はじめに
患者様、ご家族の皆様が安心して治療を受けられますよう、入院から退院までのおおまかな流れを説明させていただきます。
当科は、豊橋ハートセンター、トロント総合病院(カナダ)、オークランド市立病院(ニュージーランド)のモデルを参考に、世界標準の治療体系を構築しております。
また、岐阜という地域特性を十分考慮し、各スタッフの緊密な連携のもとでのチーム医療を行っております。
日本では現在、術後在院期間は2~3週間程度が一般的ですが、当院では、術後10日程度での退院を目安としております。また、術後合併症の予防や早期社会復帰を目指して、術後リハビリテーションや早期離床退院プログラムを導入しております。なお、上記プログラムには、患者様の一日も早い社会復帰を手助けし、医療費削減を図る効果もあります。
術前・術後の流れを患者様とご家族の皆様に理解いただくことは気持ちの準備や不安を取り除く上で大変役立つと考えています。医師はもちろん、看護師や栄養士、薬剤師といったスタッフと緊密に連携し、患者様を全力でサポートいたします。
1 心臓外科外来
外来では、手術の必要性や計画について説明をさせていただきます。遠方からお越しの方は、そのまま入院となります。
1. 心臓の弁や胸部大動脈を手術される患者様へ
事前に歯科受診での虫歯チェック(※)をお願いしております。なお、場合によっては抜歯が必要になる こともあります。
当院には歯科がないため、入院前に各自受診をお願いします。遠方の方でそのまま入院された患者様には、近くの歯科医院をご紹介いたします。
※虫歯チェックの必要性について
感染の入り口として歯の病気があるため、調べておく必要があります。
人工物(人工弁や人工血管)にひとたび感染すると、大変やっかいなことになるからです。
2. タバコを吸われている方へ
必ず禁煙してください。
喫煙は痰を出しにくくし、肺炎の危険性を高めます。
2 入院
手術の3~4日前に入院していただきます。事前の追加検査や、肺合併症予防のために器具を使用した呼吸訓練も行います。
なお、手術日が決まっていても、緊急手術等が発生した場合にはやむを得ず日程を変更することがあります。その際にはご説明いたしますので、ご理解いただきますよう、お願い申し上げます。
3 手術説明
術前検査をすべて終了した時点で、患者様およびご家族の皆様に手術内容や危険性について詳細な説明をさせていただきます。
身障者手帳申請や医療費について、ご質問・ご要望がございましたら、遠慮なくおっしゃってください。
4 手術前日
夕食以降は絶食となります。なお、水分は24時までとっていただいてもかまいません。
また、十分な睡眠がとれるよう、入眠前に安定剤を飲んでいただきます。翌日の排便を促すよう、下剤も飲んでいただきます。
5 手術当日
朝9:30に手術室へ入ります。術前に面会を希望されるご家族の皆様は、8:30までにご来院ください。
患者様のご希望により、手術室入室時はお好みの音楽を聴くことができます。
手術中、ご家族の皆様は、リラクゼーションルームまたは院内でお待ちください。連絡がとれるようPHS(携帯電話)をお渡しいたします。
当日の留意点
- 食事は一切できません。
- 可能な方は、朝6時ごろシャワー浴をしていただきます。
- 当日朝までに排便がないようであれば、7:30に浣腸します。
- 7:30 までに洗面・歯磨きを済ませてください。
- 8:30 までに排尿を済ませ、下着類は全部脱いだ上、手術衣に着替えてください。
- 指輪、コンタクトレンズ、ヘアピン、入れ歯、時計などの装飾品は一切外してください。
- また、メイクはしないでください。
- 麻酔準備のために注射と点滴を行います。
- 手術室へはストレッチャーで移動します。
- 術後必要な物品は、担当看護師がお預かりします。
- それ以外のものは、ご家族にお持ち帰りいただきます。
- 手術室へ入室後、感染予防のために必要な部分の剃毛を行います。
6 手術直後
CCU(集中治療室)に入ります。準備が整い次第、ご家族に面会いただきますが、患者様は麻酔がかかった状態ですので、眠っていらっしゃいます。
CCUってどんなところ?
手術直後の治療や全身状態の管理を行う部屋です。
CCUでは、常に医師・看護師が患者様の状態を観察しながら、容態に合わせた治療・看護を行います。早期回復に向けたお手伝いをさせていただくとともに、合併症を起こさず、1日も早く一般病室へ移ることができるよう心がけております。
心臓手術は侵襲(体への負担)が大きく、心拍出量の低下や出血、不整脈の出現や多臓器への影響も考えられ、合併症の危険性を伴います。術後は循環動態の安全確保や人工呼吸器からの離脱援助を行い、異常の早期発見や合併症の予防に努めています。
男女混合のお部屋ですが、ベッドの間はカーテンで仕切られていますのでご安心ください。室内は心電図のモニターや人工呼吸器から発せられる、さまざまな機械の音がしています。
患者様の変化に合わせて治療を行うため、医師や看護師が話し合う声が聞こえてくることもありますが、ご了承ください。また、面会に際しては、多少の制限があります。術後の患者様のお体は抵抗力が弱いため、体調の悪い方や小さなお子様の面会は控えさせていただきます。何卒ご理解ください。
7 手術が終わったら
終了後、医師から手術の説明をさせていただきます。CCUへ帰室後、30分ほどで面会いただけます。
患者様の容態が安定している場合は、ご家族の皆様には原則的に帰宅していただきますが、万が一、不安定な場合は院内に待機いただくこともあります。ただし、容態が安定していても、再出血などの理由で再手術となる場合もあります。そのため、必ず連絡先をスタッフにお知らせください。
帰宅されている場合は、電話でご承諾いただき、手術を開始することもあります。その際は、ご家族の皆様が到着され、再手術が終了した時点で医師より再度説明させていただきます。
8 手術1日後
出血、その他の問題がないことを確認し、朝一番で麻酔薬を止めて意識状態の確認をいたします。
呼吸状態に問題がなければ人工呼吸器を外し、のどに挿入している管を抜きます。その後は話すことができるようになります。
数時間後には水分をとれるようになり、夕方からお食事が始まります。
9 手術2日後
点滴1本を残してCCUを退室する予定です。立ち上がることもできますし、排泄はポータブルトイレで行えます。
10 手術3日後
室内のトイレまで歩けます。
11 手術4日後
ワイヤーが抜ければ、シャワーを浴びることができます。また、歩行ができる方はデイルームでのお食事をお勧めいたします。
退院に向けての指導(帰宅後の安静度や注意事項)が始まります。
12 手術5日後
歩行器を使用せずに病棟内を歩くことができます。
13 手術7日後
冠動脈バイパス後の患者様は心臓カテーテル検査を行います。
14 手術10日後〜退院
退院後の注意点や服薬指導、食事指導、安静度や運動の許容量についてご説明いたします。服薬指導は薬剤部が、食事指導は栄養部が行います。
15 退院
早期離床や安静度は、十分な疼痛管理を行いながら各スタッフが連携して進めてまいります。
退院時には、次回の外来予定日や内服処方、紹介先病院へのお手紙や治療結果の書類、該当される方には身障者手帳の意見書などをお渡しします。また、事前に提出いただければ、保険会社への申請書も退院日にご用意いたします。
退院約1週間後には、外来にお越しいただきます。なお、遠方の方は、ご紹介いただいた病院の外来へ直接受診いただくことになります
その後、半年、1年後ごとにお越しいただき、術後検診をさせていただきます。
なお、ご紹介しました流れはあくまで目安です。患者様お1人おひとりの状況に応じて随時対応いたしますので、どうぞご安心ください。
また、ご不安点やご心配なことがございましたら、いつでも遠慮なくスタッフにお声がけくださいますよう、お願いいたします。
外来心臓リハビリテーションの時間
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
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午前 9:00~12:00 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | × |
心臓リハビリテーションに関するお問い合わせ
TEL 058-213-0488まで、お気軽にお問い合わせください。