはガイドラインというものがあった、その中では心不全をステージに分類しています。ステージA~Dまであって、Aから進むにつれて重症となります。

 

ステージAは心疾患ではないけれど、危険因子といわれる高血圧症、糖尿病、高コレステロール血症などを発症している状態をいい、この段階では『心不全』の症状は現れません。

これらは生活習慣病と言われているので、生活習慣を注意することや医師から処方されたお薬をきちんと飲むことで、その後の病気にならないようにこの段階から予防していく必要があります。

ステージBはステージAが進行した段階で、冠動脈硬化症や心筋肥大などの心臓に病的変化が生じていますが、『心不全』の症状は起こしていない状態を言います。

このAやBの段階で何とか進行を食い止め、心不全を発症してからのステージCやDにならないようにするということが認識されています。

吉田早苗さん:先生、でも年を重ねることに心臓もくたびれてくるものですよね?

松尾仁司院長:そうですね。やはり年齢を重ねるにつれて血管も痛んでくるし、弁も痛んできます。しかし、やはり先ほどのステージA~Bの間できちんと生活習慣を管理していただければ、80歳になっても元気に畑仕事ができたりしている方もたくさんいらっしゃいます。そういった元気な高齢者になれるように目指して、少し早い段階から意識していく必要があります。

本地洋一さん:やはり早めの段階で何かの形で気が付かなければなりませんね?

松尾仁司院長:確かに症状がない段階で自分の身体の異変に気が付くというのは難しいと思います。なので健康診断は1つのいいきっかけだと思います。職場検診やメタボ検診というのがありますが、受けるだけでは駄目で、何かに異常があれば医師や保健師に相談をして、今何に気を付けなければならないのかを知って、考えてもらうことがまずは重要なことになると思います。

吉田早苗さん:そうですね。息切れなんかも年のせいかなと思うだけでスルーしちゃうこともあるかもしれないけど、もしかしたら病気が隠れているかもしれないと思うことが大切ですね。

松尾仁司院長:そうですね。息切れを年のせいと言われる方は多いです。たしかに労作時の息切れがすべて心臓による原因というわけではありません。自分でその鑑別は難しいので、放っておかずに、まずは診察に来るということがいいと思います。早期に病気を発見することができれば、早い段階から予防に繋ぐことができるはずです。

吉田早苗さん:松尾先生、ありがとうございました。次回は心不全の治療のお話をして頂く予定となっています。今日のテーマは、心不全はどんな病気なのかということでした。

本日もありがとうございました。

次回のハート相談所は2025年6月26日(木)にお送りいたします。

また、心臓や循環器疾患に対する質問やご意見などは番組までドシドシとお寄せください。