『きょうもラジオは!? 2時6時 』~第102弾~
2024年8月22日午後2時30分、『本地洋一のハート相談所』 今年16回目の放送です。
本地洋一さん:今回のテーマは『みなさん歩きましょう!』です。
最近いろいろなところでよく耳にするフレーズですけれど、そもそも何故歩くことがクローズアップされているのでしょうか?松尾院長、歩くことの効用や、歩かないことによる健康上の不具合などについて教えてください。
松尾仁司院長: 本地さん、健康寿命ってご存じですか?
本地洋一さん: これも最近よく聞くワードですよね。
寝たきりではなく、自立して生活が出来る状態で生命を維持している寿命のことですよね!
松尾仁司院長: 流石よくご存じですね!
厚生労働省によると平均寿命とは「0歳における平均余命」のことで、2019(令和元)年の平均寿命は男性81.41歳、女性87.45歳です。一方、健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことをいい、2019(令和元)年の健康寿命は男性72.68歳、女性75.38歳となっているようで、平均寿命と健康寿命には男女とも約10年程度の差があります。つまり、平均寿命と健康寿命の差の10年間はご家族を始めとした周囲の方の助けが必要となるということです。
少子高齢化が進む現在、健康寿命を延ばすということはご本人にとっても社会にとっても大変重要なことです。
健康寿命を延ばすためには生活習慣、つまりバランスのとれた食事や十分な睡眠、ストレス管理、中でもウォーキングなどの運動習慣が大変効果的です。
歩かないことによる身体的不利益
一方で、歩けるのに歩かない、あしが悪くて歩けないことが続くと活動性が低下するので筋力が低下します。すると代謝の低下に伴い食欲が低下し、身体的・精神的な様々な機能が徐々に衰え心身のストレスに脆弱になってしまいます。この状態をフレイルといいます。こうなるとますます歩けなくなるという悪性サイクルに陥ってしまい、寝たきりになって認知機能が悪化します。
運動が健康寿命を延ばす理由
1. 心血管系の健康維持
・ウォーキングを始めとした有酸素運動は、心臓や血管の健康を保ち、高血圧や心臓病、脳卒中のリスクを減らします。
・運動はインスリンの感受性を高め、血糖値を安定させるため、糖尿病の予防や管理に役立ちます。
2. 筋力と骨の健康
・筋力トレーニングは筋肉量を維持し、加齢による筋肉の衰えを防ぎます。これにより、転倒や骨折のリスクが低減されます。
・運動は骨を強化し、骨粗しょう症の予防に寄与します。
3. 体重管理と肥満予防
運動はカロリーを消費し、体脂肪を減らすことで、肥満を防ぎます。
4. メンタルヘルスの向上
運動はエンドルフィンという「幸せホルモン」を分泌し、ストレスを軽減し、気分を向上させる効果があります。これにより、うつ病や不安障害の予防や管理に役立ちます。
運動は睡眠の質を向上させ、新進のリカバリーを促進します。
5. 認知機能の維持
運動は脳への血流を増加させ、神経細胞の成長を促進します。これにより、認知症のリスクを低減し、記憶力や学習力を維持することが出来ます。
6. 社会的つながりの強化
・運動を通じて他人と交流することで、社会的なつながりが強化され、孤立感を防ぐことが出来ます。
吉田早苗さん: 健康寿命を延ばすためには運動習慣が大切だということですね!
なかでも、ウォーキングは手軽に始めることが出来る有酸素運動として大変良いということですね。
私のスマートフォンにも歩いた歩数や距離を表示する機能があってよく見ていまが、健康を維持していくには具体的にどれくらいの距離や時間歩いたら良いか教えてください。
松尾仁司院長: 具体的な歩行量は、個人の健康状態や目標に応じて異なりますが、健康を維持するためには、1日30分のウォーキングを目標にし、週150分以上の中程度の有酸素運動を行うことが理想です。
その他では、寝たきりの予防ですと、1日2000歩程度は歩くことが良いとされていますし、心臓病とか脳卒中の予防には、1日5000歩程度が推奨されています。また、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の予防や管理には1日7000~8000歩歩くことが必要だといわれています。
健康寿命を延ばすためには、歩かなくなってしまう状態にならないことが大切です。70歳、80歳、90歳になってもご自分で歩くことが出来ることが元気なご老人の特徴です。こうなるためにも40歳、50歳くらいから意識して運動習慣付けることが重要だと思います。
本地洋一さん: 1日7000~8000歩というと5-6km、1時間程度ですか・・・
40歳、50歳の働き盛りの方ですと時間が取れない方も多いですよね!
松尾仁司院長: おっしゃる通りですね。ですが、エスカレーターやエレベーターを使わずになるべく階段を利用したり、電車通勤の方は、一駅歩くようにするといった工夫をすると良いかもしれませんね!
また、最近は猛暑日で昼間の暑い時間は熱中症のリスクがありますので、ウォーキングの時間帯を早朝や夜間の比較的気温の高くない時間帯を選ぶようにしたり、また大型ショッピングモールなどのエアコンが聞いている場所で積極的に歩くようにしてみてはいかがでしょうか!
一方で、ご高齢になってくると膝が悪い方が多くなります。そのような方はプールでの水中歩行ですと、浮力によって膝の負担が軽減された状態で水の抵抗による運動負荷がかかりますので大変効果的な有酸素運動が可能となります。
本地洋一さん: 歩ける状態の人は歩きなさい!足が悪かったりして歩けない方は、主治医と相談してご自分に合った運動をしてくださいということですね!
『みなさん歩きましょう!』
吉田早苗さん: 次回のハート相談所は2024年9月12日(木)にお送りいたします。
また、心臓や循環器疾患に対する質問やご意見などは番組までドシドシとお寄せください。