『きょうもラジオは!? 2時6時 』~第106弾~
2024年10月24日午後2時30分、『本地洋一のハート相談所』 今年20回目の放送です。
本地洋一さん: 今日のテーマは『季節の変わり目 -急激な温度変化に気を付けて-』です。
10月も半ばを過ぎました。今年は日中まだ暑さが残っていますが、朝晩はめっきり寒くなってきました。そんな季節の変わり目に気を付けなければならない病気についてお伺いしたいと思います。
松尾仁司院長: わかりました。それでは今日は気温と心臓病の関係をお話し出来たらと思っています。
今、朝晩と日中の気温差が大きいという話が出ましたが、気温が低い状態ですと、人の身体は手足指先など末梢の血管が収縮させて心臓をはじめとした内臓の温度が下がらないように反応します。これは自律神経の一つである交感神経が緊張することによる反応です。末梢の血管が収縮すると今度は血圧が上昇しますので、暖かいところにいる時と比べ心臓に対して負担がかかることになります。
高血圧症の患者さんを例に挙げると、皆さん冬場は夏場に比べ血圧と脈拍が高くなる傾向にあります。
一方で暖かくなると、交感神経の緊張がゆるみます。すると末梢の血管が拡張しますので、末梢の血管抵抗が下がるため血圧が低下する傾向にあります。したがって、高血圧症の患者さんも冬場に比べ血圧を下げるお薬の量を少し減らすことが出来ることもあります。
このような温度変化が一日のうちで大きいと、交感神経の緊張が繰り返し起こりますので、自律神経が揺さぶられてしまいます。
自律神経が揺さぶられると血圧や心拍が揺さぶられることになりやすいため、これが血管にダメージを与え、心血管疾患を発症しやすくなります。
疫学的には、病気の発症には日内変動、週内変動、季節変動があると言われています。
心筋梗塞を例に挙げますと、夏場よりも冬場に多く発症することは疫学的には証明されていますし、一日のうちでは血管が攣縮を起こしやすい早朝に多く発症することが知られています。また週内では週末よりも月曜日に多く発症するという統計学的データもあります。
本地洋一さん: これから冬に向けては、日中と朝晩の寒暖差だけでなく、家の外と中、屋内でもお風呂の脱衣所と浴室などにも寒暖の差が大きくなるので注意が必要だということですね!
松尾院長: 若くて血管の弾力性がしっかりと保たれている方は多少の温度変化による交感神経の揺さぶりにも十分耐えられますが、高血圧や糖尿病などの基礎疾患があり、動脈硬化が進行した方にとっては、血圧や脈拍の乱高下は心筋梗塞や、脳卒中、大動脈解離など恐ろしい循環器疾患の引き金になりかねませんので、注意が必要です。
本地洋一さん: なるほど、すでに心疾患をお持ちの方や高血圧症、脂質異常症、糖尿病などの基礎疾患のある方は特に注意が必要ということですね!
松尾院長: そのとおりです。それらの方は生活習慣に気を付けることはもちろんですが、主治医から処方されたお薬を決められたとおりにきちんと服用することも大変重要となります。主治医はそのお薬を服用することによるメリットのほうが副作用などのデメリットよりもはるかに大きいと考えて処方していますので、ご自身の判断だけで服用を中断せずに、疑問に思ったことはキチンと主治医に相談することが大切です。
吉田早苗さん: 次回のハート相談所は2024年11月14日(木)にお送りいたします。
また、心臓や循環器疾患に対する質問やご意見などは番組までドシドシとお寄せください。