心房中隔欠損症のカテーテル治療について

先天性心疾患の約45%を占めますが、比較的孔(あな)の小さい患者さんでは、30~40歳代以降にならないと症状がでません。その頃から次第に、心臓の働きが不十分となる心不全症状が出現したり、不整脈が出現したりします。
心室中隔欠損症と異なり、欠損孔の自然閉鎖は稀です。カテーテル治療ができなかった昔は、手術しか治療がありませんでした。徐々に進行するため、自覚症状を感じにくいことも多く、高齢になって症状が出現し、その頃には手術適応がないこともありました。2010年から、小児科領域から開始されたカテーテルによる閉鎖術が成人領域でも開始されました。
現在では、孔の大きさや場所により2種類の閉鎖栓(デバイス)を使い分けることができるようになり、安全性も増しています。
手術と異なり、簡便な治療ですので、適応があれば、自覚症状が強くなる前に行うことが勧められます。

全身麻酔下に、経食道エコーで孔の状態をしっかりと観察しながら行うことが必要です。
足の付け根の静脈からカテーテルを挿入し、下の図のように、孔を左心房と右心房それぞれから挟み込む形になります。
当院での平均治療時間は、麻酔の準備を含めても2時間程度です。
デバイスは個々人でスピードは異なりますが、3から6か月で膜がはり、心臓の壁の一部として安定化します。6か月の間抗血小板薬を内服する必要がありますが、その後、内服の必要が原則なくなります。

治療までの流れ

経胸壁心エコーで心房中隔欠損が見つかれば、孔を通して流れる血液の量が比較的多ければ、経食道エコーをうけていただきます。その後、当院のカンファレンスで治療の要否、
治療法(カテーテルがよいか、手術がよいか)を検討して、最終的にご本人の同意がえられれば治療をうけていただくことになります。