2026年10月22日午後02時30分、『本地洋一のハート相談所』 の放送です。
今回の放送のテーマは「胸が痛い時、あなたはどうする?」です。
胸が痛いといっても、その原因はさまざまです。少し様子を見てもよい痛みもあれば、一刻を争う重大な病気が隠れている場合もあります。では、その違いはどこにあるのでしょうか。
■胸の痛みだけでは判断が難しい
症状だけで「これは心筋梗塞」「これは違う」と100%見分けることは難しいです。
胸の痛みには、
・チクチクする
・針で刺されるような痛み
・締め付けられるような痛み
・圧迫されるような苦しさ
・重苦しい感じ
・激しい痛み
など様々な表現があります。
特に心筋梗塞や急性冠症候群、大動脈疾患など命に関わる病気では、「胸が締め付けられる」 「胸に重い石が乗っている」 「胸全体が苦しい」といった症状として現れることが多いとのことです。
一方で、指で示せるような一点だけの痛みや、押すと痛い痛みは、心臓が原因である可能性は比較的低いと考えられます。

■ 心臓が悪いと必ず左胸が痛むわけではない
「心臓は左側にあるから左胸が痛くなる」と思われがちですが、実際はそうとは限りません。
心筋梗塞では、
・胸の中央
・のど
・鎖骨周辺
・肩
・腕
・奥歯
・あご
・みぞおち
などに症状が出ることもあります。
中には「歯が痛い」と思って歯科を受診した後に心筋梗塞と判明するケースもあります。
■ 胸以外の症状にも要注意
心筋梗塞では胸の痛み以外にも、
・息苦しさ
・肩や腕の痛み
・強い倦怠感
・力が入らない
・冷や汗
・吐き気
などが現れることがあります。
約半数の方は息苦しさを感じ、3人に1人程度は肩や腕の痛みを訴えるといわれています。
そのため、「胸が痛くないから大丈夫」と安心することはできません。

■発症リスクを考えることも大切
同じ胸の痛みでも、患者さんの背景によって危険度は大きく異なります。
例えば、
・高血圧
・糖尿病
・高コレステロール血症
・喫煙歴
・年齢が40歳以上
といった動脈硬化の危険因子を持つ方では、心筋梗塞の可能性をより強く考える必要があります。
いつもと違う倦怠感や違和感が現れた時には、「もしかしたら心臓かもしれない」と考えることが重要です。
■ 心筋梗塞は突然やってくる
「今まで元気だったから大丈夫」と思っている方も少なくありません。
しかし、心筋梗塞の約半数は、それまで特に症状がなかった方です。マラソンができるほど体力に自信のある方や、これまで病気とは無縁だった方でも、ある日突然発症することがあります。
一時的に胸が苦しくなり、その後症状が消えたとしても安心はできません。それは大きな発作の前触れである可能性もあります。
■迷ったら様子見をしない
心筋梗塞は時間との勝負です。
心臓の血管が詰まることで心筋へ酸素が届かなくなり、時間が経つほど心臓の筋肉が壊死してしまいます。
治療開始が早ければ早いほど、心臓へのダメージを小さくすることができます。
一方で、心筋梗塞患者さんの約3人に1人は病院へ到着する前に亡くなっているというデータもあります。
だからこそ、
・強い胸の痛み
・胸の圧迫感
・息苦しさを伴う症状
・普段と明らかに違う異常
を感じた場合は、自己判断で様子を見ず、救急車を呼ぶことが大切です。
■ 判断に迷ったら「#7119」
「救急車を呼ぶべきか分からない」
そんな時には救急相談窓口「#7119」を利用しましょう。
医療スタッフが症状を聞き取り、
・すぐ救急車を呼ぶべきか
・医療機関を受診した方がよいか
・少し様子を見てもよいか
などをアドバイスしてくれます。

■ 心筋梗塞を防ぐために
心筋梗塞の多くは動脈硬化が原因です。
予防のためには、
血圧を適切に管理する
コレステロールを下げる
糖尿病をコントロールする
健康診断を受ける
禁煙を心がける
ことが大切です。
動脈硬化は何十年もの時間をかけて進行します。若い頃からの生活習慣の積み重ねが、将来の心筋梗塞や脳卒中のリスクを左右するのです。
■ メッセージ
「胸の痛みの原因を症状だけで判断することは難しいものです。しかし、普段と違う強い胸の痛みや息苦しさがある場合には、ためらわずに医療機関へ相談してください。心筋梗塞は早く治療を開始できれば95%以上の方を救命できます。胸の痛みは身体からの大切なサインです。
「少し様子を見よう」が命に関わることもあります。普段と違う症状を感じたら、早めの受診を心がけましょう。

次回のハート相談所は2026年11月19日(木)にお送りいたします。
また、心臓や循環器疾患に対する質問やご意見などは番組までドシドシとお寄せください。