前史 1999[平成11]年─2008[平成20]年

岐阜県初の循環器専門病院が立ち上がるまで
心臓病は、がんに次いで2番目に死亡率の高い病気です。厚生労働省所管の国立循環器病研究センターによると、40年前、「心臓発作」と呼ばれる急性心筋梗塞は入院しても20-30%の人が亡くなる病気でした。循環器疾患の治療技術、特に低侵襲のカテーテル治療の進歩はめざましいものがあり、特に急性心筋梗塞に対するカテーテル治療は治療までの時間が患者様の予後を大きく左右することが知られており、一刻も早い血行再建の有用性が望ましいとされています。
循環器専門病院のメリットは、循環器専門医や循環器治療に特化したMedical staffの力を集約することができる点に大きな利点があるといわれています。また、近年はカテーテル治療や外科手術など高度な技術が要求されており、治療経験が多い施設での治療のメリットも強調されています。
このような時代の流れの中で誕生したのが、鈴木孝彦理事長が開設した豊橋ハートセンターであり、その10年後に誕生した名古屋ハートセンター、岐阜ハートセンターです。
豊橋ハートセンターは鈴木孝彦院長が1999(平成11)年5月6日に豊橋市に開設した循環器疾患専門病院です。循環器内科は鈴木孝彦院長、心臓血管外科は大川育秀副院長(現名古屋ハートセンター院長)が中心となり、最初は19床の診療所から始まり、現在は許可病床130床、稼働病床80床で地域の循環器診療、救急診療の中心となっています。開院後、豊橋ハートセンターは地域の循環器疾患診療の中心であるとともに、日本そして世界の循環器疾患の治療、特にカテーテル治療の分野において常に先頭を走る病院としての役割を果たしています。豊橋ハートセンターからの複雑病変に対するカテーテル治療は日本国内のみでなく、ヨーロッパや米国にもライブ中継され、国内外の心血管インターベンションを志す医師たちからもこの分野の最先端の病院として認識されています。鈴木孝彦院長はこの功績を認められ、米国のカテーテル治療の最も大きな学会であるTrans-Catheter Therapeutics 2010 (TCT2010)にてカテーテル治療の領域に貢献したオペレーターに贈られるGeoffrey O. Hartzler Master Clinical Operator賞を受賞しています。

名古屋ハートセンターは、2008(平成20)年10月1日に名古屋の砂田橋に開設されました。外山淳治院長、松原徹夫副院長(循環器内科)、米田正始副院長(心臓血管外科)、浅井優子看護部長が中心となり、64床の循環器専門病院として誕生しました。2012年からは、新院長として大川育秀医師が就任し、外山淳治院長が総長に就任しました。患者様、医療機関の諸先生方に対して“断らない、待たせない、温かい”医療を実践し、名古屋医療圏での循環器救急に必要不可欠な病院として認識されています。また、豊橋ハートセンターと同様に、日本国内のみでなく、世界への情報発信にも力をいれています。

現在は、伊藤立也循環器内科統括部長を中心に13名の内科医師、そして北村英樹心臓血管外科部長を中心とした8名の心臓血管外科医で構成された陣容で、地域の循環器拠点病院として謙虚な姿勢で専門医療を追究しています。

岐阜ハートセンターの初期構想は2006(平成18)年4月に遡ります。当時、岐阜市民病院の循環器内科部長だった上野勝己医師(前岐阜ハートセンター院長・現松波総合病院心臓疾患センター長)と岐阜県総合医療センターの循環器内科医長であった松尾仁司医師(現岐阜ハートセンター院長)の二人が、地域医療への貢献と循環器医療を担う次世代医師の育成を目的とした岐阜でのハートセンター設立構想を、豊橋ハートセンターの鈴木孝彦院長に相談されたことから始まります。

2007(平成19)年から19床の診療所も地域医療計画に入ってしまい、自由に開業ができない状況となりました。しかし岐阜医療圏は、ちょうどその時、病床の整備計画がすすめられていました。最初のヒアリングでは5床という意見が岐阜県からだされましたが、鈴木孝彦理事長から急性期循環器医療を行うための病床を強く要求した結果、2007年2月15日に32床の配分をいただきました。

病院の土地選定も難渋を極めました。病床数はすでにいただいたにも関わらず、土地が決定されていないという綱渡りの状態でした。しかし、最終的に岐阜県庁、岐阜県警、そしてふれあい会館の中間に位置する素晴らしい土地を、地主である井上富雄様が岐阜ハートセンター設立の主旨を御理解いただき、快く譲ってくださったことで、岐阜ハートセンターの建築が始まりました。

鈴木孝彦理事長は、将来すぐに病床が足りなくなると判断し、32床許可病床数の病院でありながら、120床規模の病院(1850坪)を建設することとしました。すると2008(平成20)年にさらに28床の許可病床をいただくことができ、60床でスタートできることになりました。

岐阜ハートセンターは、詳細な設計の打ち合わせの後、2008(平成20)年5月24日に地鎮祭を行い、6月15日に着工となりました。
2008年6月2日、着工前に薮田地区の住民の方々に岐阜ハートセンター開院とヘリポート建設に対する説明会を開催しました。岐阜県民ふれあい会館(現OKBふれあい会館)の13階会議室を借りて行われた住民説明会には、たくさんの地域の方々の参加がありました。岐阜ハートセンターが心臓や血管病の専門病院として開院すること、岐阜県全体の心臓病で困った患者様を一刻も早く搬送するため、ヘリポートを設置させていただきたいことを御理解いただくために、松尾仁司医師から懇切丁寧な説明が行われました。最初はヘリコプターの発着に関しての安全性や不安に関しての意見や質問がありましたが、たくさんの心臓病の患者様を救命するための施設を作ることに関して、参加者の御理解をえることができました。
2008年12月、明るいベージュ色の壁が温もりを感じさせる4階建ての岐阜ハートセンターが完成しました。その後、開院までの2カ月間は、スタッフ全員で、シミュレーションを行い、開院の準備を行いました。
そして、ついに岐阜ハートセンターは2009(平成21)年2月5日、心疾患をはじめとする循環器治療の専門病院として、岐阜市薮田南に開院することができました。病棟は開院時60床(現90床、許可病床は120床)、開院時のスタッフは内科4名(上野勝己院長、松尾仁司循環器内科部長、三宅泰次医師、近藤裕樹医師)、外科3名(富田伸司心臓血管外科部長、加藤貴吉医師、玉置基継医師)の7名、看護師(杉本郁子看護部長他23名)、総スタッフ数48名での開院となりました。

2009[平成21]年

岐阜県下唯一の心臓循環器専門病院として開院

豊橋ハートセンターの開設から10年。名古屋ハートセンターに続き、新たに岐阜ハートセンターが設立されました。岐阜県下唯一の心臓循環器専門病院として、循環器疾患の急性期から慢性期までをカバーできる質の高い最先端医療を目標に、多職種連携を基本としたチーム医療体制でスタートしました。

豊橋ハートセンター、名古屋ハートセンターに続く、岐阜県下初の心臓疾患専門病院として、上野勝己院長(現松波総合病院心臓疾患センター長)、松尾仁司循環器内科部長(現院長)、三宅泰次医師(現医長)、近藤裕樹医師の循環器内科医4名、および富田伸司心臓血管外科部長(現副院長)、加藤貴吉医師(現心臓血管外科部長)玉置基継医師(現名古屋ハートセンター医長)の心臓血管外科医3名で岐阜ハートセンターの開院を迎えました。開院1カ月前の1月4日にスタッフ結団式、1月7日に竣工式を行い、1月24日に関係者および地域の方々を招待して内覧会を開催しました。
開院の翌日、サラマンカホール(岐阜市藪田)にて、開院記念式典が開催されました。式典では、聖路加国際病院理事長の日野原重明先生による特別記念講演が開催され、会場は多くの熱気につつまれました。
不安定狭心症の患者様に対して、岐阜ハートセンターで最初のカテーテル治療が行われました。右冠動脈の99%狭窄に対してステント留置を行い、患者様の症状は消失し、元気な笑顔で退院されました。
岐阜ハートセンターで最初の心臓血管外科手術が、豊橋ハートセンターの大川育秀副院長(現名古屋ハートセンター院長)と富田伸司心臓血管外科部長(現副院長)のもと施行されました。大動脈弁狭窄症の患者様で、心不全を伴う準緊急手術でしたが、手術は無事に成功しました。
岐阜ハートセンターで初めてのアブレーションは、心房細動の再発症例でした。豊橋ハートセンターより山城荒平先生と佐藤公洋先生をお招きして無事成功しました。

岐阜ハートセンターの外来正面玄関には、コリドールと呼ばれる憩いのスペースがあります。このスペースは様々なアーティストの作品を紹介する“ハートギャラリー”として活用されています。1カ月毎に展示作品が変わり、外来患者様は様々な芸術作品を楽しむことができます。患者様からは「心の癒しとなっている。素晴らしい」と喜びのお声をいただいています。

カテーテル治療において高度石灰化病変の治療は難度の高い治療となります。冠動脈をドリルで削るロータブレーター治療は高い技術が必要で、危険性があるため、施設認定が必要です。岐阜ハートセンターでは、開院2カ月後の2009年4月1日にロータブレーター施設認定をうけることができ、この日に最初のロータブレーター治療を行うことができました。
患者様の健康を願い、管理栄養士が講師をする栄養教室がスタートしました。第1回のテーマは「食事のバランスについて」。当院の管理栄養士・大西歩実さんによる具体的な説明の後、参加者全員で試食会を行いました。この栄養教室は毎月1回開催され、現在は患者様のみでなく、地域住民の方々の参加をいただいています。
8月10日の「健康ハートの日」にちなんだイベント「ハートの日 in Gifu」を、当院を中心とした実行委員会が企画し、岐阜県民ふれあい会館で開催しました。ハートの日は、心臓病に対する正しい知識の普及と予防意識向上を目的としたもので、パイプオルガンの演奏会、講演会、健康相談、栄養相談、救命救急講習(心臓マッサージやAEDの実演)で構成されています。岐阜ハートセンターから3名の専門医と6名の栄養士が参加し、健康相談や栄養相談を行いました。
岐阜ハートセンターは、岐阜県全体の患者様をうけいれることができるように屋上にヘリポートを備えています。ヘリコプターによる最初の救急患者様の搬送は、郡上市白鳥町の鷲見病院からで「不安定狭心症とみられる患者様を搬送してほしい」との緊急連絡をうけ、松尾仁司循環器内科部長(現院長)が防災ヘリで患者様を搬送、緊急カテーテル治療を施行し救命に成功しました。当時はドクターヘリの運用はまだなく、岐阜県の防災ヘリコプターによる搬送でした。

地域医療貢献への取り組みの一環として、県内の臨床工学技士および放射線科の医師達を招待して、「GHC imaging Seminer 2009 IVUS 若鮎塾」と題した勉強会を開催しました。岐阜ハートセンターのスーパーバイザーであり血管内超音波法のオピニオンリーダーである本江純子先生の指導のもと、カテーテル治療における血管内超音波(IVUS)の活用法を学びました。

心臓病にならないための予防は大変重要です。岐阜ハートセンターでは、動脈硬化疾患の撲滅のため、生活習慣病に対する知識と対策を地域住民の方々と勉強する機会を設けています。第1回勉強会は、岐阜駅前じゅうろくプラザにて、財団法人高尾病院理事長の江部康二先生をお招きして、「糖尿病・メタボリックシンドロームと糖質制限食」のテーマで生活習慣病に関する講演会を開催しました。講演では、“薬を最小限に抑えることができる糖質制限食で糖尿病を克服する”についてご講演いただきました。

岐阜ハートセンターの取り組みと患者様へのメッセージをご理解いただくために、「岐阜ハートセンター便り」の発刊をスタートしました。「もっと患者様の近くに、もっと親しみやすいハートセンターに」との思いを込めて創刊され、以後は季刊誌として年3回発刊されています。

岐阜ハートセンターでの第1例目となる腹部大動脈ステントグラフト手術(EVAR)が無事に成功しました。従来の開腹手術と比較し、術後回復は早く術後8日で退院され、喜びのお声をいただきました。

血管内超音波診断法(IVUS)の技術を情報発信する「第18回i-IVUS.JP セミナー」が開催され、岐阜ハートセンターの医師とコメディカルが総動員で対応し、カテーテル室からライブ・デモンストレーションを行いました。200名近い見学者が集まる会場で、松尾仁司循環器内科部長(現院長)がカテーテル治療を行いながら、会場の質問に答える様子が映像で放映されました。

2010[平成22]年

開院1周年を迎え、心臓リハビリテーションを開始

岐阜ハートセンターは開院から1周年を迎えました。この1年間を振り返り、患者様はもちろん、関係者の皆様方への感謝の気持ちを胸に、さらに喜んでいただける病院を目指すことをスタッフ全員で誓いました。

第1例目の開心術から1年以内で、無事に100例目となる患者様を手術する機会をいただきました。記念として、職員を対象としたささやかな謝恩会を開催しました。

岐阜県下初の心臓疾患専門病院として開院した当院は、無事1周年を迎えました。白紙からのスタートであり「患者様に寄り添う医療」を心がけながら、安全な医療を提供することに力を注いできました。

2年目の目標は、接遇の徹底で患者様の「満足度」を高めることです。これは、スタッフ1人ひとりが余裕をもって仕事に当たれるようにすることで「接遇」にさらに磨きをかけ、結果として気持ちのよい対応が病院全体の質を高めることに繫げていきます。

糖尿病や脂質異常症、高血圧は心臓病の危険因子といわれています。岐阜ハートセンターでは、糖尿病患者様を対象とする「糖質制限食体験入院」を開始しました。2009年10月に開催した江部康二先生による生活習慣病講演会をきっかけに、糖質制限食の導入を検討し、栄養教室で糖質制限食の紹介をスタートさせました。入院は3日コースと10日コースで、入院中は血糖値の急激な上昇を抑えた1日1400カロリー前後で肉や野菜、海草類がバランスよく組み込まれた「糖質制限食」を体験していただきました。

患者様からご要望のあった中庭庭園が、室内から眺められる病棟の吹き抜け部分に完成しました。入院患者様の憩いの空間になっています。

岐阜ハートセンターの上野勝己院長(現松波総合病院心臓疾患センター長)が会長を務める日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)東海北陸地方会の第23回大会が、岐阜県民ふれあい会館サラマンカホールにて開催されました。今回は「オーダーメイド医療」と「チーム医療」をテーマに掲げ、i-IVUS研究会と共催するような形でライブ・デモンストレーションも岐阜ハートセンターから放映しました。

ライブの合間には、パイプオルガンのミニ演奏会も行われ、聴衆を魅了しました。また、同日に市民公開講座も開催され、富田伸司心臓血管外科部長(現副院長)が大動脈瘤について、土屋邦彦循環器内科部長(現副院長)が心房細動について、住民の方々に講演を行いました。

2009年12月より、原康貴看護主任と永井敬志理学療法士の2名が中心となって導入準備を進めていた「心臓リハビリテーションプログラム」がスタートしました。

心臓リハビリテーションとは、心臓病で低下した体力や精神的な自信を回復させ、社会や職場に早期復帰できることを狙いとする総合的なプログラムで、運動療法や教育、生活指導などで構成されます。狭心症や心筋梗塞、心不全、大血管疾患などの回復後に5カ月間、健康保険を用いて行うことができます。4階のナースステーション前に開設された心リハ専用室には、運動療法のためのエアロバイク2台を設置し、患者様に利用していただける体制を整えました。

2回目となる「ハートの日」イベントが岐阜県民ふれあい会館サラマンカホールで開催され、講演会やコンサートなどが行われました。

ハート講演会では「メタボリックシンドロームの予防と治療」をテーマに講演会と座談会が行われ、当院の上野勝己院長が「臨床現場での糖質制限の実際」に関して講演しました。その他、ハート健診(医療相談)や救急蘇生法講習会、運動教室、栄養相談室などが開催され、たくさんの地域の皆様にご参加いただきました。

財団法人高雄病院理事長の江部康二先生による、医療従事者向け糖質制限食に関する講演会をハートホールにて開催し、病診連携の病院やクリニックから多くの医師の皆様にご参加をいただきました。

2011[平成23]年

岐阜大学病院のドクターヘリが当院へ初飛来

岐阜ハートセンターは開院から2 周年を迎えました。この年は、岐阜県と岐阜大学が運用するドクターヘリが初飛来するなど、岐阜県全域の患者様の治療に携わることができるようになりました。
地域との医療連携を積極的に行い、医療連携での更なる充実が期待される1年となりました。

日本ステントグラフト実施基準管理委員会による審査の結果、当院がステントグラフト治療の施設基準に適合していることを証明する「胸部ステントグラフト実施施設」に認定されました。

開院から2周年を迎え、患者様は岐阜県全域から来院されるようになりました。各地の病院からのご紹介も増え、当院の診療実績は、2010年でカテーテル治療件数が1,000件、開心術は120例を超えました。不整脈部門では、アブレーション治療やペースメーカーの植え込み治療も増加しました。患者様の1人ひとりの背景を十分に考慮した「オーダーメイド医療」を提供しながら、さらなる充実を目指しています。

当院内に「岐阜ハートセンター南」の停車場名で、西岐阜くるくるバスのバス停が設置されました。バスは西岐阜駅から1時間10分毎に出て、当院のバス停までは約13分で着くとあって、患者様により便利にご利用いただけるようになりました。

5月15日に開催される「高橋尚子杯ぎふ清流マラソン」を前に、現場で応急処置を行う「ハートサポートランナー」登録者を対象とした救命講習会を岐阜ハートセンターハートホールで開催しました。講師は、清流マラソン救護スタッフである杉浦武治臨床工学技士が務め、AEDの操作方法や心臓マッサージの方法を説明しました。

この日、ドクターヘリが初めて患者様を乗せて当院へ飛来しました。これまでは、岐阜県の防災ヘリに当院の医師が搭乗して患者様を迎えに行っていましたが、岐阜大学病院救命救急部医師と看護師が同乗し、患者様を搬送していただきました。岐阜県の救急システムに感謝です。

1階ロビー横に、医療連携ボードが完成しました。当院では、地域の「かかりつけ医」の先生方と医療連携を積極的に行っています。地域の家庭医の先生方と協力し、患者様にとって最適な医療ができるよう、今後も多くの医療機関と積極的に連携を深めていきたいと思います。

患者様の個人情報の取り扱いについて院内研修会を開催しました。日本医療事務センター(現株式会社ソラスト)岐阜支社の服部美鶴支社長に講師をお願いし、個人情報の取り扱いについての講演やDVDによる事例紹介、ディスカッションを行いました。病院は個人情報を扱う特殊な職場といえます。職員全員が個人情報を大切にする意識を共有することができました。

県民ふれあい会館サラマンカホールにて「第3回ハートの日 in Gifu」が開催されました。テーマは「ハートのケアとこころのケア」で、中濃厚生病院の田中孜院長先生による「胸の痛みについて」、五日市剛先生による「感謝は心の万能薬」の講演会が行われました。また、健康イベントとして「栄養教室」と「運動教室」が行われ、たくさんの方々の参加をいただきました。

岐阜保健短期大学看護学部3年生の4名が、岐阜ハートセンターで看護学実習を体験しました。今回は、心臓血管外科を中心に、患者様の入院から退院まで約3週間にわたり、ご家族を理解しながらの看護方法の実際を学びました。また、心臓手術の見学、豚の心臓の血管を縫う体験、心肺蘇生・AEDの実習、心臓カテーテル検査・心臓リハビリテーションの見学などを体験しました。

金沢循環器病院院長の池田正寿先生をお招きして、職員、関連職員全員を対象とした医療安全講習会を開催しました。当院からは60名の職員が参加しました。テーマは「医療安全を継続する取り組みを模索してみました。」と題し、医療安全の具体的な取り組み方について講演をしていただきました。

北九州市立八幡病院・循環器内科の原田敬先生をお招きして、「腎動脈echoについて」の講演会を開催しました。岐阜ハートセンターのスタッフだけでなく、近隣の施設からも医師、臨床検査技師、臨床工学技士、診療放射線技師をお迎えし、30名を超える方にご参加をいただきました。

2012[平成24]年

質の高い医療と救急体制の構築を目指して

岐阜ハートセンターは開院から3周年を迎えました。患者様とコミュニケーションを取りながら、地域に根ざした、いつでも安心して来院いただける病院として、より質の高い医療と24時間救急体制の構築を目指しました。

開院から約3年でPCIは3000例に達しました。

CT画像診断において放射線専門医の診断をうけることができる遠隔診断技術の導入を行いました。これにより、主治医と放射線科専門医によるダブルチェックが可能となり、患者様により安全な医療の提供ができることとなりました。

職員および医療関係者の方々約200名にお集まりいただき「岐阜ハートセンター開院3周年記念パーティー」を開催しました。記念講演として、未来工業(株)の山田昭男取締役兼相談役に「社員のやる気戦略」というテーマでご講演をいただきました。その後、松尾仁司循環器内科部長(現院長)、土屋循環器内科部長(現副院長)、富田心臓血管外科部長(現副院長)による3年間の歩みが披露され、最後は、岐阜ハートセンター恒例の「エイエイオー!」の掛け声で締めくくられました。
今年で3回目を迎えたナーシングカンファレンスでは、「認知症の症状と看護~認知症治療病棟の現場から~」と題して、公益社団法人岐阜病院の認知症看護認定看護師・伊藤智幸先生に講演していただきました。多くの病院から多数の看護師の皆さんに参加いただきました。
岐阜ハートセンターでは、冠動脈内イメージングをカテーテル治療時に活用して質の高いPCIをめざしています。冠動脈内を光顕微鏡で観察する「FD-OCT」に関するトレーニングコースを開催しました。FD-OCT(Fourier Domain Optical Coherence Tomography)は、血管内に波長可変レーザーを照射することで、光干渉の原理を利用した高い解像度を有した血管断層面情報を得られ、この画像から効果的な治療方法の選択ができるというものです。今回は、愛知県の4病院から8名の先生にご参加をいただき、「基礎と実臨床活用」「症例提示」「症例見学」の3つのプログラムを行い、活発な討論が交わされました。
第3回GHC心房細動勉強会が開催され、一般講演として当院の芦川直也薬局長が「当院症例におけるダビガトランの容認性の検討」のプレゼンテーションを行いました。また、特別講演として名古屋第二赤十字病院・循環器内科部長の吉田幸彦先生に「心房細動の薬物治療と凝固療法の重要性」について講演していただきました。
当院にて「IVUS の基礎から実臨床での使用例」をテーマにIVUS セミナーを開催しました。午前中はカテ室よりライブを行いながら、中濃厚生病院循環器内科部長の香田雅彦先生にコメンテーターを担当していただき、松尾仁司循環器内科部長(現院長)、大久保宗則医師(現循環器内科部長)、スーパーバイザーである本江純子医師、稲田毅臨床工学技士(現事務長)が講師を担当しました。午後からは、IVUS 画像の理解や計測方法、スタック対処法などのレクチャーをグループ毎に行い、活発な討論が行われました。
第4回目を迎え、近隣から多数の看護師さんの参加が見られました。今回は救急看護認定看護師の長谷川幸雄看護師による講演を行いました。
構造的心疾患の治療などに、外科的手術とカテーテル治療が可能なハイブリッドルームが必要です。無菌状態のクリーンルームとして工事を進めていた第3カテーテル室が完成しました。第3カテーテル室は、カテーテル室の中でも一番広い部屋となり、清浄度もHEAS-02-2013クラスⅡの基準を満たし、全身麻酔や開心術にも対応可能なハイブリッドルームに生まれ変わりました。今回導入した最新のカテーテル設備は、ハイエンド・バイプレーンシステム搭載したシーメンスヘルスケア社のX 線血管撮影装置「Artis zee BA」で、冠動脈インターベンションのみでなく、末梢血管治療、カテーテルアブレーション、TAVIやEVAR、TEVARに優れた機能を搭載しています。

心臓外科医を志望している後期研修生を中心に、院内から看護師、検査技師、ME学生が参加して心臓外科WetLabを開催しました。
外部講師として、羽山クリニック藤田浩弥先生に指導をお願いし、心臓外科の解剖・生理をブタの心臓を用いて勉強しました。当初の予定を3時間延長するなど、熱意あふれる勉強会となりました。

恒例のハートの日イベントが「ふれあい福寿会館」サラマンカホールにて開催されました。今年は「メタボリックシンドロームへの挑戦」をテーマに、東京大学大学院総合文化研究科・生命環境科学系の石井直方教授と、高雄病院理事長の江部康二先生に講演いただきました。また、健康イベントとして「栄養教室」「運動教室」が行われ、ハートコンサートでは藤城朋子さんによる「バイオリンとピアノによるクラシックコンサート」が開催されました。
当院において第1回「PCI Optimization Training Course」が開催され、ランチョンセミナーおよび症例見学と講演会が行われました。実臨床見学では「FFRと FD-OCT 実臨床使用」で松尾仁司循環器内科部長(現院長)とスーパーバイザー菊名記念病院循環器センター長の本江純子医師が解説を担当しました。また、特別講演では和歌山県立医科大学の久保隆史先生より「FFR とOCT の魅力的な活用法」の講演をしていただきました。
病院研修旅行が開催されました。ディズニーアカデミーでの記念写真です。
岐阜ハートセンターの運動教室は、心疾患に対して運動療法は効果的であることを啓蒙すること、運動習慣の確立のために、自宅内で簡単にできる運動内容を提供する目的に開催を始めました。第1回目は2012年11月21日(水)15時からハートホールにて開催され、参加人数は28名でした。以後、2カ月に1回のペースで開催されており、2019年1月の開催で第37回を迎えています。
今池ガスビルにて『第23回 i-IVUS.JP ライブデモンストレーション』が開催され、岐阜ハートセンターからライブ中継が行われました。ライブデモンストレーションでは、実際の手術中に得られたイメージング画像(IVUS・OCT・FFR等)を当院スーパーバイザーの本江純子医師を始め、和歌山医大の久保隆史先生、小倉記念病院の井上勝美先生らが術者と共に検討し、会場からの質問や意見に耳を傾けながら安全にカテーテル治療が行われました。
一般社団法人日本外科学会から「日本外科学会外科専門医制度関連施設証」を受領しました。

2013[平成25]年

“確かな技術”のご提供と“やさしさの医療”の両立へ

開院4年目を迎え、医師やスタッフも増え、設備も充実してきました。医療レベルの向上を図りながら、安全で安心できる医療に取り組みつつ、患者様と密なコミュニケーションを取りながら「確かな技術」のご提供と「やさしさの医療」で、地域に根ざした病院を目指しました。

横浜市立大学付属市民総合医療センター心臓血管センター客員准教授の小菅雅美先生による「本には載っていない急性冠症候群の心電図診断」の講演を行いました。多くの医師およびコメディカルの方々にご参加いただきました。
80名近い救急隊員の方に参加いただき、「第1回 岐阜ハートセンター救急連携勉強会」がハートホールにて開催されました。この勉強会は、救急隊の方との連携をより深めることを目的として発足したもので、三宅泰次医長による「救急搬送状況報告」および川瀬世史明医長(現循環器内科部長)による「心筋梗塞の非典型的症状について」の講演が行われました。
岐阜駅前の「じゅうろくプラザ」において、第5回「ハートの日」が開催されました。今年は、「メタボコントロールとこころのケア」をメインテーマとし、ハート講演会では2名の講師をお迎えしました。飛騨千光寺の大下大圓住職に「心のケア」について、高雄病院理事長の江部康二先生に「心臓病予防」について、それぞれ異なる“ハート”のケアについて講演いただきました。健康イベントとして「栄養教室」と「運動教室」が開催されました。
「冠動脈慢性完全閉塞(CTO)への治療」をテーマにワークショップを開催しました。当日は、ライブデモンストレーションとランチョンセミナーが開催されました。慢性完全閉塞に対するカテーテル治療は、高度な技術と経験が必要とされています。一般参加者として、東海三県や福井県より循環器内科医のみならず臨床工学技士や放射線技師の方30名にご参加いただき、活発なディスカッションが行われました。
済生会中津病院の志手淳也先生のご指導のもと、OCT ガイドで6例の患者様を治療しました。
効果の高い運動の強さを測定できるCPX(心肺運動負荷試験)が導入されました。これにより、患者様それぞれの運動能力に応じた適切な心臓リハビリ処方を提案できるようになりました。
岐阜ハートセンターの医局&カテ室操作室にて下肢末梢血管治療のライブ「PPI LIVE in Gifu」が開催されました。当院では、腎機能の低下が認められる患者様に対して、積極的に炭酸ガス(CO2)による治療を実施しており、今回は、講演会および PPI LIVE という形式で、他院の先生方にご参加いただきました。当日はセミナー講師とオペレーターを大久保宗則医長と川瀬世史明医長が担当し、周辺地域(愛知県・岐阜県・三重県・福井県)からご参加いただいた11名の医師と2名の技師の先生方を前にライブデモンストレーションを行いました。
本年より「i-IVUS.JP」から名称を変えた「PICASSO(Physiology and Imaging Guided Coronary Angioplasty Association)」が、名古屋今池ガスビルで開催されました。岐阜ハートセンターのカテーテル室からのライブ映像が、今池ガスビル会場内に設置された大スクリーンに映し出される中、会場のコメンテーターの先生方と熱いディスカッションが交わされました。中部地区の医師のみでなく、全国各地から多くの医師、メディカルスタッフの参加をいただきました。

2014[平成26]年

新院長のもと新たな布陣で、より地域に根ざした病院へ

この年、上野勝己院長から松尾仁司院長へとバトンタッチが行われました。松尾仁司新院長のもと、上野勝己前院長の意志を継承しながら、“目の前の患者様を大切に”そして“常に考えながら”地域に貢献できる病院を目指していくことを皆で再確認しました。

岐阜ハートセンターの増床工事が3月1日から始まりました。新たに、病院建物の東側部分に増築されることになり、年内での完成を目指して着工が進められました。
iFRとFFRの前向き無作為試験DEFINE FLAIR試験に症例登録を開始しました。本研究は、2017年にNew England Journal of Medicineに掲載され、世界のガイドラインに大きな影響を与える研究となりました。
当院を5年間にわたり牽引してきた上野勝己前院長が4月末で退職し、新院長に松尾仁司が就任しました。循環器内科は、土屋邦彦副院長、大久保宗則部長、川瀬世史明医長(現循環器内科部長)、三宅泰次医長、菊地 淳(現循環器内科医長)、三枝達也、近藤裕樹(現松波総合病院循環器内科副部長)、中谷佳裕、岡本修一の10名で、心臓血管外科は富田伸司副院長、恒川智宏医長、加藤貴吉医長(現心臓血管外科部長)、泉二佑輔研修医の常勤4名の新しい布陣でのスタートとなりました。
開院から5年2カ月で、PCI件数は5000件に達しました。5000例目の患者様は右冠動脈に留置したステントの再狭窄病変に対し抗ガン剤を塗付した特殊なバルーンで拡張し、良好な結果を得ることができました。
岐阜県内の老人クラブの方々を対象とした「岐阜県老人会地区指導者研修会」で、松尾仁司院長と土屋邦彦副院長が“心臓病を皆で守りましょう”をテーマに講演を行いました。講演は高山市、岐阜市、大垣市など岐阜県内6カ所で行い、多くの方に参加いただき、地域の方々との交流活動の大切さと喜びを感じました。
スーパーバイザー近藤武先生が、岐阜ハートセンターCT研究の指導に来ていただけるようになりました。冠動脈CTの撮像技術の向上が図られ、診断の正確性、低侵襲性がより高まりました。
6回目を迎えたハートの日は、メインテーマを「もっと知りたい!心臓のこと」とし、ハート講演会では福岡山王病院の横井宏佳先生による「もっと知りたい!心筋梗塞~予防最前線」の講演が行われました。また、この年より小学校高学年を対象とした「夏休み!子ども体験学習会」をスタートさせました。心臓の働きをわかりやすく説明した「心臓ってなぁ〜に?」、医師や看護師などの仕事を紹介した「病院ではたらく人たち」、医師がカテーテルシミュレーターを使って説明する「心臓カテーテル手術ってなぁ〜に?」の他に、サテライト会場では、白衣での診察や手術衣でのカテーテル手術、AEDを使った心臓マッサージが体験できる「見て!触れて!学べる!体験コーナー」を設け、大勢のお子さんたちにご参加いただけました。
心臓リハビリテーションスペースが新たにオープンしました。名古屋大学の山田純生教授監修の新しいスペースで、より充実した心臓リハビリテーション治療が可能となりました。
3月1日に始まった岐阜ハートセンターの増床工事が完了し、ハイブリッド手術室、新集中治療室、心臓リハビリテーション室が新設されました。新施設に伴い2015(平成27)年1月1日からは、60床から80床で病床稼働することになりました。

2015[平成27]年

新病棟開設で80床に増床、新たに心不全チームも誕生

集中治療室の拡充やハイブリッド手術室の完成に続き、新病棟の開設で病床数が80床へと増床し、設備の充実が図られました。心不全チームも誕生し、急性期から慢性期までの総合的包括的心臓病治療を行うことが可能となりました。

新病棟が完成し、より充実した集中治療室と心リハ室の稼働が開始しました。ハイブリッド手術室の完成にともない、経カテーテル大動脈弁植込み術(TAVI) の開始準備も整いました。これらの拡張は、急性期疾患の受け入れ態勢の拡充および慢性期心不全や重症下肢虚血への対応を可能とするシステムと言い換えることができます。目標とする、高いレベルでの循環器疾患の診断と治療ができる、質の高い医療をご提供する施設へと一歩近づくことができました。
岐阜ハートセンター創設メンバーの一人であった杉本前看護部長が3月に退職され、4月より篠田新看護部長へとバトンタッチが行われました。新体制でのスタートは、看護部の新たな第一歩となりました。
岐阜大学第二内科より赴任した川村一太循環器内科医長(現循環器内科部長)を中心に、看護師、薬剤師、理学療法士、栄養士を含めた心不全チームが誕生しました。今後は、チーム医療で、適切な長期予後を考えた薬物療法や心臓リハビリテーション、栄養療法など多くの側面からのサポートを行っていくこととなりました。
岐阜ハートセンターにて、GHC course in Advanced coronary physiologyが開催されました。日本のオピニオンリーダーが集まり、冠循環評価の重要性を討論しました。
アブレーション1000例目は、発作性心房細動の症例でした。以前は3時間程度かかった心房細動のアブレーションですが、入室から退室まで2時間の短時間で終了できるようになりました。
大動脈弁閉鎖不全症において、自己弁を温存、形成する「自己弁温存基部置換術」を開始しました。人工弁の使用を回避できるため、術後抗凝固・抗血小板療法を必要としない手術です。
サラマンカホールが主催する「音楽のおとどけもの」のアウトリーチ活動の一環として、新弦楽四重奏団「サラマンカ・レジデント・カルテット」の演奏会が岐阜ハートセンターハートホールで開催されました。素晴らしい生演奏に聴衆は魅了されました。
恒例となった「ハートの日」イベントがじゅうろくプラザにて開催されました。今年は、「家族で心臓病を考える」をメインテーマに、ハート講演会では東京ハートセンターの南淵明宏先生に「大切な人のために…今、知っておきたい心臓血管外科治療」の内容で講演いただきました。昨年から始まった子ども向けイベントも大変好評で、約1690名の参加が得られました。
岐阜ハートセンターが主催する第1回のPCI Optimization by Physiology and Imaging 2015 (POPAI 2015)が岐阜ハートセンターハートホールで開催されました。日本全国から多くの先生たちにおこしいただき、PhysiologyとImagingを用いて予後のよいPCIを目指す会です。翌年からは岐阜駅に隣接する「じゅうろくプラザ」に会場を移して行われます。第1回ですが、180名の方々に御参加いただきました。

2016[平成28]年

設備の充実とともに、最先端の診断・治療技術を導入

CCU の拡張や新病棟の開設など、これまでの設備の充実とともに数多くの患者様を受け入れることが可能となりました。さらにTAVI の実施、最新の核医学検査装置や足の外来技術の導入も行い、地域に貢献できる病院として一歩前進することができました。

当院が推進している3つのプロジェクト「構造的心疾患カテーテル治療」、「下肢救済・足の外来の開設」、「心不全再入院抑制」のインフラ整備として、エコー室をエコーラボへと拡充しました。
慢性肺血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)に対し、国立循環器病研究センターから大郷剛先生を招いてバルーン肺動脈形成術(BPA)の1例目を開始しました。今後、特発性肺動脈高血圧症などの右心疾患に対する薬物療法の治療管理にも注力していくこととなりました。
近年、増加している大動脈疾患(大動脈瘤、大動脈解離)への対応として、当院では大動脈疾患でお困りの患者様や、大動脈疾患を診療されている先生方への診療情報や手術加療を含めた最良の治療をご提供するために大動脈外来を開設しました。
経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)の1例目の手術が行われました。循環器内科・大久保宗則部長、川瀬世史明部長、心臓血管外科・恒川智宏医長、加藤貴吉医長(現心臓血管外科部長)、麻酔科・青山菜帆子医師、メディカルスタッフが連携しハートチームとして、重症大動脈弁狭窄症患者様の治療を行いました。
不整脈治療の新しいテクノロジーとして高周波カテーテルアブレーションに加え、バルーン形状のカテーテルに冷気ガスを送気し、標的部位を円周状に一括で冷却することで心房細動を治療する冷凍凝固アブレーションを導入しました。Cryoablationという技術は心房細動治療の手技時間の短縮をもたらし、患者様への負担を劇的に軽減しました。
従来の核医学検査装置に比べて、より鮮明な画像診断が可能で、放射性医薬品の投与量を減らし、撮像時間も短縮できる最新の心臓画像診断装置「D-SPECT」を導入しました。この装置は半導体検出器を用いることにより、非侵襲的に心筋虚血を検出でき、虚血性心疾患の診断とマネージメントに大きな力を発揮します。
英国Imperial College LondonのJustin Davies先生が岐阜ハートセンターを来訪され、Workshopでご講演いただきました。
今年は昨年に続き「家族で心臓病を考える」をメインテーマに、ハート講演会では、「不整脈と正しくつきあう」の内容で、不整脈治療の第1人者である横須賀共済病院の高橋淳先生に講演いただきました。子ども体験学習会では、土屋副院長が太鼓を使って心臓のリズムのお話を分かりやすく説明しました。その後、カテーテル治療のシミュレーターを用いたライブデモンストレーションを行いました。
岐阜駅前のじゅうろくプラザにて「POPAI 2016」が開催されました。当院とロンドンのImperial College LondonからPhysiology と血管内Imaging に基づいたカテーテル治療の様子をライブ中継し、じゅうろくプラザの会場にて放映しました。日本全国から300名の参加があり、活発な討論が行われました。

2017[平成29]年

新たに多職種によるフットケアチームがスタート

昨年度に発足した多職種スタッフによる心不全チームが順調な活動を続けるなか、新たに医師2名とスタッフ18名を迎え、共に行うチーム医療で循環器専門病院として最上級の医療の提供を目指して行くことになりました。

当院の松尾仁司院長が代表世話人を務めた第2回FRIENDS liveが、品川の東京ベルサーレ半蔵門で開催されました。初日は座学、2日目は岐阜ハートセンターからライブ中継を行い、6名の患者様に対してPhysiologyとimagingを活かして、質の高い治療を行う様子を中継し、会場の530名の参加者と討論を行いました。
岐阜ハートセンター「足の外来」を非常勤でサポートしてきた菰田拓之医師が常勤となり、菰田拓之形成外科部長と菊地淳循環器内科医長を中心としたフットケアチームが本格的に稼働を始めました。
地域の方々のご尽力により、岐阜ハートセンター前に市橋地区のコミュニティバスの停留所「岐阜ハートセンター前」が設置されました。
米国マサチューセッツ総合病院の循環器内科教授のIK Jang先生におこしいただき、OCTをもちいた急性冠症候群の発症メカニズムに関するご講演をいただきました。素晴らしいお話とIK Jang先生のお人柄にスタッフ一同が感銘をうけました。
第1回POPAI-AP2017(PCI Optimization by Physiology And Imaging in Asia Pacific)が開催されました。第1回はインドから6名、マレーシアから1名の医師の皆さんが岐阜ハートセンタースタイルのカテーテル治療の勉強に見えました。
手術に関わらないメディカルスタッフにもっと心臓を理解してもらうため、実際の豚の心臓を触りながら、心臓の構造を勉強する学習会をハートホールにおいて開催しました。心臓血管外科の加藤貴吉部長と富田伸司副院長他、心臓血管外科の全ての医師達と、循環器内科の医師も多数加わり、手術室の看護師や臨床工学技士も協力しながら、メディカルスタッフと一緒に勉強を進めました。
FFRの概念を作り上げたNico Pijls先生が岐阜ハートセンターに来訪され、カテーテル指導と講演を行っていただきました。
昨年に続き、今年も「家族で心臓病を考える」をメインテーマに開催されました。午前中は子供たちを対象とした「夏休み!子ども体験学習会」、午後は心臓リハビリテーションの第1人者である名古屋大学教授の山田純生先生に「心臓病運動で予防、運動で治療」という内容で講演いただきました。
10月より看護単位を3看護単位に増やし、病床を80床から90床へ増床しました。これにより4階病棟が本格的に稼働を開始しました。
稲田事務長と中嶋師長が、サンタとトナカイに扮して託児所を訪問し、子供たちにクリスマスプレゼントを手渡しました。

2018[平成30]年

チーム医療で、最上級の医療のご提供へ

岐阜ハートセンターは開院10年目を迎え、多職種連携を基本としたチーム医療で地域の皆様の健康をささえていく体制を構築しました。これからも、医療の安全性と質を高め、最上級の医療を提供できるようスタッフ全員が力を合わせて前進し続けることを誓いました。

当院のハートホールにおいて、第9回となる救急連携勉強会を開催しました。救急隊の方々に多数参加していただきました。三宅泰次医長よりH27年の救急搬送患者の分析結果を報告しました。続いて、加藤貴吉心臓血管外科部長が、「大動脈解離の最前線~GHCでの包括的診療~」のテーマで説明を行いました。
アブレーション2000例目は、85歳の患者様で発作性心房細動の症例でした。冷凍バルーンアブレーションで手技を行い、入室から退室まで115分と短時間で終了することができました。
石灰化した大動脈弁を切除し、自己の心膜で弁尖を作り上げることで、人工弁の使用を回避できる心臓手術AVNeoを開始しました。
5月より篠田看護部長から五十嵐新看護部長へとバトンタッチが行われました。10年の節目の年に新体制でのスタートとなり、看護部の新たな第一歩となりました。
胸骨を切開しないで行うため、出血・手術による傷や創部の痛みが少なく、早期の社会復帰が見込める心臓手術「MICS」を開始しました。
アジアの医師の皆さんが、岐阜ハートセンタースタイルのphysiologyとimagingを勉強する会として年に1回開催されているPOPAI-APの第2回目が行われました。
年4回開催されるPhysiology guided course in GHCは、日本全国から沢山の医師の皆さんにGHCスタイルのphysiologyとimaging ガイドのPCIを勉強に来ていただいています。
笠松麻酔科部長、青山医師による全身麻酔症例が200例を超え、認定施設審査に合格しました。
10回目を迎えた今年も、昨年に続き心臓病の予防と治療、医療の大切さを啓蒙するため「家族で心臓病を考える」をメインテーマに開催されました。午前中は、「病気を知れば病気が見えてくる」をテーマとした「夏休み!子ども体験学習会」と運動教室、栄養教室が行われました。午後からは「子ども体験コーナー」として検査体験・カテーテル手術体験・手術室体験・調剤体験・リハビリ介護体験が行われました。ハート講演会にはナグモクリニック総院長の南雲吉則先生をお招きして「命の食事…心臓病もガンも認知症も予防できる食事」という内容で講演いただきました。その後、同テーマについて、南雲吉則先生と当院の松尾院長、富田副院長、土屋副院長の3名による座談会が行われ、会場からたくさんの質問をいただきました。
循環器内科医が不在となり、高山日赤病院に対しての岐阜ハートセンターの支援が開催されました。
岐阜ハートセンターが主催する4回目となるPOPAI2018が開催され、350名の参加者がありました。今回はImperial College LondonからJustin Davies先生にご参加いただき、会を盛り上げていただきました。
20回目になるナーシングカンファレンスは『たくさんの「しくじり」をバネに 足フェチから始まる連携があっても良いじゃない?!』というタイトルでフットケアの連携についての講演があり、69名の参加者がありました。