『きょうもラジオは!? 2時6時 』~第101弾~
2024年8月8日午後2時30分、『本地洋一のハート相談所』 今年15回目の放送です。
本地洋一さん:最近は毎日異常な暑さが続いています。
吉田早苗さん:近年は毎年夏になると『今年は特に暑いですね!』と言っているような気がします。
本地洋一さん:今回のテーマは『熱中症』についてです。視聴者の皆様もすでに何度も聞いているとは思いますが、今一度松尾院長からお話をしていただきます。
『熱中症とは・・・』
松尾仁司院長: 『熱中症』とは高温環境で身体が適切に体温を調節できなくなることで発生する健康障害のことです。
比較的軽傷のうちは、症状としてはたちくらみや筋肉痛、筋肉の硬直、大量の発汗などですが、その後、頭痛、嘔吐、倦怠感、虚脱感が生じ、重症になると、高体温、意識障害、痙攣、手足の運動障害などが生じ、致命的になる場合もあります。
吉田早苗さん:今年は『熱中症』の患者様が特に多いのではないでしょうか?
松尾仁司院長:おっしゃる通りです。『熱中症』の患者様が一体どのくらい救急搬送されているかご存じでしょうか?
消防庁の発表によりますと、7月22日から28日の1週間だけでも全国で12666人の方が、岐阜県においても1週間に210人が救急車で病院に搬送されているそうです。
これらの方々の年齢分布をみますと、60%が65歳以上の高齢者で、18未満の少年、小児が8.8%です。
また、『熱中症』の発生場所も公表されています。一般的なイメージとしては、直射日光が当たる屋外が多いような気がしますが、実は『熱中症』は40%が住居の中で発症しているそうで、道路や屋外で33%、仕事場での発症が12%だそうです。
吉田早苗さん: 確かに私も屋外に出る時はしっかりと『熱中症』対策をしますが、家の中では油断していますよ。
松尾仁司院長:家の中は熱がこもりやすいため、換気が不充分だと室温が上がりやすく、エアコンや扇風機を使用しない場合は特に気を付ける必要があります。また、夜間も暑いと寝不足で身体が休まらず、熱中症のリスクが高くなります。
8月に入り岐阜市内でも連日最高気温が35℃を超える猛暑日が続いていますが、日常生活では28℃を超えると『熱中症』のリスクが高まるとされています。
本地洋一さん:猛暑日が続く中『熱中症』を予防するにはどのようなことに注意したらよいのでしょうか?
『熱中症の予防』
松尾仁司院長: 熱中症を予防するうえで最も大切なことは十分な水分補給です。
成人の身体は、体重の約60%を水分が占めています。言い換えると体重100㎏の人は60kgは水分です。
実際毎日どれくらいの水分が人間の身体から出ていくかと言いますと、一般的な成人の場合、1日で出ていく水分は2.5Lと言われています(体重の8%)。
もちろん気温の高い夏の季節はより多くの水分が体内から喪失しています。
体内から1%水分不足になれば“のどの渇き”、2%喪失で“めまい、吐き気、食欲減退”が現れます。そして10-12%の喪失では“筋肉の痙攣や失神”、20%の喪失で生命の危機になり、死に至ってしまいます。
のどが渇いたときには脱水が既に始まっています。特にご高齢の方は、のどの渇きを感じにくくなっている場合もあるため、のどの渇きを感じる前の定期的な水分補給が大切です。
繰り返しになりますが、重要な点はこまめな水分補給を行うことです。
夏場などはコップ1杯程度の水を①朝起きたとき、②朝食時、③10時頃、④昼食時、⑤3時頃、⑥夕食時、⑦入浴後、⑧就寝前など1日に8回くらいのタイミングで接種する習慣をつけることが良いかもしれません。
ただし、水分をあまりとってはいけない病気の方もお見えになります。心不全や腎不全の持病をお持ちの方は、水分摂取に関しては主治医の先生と相談してください。
その他にも先ほど『熱中症』で救急搬送される方の40%はお家の中で『熱中症』を発生しているといいましたが、室内ではエアコンや扇風機を使用して、適切な室温を保つことも重要です。
また、屋外に出る際には軽くて通気性の良い生地で、日光を反射するような明るい色の服装を選び、帽子や日傘を使用したり、日陰を利用するなど直射日光を避けることも『熱中症』の予防としては重要です。」
本地洋一さん: お年寄りの中にはエアコン嫌いの方もお見えになりますが、温暖化の影響で日本の夏がこれだけ暑くなってしまうと、エアコンや扇風機を積極的に活用していくことが大切なのですね!
『塩分摂取は???』
吉田早苗さん: 塩分摂取も大切だといわれていて、コンビニなどでは塩飴やタブレットが売られている一方で、循環器疾患や高血圧の方は塩分を控えてくださいと言われています。
塩分摂取について教えてください。
松尾仁司院長: 塩分というのはナトリウムという電解質で、摂り過ぎると高血圧症になることが知られています。一方で夏場や運動時などは、通常より多量の汗をかき、水分とともに電解質やミネラルも身体から排出されます。ただし、その量は市販されている経口補水液やイオン飲料に含まれている量で充分ですので、食塩を多量になめたり、梅干を沢山食べたりすることはあまりお勧めしません。
本地洋一さん: 日本人の場合通常の食事から接種する塩分とあとは、経口補水液などで調節することで身体の中の電解質やミネラルを調節するということですね。
それでも、『熱中症』になってしまった場合にはどう対応すればよいのでしょうか?
『熱中症になったらどうしたら?』
松尾仁司院長: 重症な『熱中症』は大変危険です。意識障害、40℃を超えるような体温上昇、呼吸や脈の乱れ、痙攣などがある場合は直ちに救急車を呼んでください。
救急車の到着までの応急処置としては、以下のことがあります。
・涼しい場所へ移動:できるだけ速やかに涼しい場所へ移動させる。
・衣服を緩める:体を冷やすため、衣服を緩めるか、脱がせる。
・身体を冷やす:氷嚢や冷却シートを首、脇の下、太ももの付け根などにあてる。
・水分補給:意識がはっきりしている場合は、冷たい水や経口補水液、スポーツドリンクで水分と塩分を補給する。
本地洋一さん: これらのことをもう一度確認していただいて、安全にこの夏を乗り切っていただきたいですね!
吉田早苗さん: 次回のハート相談所は2024年8月22日(木)にお送りいたします。
また、心臓や循環器疾患に対する質問やご意見などは番組までドシドシとお寄せください。