2025年9月25日午後2時30分、『本地洋一のハート相談所』 の放送です。
今回の放送のテーマは『寿命について考えよう』です。
松尾仁司院長:皆さん、寿命があるということはご存じだと思います。最近評判の鬼滅の刃という映画は知っていますか?その中で寿命に関して非常にいい言葉があります。
『老いることも死ぬことも人間という儚い生き物の美しさだ』
寿命があるから人生というのは彩られるという感覚ですね。私たちはどんなに頑張っても、老や死から逃げることはできないわけです。だから限られた命だからこそ一瞬一瞬が大切になり、人生が輝くということになるわけです。若い時、中年あるいはおじいさんおばあさんになって初めて知ることがあって、それぞれに人生の意味があるということです。
そして、まず日本人の寿命は何歳くらいか知ってますか?
吉田早苗さん:男性が81歳、女性が86歳くらいですか。
松尾仁司院長:そうですね。男性が81歳、女性が87歳です。女性の方が6年くらい長生きするのが日本人です。ただこれは心臓が止まってお亡くなりになるまでの年数になります。これに対してもう一つ重要な寿命として、健康寿命という言葉があるのはご存じでしょうか?
健康寿命といのは、厚生労働省で定義されていて、『健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間』と定められていますが、この健康寿命と平均寿命との間には、約10年間あると言われています。つまり最後の10年というのは、家族の人や誰かに手伝ってもらいながら生きるということになります。なので、この差をできるだけ短くしたいと皆さん思っておられると思います。
本地洋一さん:そうですね。お一人お一人が健康で世話をかけずに、亡くなるときはバタンキュー笑
吉田早苗さん:そう!ピンピンコロリって言いますよね笑

松尾仁司院長:そういう言い方しますよね笑。人間は年をとります。なぜ老いるかという話をしたいと思いますが、その答えの一つに人間は約37兆個の細胞でできていて、その1個1個の細胞に寿命があります。細胞寿命と言うそうです。
少し難しい話になりますが、染色体をいうところに「テロメア」とい部分があって、細胞分裂を繰り返すごとにだんだんテロメアの長さが短くなっていくということが知られています。つまりどんどん分裂を繰り返すにつれて短くなっていき、ある一定の長さよりも短くなると細胞分裂できなくなるので、細胞としては死を迎えるしかないということになります。限りなく分裂できる細胞というのは、基本的には人間の体の中にはあまりないということになるわけです。だから、だんだん老いていくとある一定のところで細胞が分裂できなくなっていわゆる老いていく細胞としては死を迎えるということがあるわけです。このどんどん短くなるテロメアで細胞寿命が決まっているのですが、それをできるだけ短くなりにくくする方法も色々と調べられています。それは皆さんできることです。
本地洋一さん:できる?テロメアに対して対策があるんですか?

松尾仁司院長:テロメアを守るためには、健康的な生活習慣と言われています。
1つ目は運動。
激しい運動でなくても、1日30分のウォーキングや軽い筋トレを続けると、テロメアの短縮が遅いことが分かっています。
2つ目は食事。
やさいや果物、魚に多い抗酸化物質はDNAの傷つきを減らします。
塩分や糖分のとりすぎ、加工食品の多い食生活はテロメアを早く短くしてしまいます。
3つ目は睡眠。
十分な睡眠は細胞を修復する時間です。逆に睡眠不足はテロメアの消耗を早めてしまいます。
4つ目はストレス管理。
慢性的なストレスは炎症や酸化を引き起こし、テロメアを短くします。
深呼吸や趣味、人との会話など、心を整えることも寿命を守る方法です。
そして忘れてならないのが、禁煙です。
タバコはテロメアを著しく短くさせる代表的な原因です。
このように、健康のためにいいよと言われていることと言うのは、言い換えるとテロメアにもいいことをしているという考え方ができるということになるわけです。

松尾仁司院長:あと、もう一つは臓器の寿命という考え方があって、この臓器の寿命を決めるのが“心臓と血管”と言われています。心臓と血管を老化させる最大の要因は動脈硬化です。血管というのは全身に分布していて心臓だけではなく、脳や体中の色んな臓器に異常を与えます。なので、動脈硬化が強くなればなるほど多臓器に影響を与えて、寿命が短くなるということになります。繰り返しになりますが、動脈硬化は生活習慣をリンクしているので、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙などは血管の寿命を縮める大きなリスク因子となるので、きちんと管理コントロールするということが重要となってきます。
この臓器の寿命、細胞の寿命があるので、人間はだんだん年齢と共に老いていくわけです。
本地洋一さん:先生には今まで、コレステロールの話や血管の話や循環器障害などと色々な話を伺って参りましたが、今日はもう一つの元となる細胞レベルでのお話ということで、どうのように細胞を守るのか、テロメアを守るのかという話ですが、健康のためにはすべて繋がっていますね。
吉田早苗さん:先生がおっしゃったように、やっぱり運動、食事、睡眠が基本ということですね。本日は寿命というお話でしたが日々の生活を気を付けて、みんなで元気に長生きできるよう心がけましょう!

次回のハート相談所は2025年10月16日(木)にお送りいたします。
また、心臓や循環器疾患に対する質問やご意見などは番組までドシドシとお寄せください。