『きょうもラジオは!? 2時6時 』~第91弾~

2024年3月14日午後2時30分、『本地洋一のハート相談所』 令和6年5回目の放送です。

本地洋一さん: 前回の放送で『糖尿病』についていろいろお話を伺いましたが、今回の放送も前回に引き続き『糖尿病の食事と運動』について教えていただきたいと思います。

 

吉田早苗さん: 前回の放送の後、リスナーさんから糖尿病患者さんの食後の睡魔対策について質問が届きましたのでご紹介いたします。

『家族が糖尿病の治療をしています。インスリンを打っているのですが、夜は睡魔が激しいようで、食後30分もしないうちにウトウトしてします。2時間程度は起きていてほしくて声をかけてはいるのですが、睡魔には勝てないようです。何か良いアドバイスはありますでしょうか?』

松尾仁司院長: 非常に難しい質問ですね!

治療としてインスリンを使っている場合に効果が強すぎると血糖値が下がりすぎてしまい意識レベルが下がってしまうことがあります。

この患者さんの食後の睡魔が低血糖によるものかどうかはわかりませんが、血糖値が安定しているか不安定なのかを確認する必要があるかもしれませんね!今は血糖値をご自分で測定することが容易にできますのでインスリンの量があっているかどうかを主治医の先生と相談してみてはいかがでしょうか?

ただ、食後に眠くなることは糖尿病の患者さんに限ったことではなく、健康な方でも食後は食べたものを消化するために胃や腸などの血流が増える半面、脳への血流が減少するため眠くなることがあると思います。

食直後でなければお散歩などの適度な運動は眠気の防止に効果があるかもしれません。夜間にお散歩は危険な場合は自転車エルゴメーターなどお家の中で出来る運動なんかが良いと思います。

本地洋一さん: 今血糖のコントロールのお話が出ましたが、血糖をコントロールするために食事が重要だということをよく耳にしますが、血糖値と食事について教えてください。

 

『糖尿病の基本はカロリーコントロールです』

松尾仁司院長: 食事による摂取カロリーと運動を始めとした活動や基礎代謝による消費カロリーのバランスをいかにとるか、ご自分の体に合ったエネルギー量(必要カロリー)と栄養バランスがとれた食事を規則正しく摂取することが基本になります。

1日に必要なエネルギー量は通常、男性で1400~2000kcal、女性で1200~1800kcalです。

『ご自分の標準体重を知ることから始めましょう』

特に2型の糖尿病は肥満と深く関連していることが知られています。

標準体重を「22×身長(m)の2乗」の式で算出し、ご自分の体重が標準体重よりも大幅に重い場合は、減量をお勧めします。

複雑な計算が面倒な方は、

・身長150cmの方の標準体重: 50kg

・身長160cmの方の標準体重 :56kg

・身長170cmの方の標準体重: 63kg

・身長180cmの方の標準体重: 71kg

を目安にしてみてください。

ご自分の年齢や運動量で消費されるカロリーはどれくらいかを考えそれに見合ったエネルギー量の食事をバランスよくとることが大切で、長く続けるには完璧な食事改善を目指すよりも、調理法や食品を変えたり、血糖をコントロールする食べ方を工夫することが大切です。

吉田早苗さん: 年齢によってもカロリーコントロールは変わってくるのですか?

松尾仁司院長: 大変良い質問ですね!

年齢によっても消費カロリーと摂取カロリーは変わります。

10代~20代で活発に運動をされている方は、運動で多くのカロリーを消費するうえ基礎代謝が高いので、食事で多くのカロリーを摂取してもそれらを消費することが可能です。

しかしながら、40代~50代になって運動習慣がなくなるとともに、加齢による基礎代謝が低下した方が、若いころと同じ食生活を続けた場合には、食事で摂取したカロリーが日常生活で消費されるカロリーを上回ってしまうため、肥満や『糖尿病』の原因となります。

 

本地洋一さん: 糖尿病にならない、あるいは糖尿病を悪化させないための食事は具体的にどのようにするのが良いのでしょうか?

松尾仁司院長: 現在の日本人は昔に比べて高カロリーの食事をたくさん食べる割に活動量が少なくなっています。このため、糖尿病を始めとした生活習慣病の患者さんが多くなってきており、日本人の10%が糖尿病で、さらに10%が糖尿病予備軍といわれています。

糖尿病治療の基本は正しい食事からです。

 

『糖尿病の予防や悪化させないための食事療法のポイント』

① 間食の量と頻度を減らしましょう

② 主食の量を減らしましょう

(ごはん、パン、麺類など炭水化物を多く含み、血糖値が上がりやすい)

③ 麺類と一緒にご飯を溜めることはやめましょう

(うどんとおにぎり、ラーメンとチャーハンなどの重ね食べは✖

④ 野菜のおかずを先に食べるようにしましょう

(キノコ、海草、こんにゃくなど食物穿刺を多く含むものがおすすめ イモ類やカボチャなどは糖質を多く含みます)

⑤ 飲み物は無糖のものを選びましょう

(スポーツドリンクや甘いジュースは糖分が多く含まれています)

⑥ 栄養成分表示を確認しましょう

本地洋一さん: これらの食事のポイントは糖尿病の患者さんだけでなく、いわゆる生活習慣病の予防、延いては健康的な生活を長くするために重要なことなのですね!

あと、血行をコントロールするうえに食事同様重要な運動についても教えてください。

 

『糖尿病の運動療法』

運動の効果

運動療法が何故よいかと言いますと、2型糖尿病の場合、その原因が肥満、過食、運動不足によるものだからです。運動によりエネルギーを消費して、肥満を解消・抑制します。さらに運動を習慣化すると筋肉の活動量が上がることにより、悪かったインスリンの働きも改善します。さらに食後1時間頃に運動をすると、ブトウ糖や脂肪酸の利用が促進されて血糖値が下がるという効果もあります。

運動の種類

運動の種類には、有酸素運動とレジスタンス運動の2つがあります。糖尿病の患者さんは、ダンベルなどを使って筋肉に負荷をかけるレジスタンス運動より、歩行やジョギング、水泳などの全身運動にあたる有酸素運動のほうが効果的といわれています。

どれくらい行えばよいか?

心臓病などの病気や下肢に障害をお持ちでないかたなら、1日やく7,000歩から10,000歩位が良いとされています。

歩行運動の目安としては1回につき15~30分間、1日2回、1週間に少なくとも3日以上の頻度での歩行運動が望ましいとされています。

吉田早苗さん:10,000歩って結構ありますよ・・・ それを週に3日とはかなりハードルが高いですね!ショッピングモールでのお買い物ならいけそうかもしれないですけどね。

三日坊主になりそうです。

松尾院長:おっしゃる通りで、普段全く運動していない人にとっては初めから10,000歩を週3回ですと、かなり無理がありますので、最初は10分くらいから徐々に時間と距離を伸ばしていくほうが良いと思います。

また、心臓病や足に障害がある方などは、最近では運動処方と言って医学的に効果的かつ安全な運動の種類や運動強度、時間などを設定していただける病院も増えていますので、心臓病などをお持ちの方は是非主治医の先生に相談してみてください。

あと、運動を習慣として継続するには、周囲の人に運動を継続することを宣言する、玄関に運動靴を置いてしまわない、近所の公園や運動施設を利用するなどいくつかのコツがあります。

運動を楽しみにすることがポイントで、ご夫婦、あるいは仲の良いお友達と一緒に散歩することから始めてはいかがでしょうか!

吉田早苗さん:ありがとうございました。また、心臓や循環器疾患に対する質問やご意見などがございましたら、番組までドシドシとお寄せください。

次回のハート相談所は2024年3月28(木)14:30からの放送になります。