当院では下肢静脈瘤に対して、血管内塞栓術(ベナシール)、血管内焼灼術、硬化療法、高位結紮術、静脈抜去術などの治療法で下肢静脈瘤に対応しています。

日帰り手術を基本としています。仕事でお忙しい方、こどもの世話などでお泊りになれない方にも、対応させていただきます。手術当日は仕事をお休みいただきますが、翌日から仕事に復帰することを目標としています。約1週間後の外来再来で基本的には終了です。

手術を行うことで症状の改善が見込まれますが、その後のさらなる改善、再発予防のためには、生活習慣を見直すことが大変重要です。

これまで学校や病院で教わることのなかった正しい靴の履き方、選び方、歩き方の指導をさせていただきます。むくみに対する弾性ストッキングや弾性包帯、ドレナージなどの指導も行い、歩行機能の改善・温存に努めています。フットケア指導士、弾性ストッキングコンダクター(あしの専門の資格)を持つ看護師が医師とともに寄り添います。

下肢静脈瘤の病状に応じた治療法をご案内いたします

下肢静脈瘤

静脈瘤は、足の表面の静脈が拡張して“ぼこぼこに膨らむ”病気です。通常、柔らかい青紫色のこぶが下腿にミミズのように見られます。

足のしびれなどの症状があった場合、整形外科的な問題(腰椎症、変形性膝関節症)を同時にかかえている場合もございます。

静脈瘤ができるメカニズム

正常では、心臓から動脈を通り足先まで血液が循環し、帰り道は、静脈をとおって心臓へ戻ります。しかし、静脈には、心臓のようなポンプがないために、静脈の内側にある一方通行の弁(とびら)がついており、静脈の周りの筋肉が収縮すると、静脈が外から圧迫され、静脈内の血液が、心臓方向に押し出されるしくみになっています。正常では、弁が逆流を防止するため静脈瘤ができません。(下左図)
一方、下右の図のように、静脈の逆流防止弁に圧力がかかり、壊れてしまうと、表面の静脈に逆流が起こり、でこぼこになってしまいます。長時間の立ち仕事、遺伝、加齢、妊娠、肥満などが理由で起こります。

症状は、下肢静脈がうっ血(血液が停滞)するため、 見た目が気持ち悪い、 足がむくむ、足がだるい、足がつる(こむら返り)、 痛みやかゆみがある、などです。
患者さまの中に、放っておくとどうなるかというご質問をよくいただきます。
放置しておいてもよくなることはないこと、数年単位で悪化していくこと、急に血栓性静脈炎などで足が腫れることなどが起こりえることとお伝えしています。

また、手遅れにはならないかという質問もよく受けます。そのようなことは通常ありませんが、血栓を伴ったりすると赤くはれたり(血栓性静脈炎)、ひどくなれば皮膚色が浅黒くなり場合によっては皮膚潰瘍ができ、そのから出血や感染を引き起こすことにもなりかねません。そのような場合には、早期の手術をお勧めしています。

治療を先延ばしにする理由としては、それほど困っていない(慢性的な進行であるために静脈瘤由来の症状と認識していない)、“手術”ということばが、恐怖心をかきたてるものだと考えます。治療がどのような流れになっていることを理解できれば治療を受ける前向きな気持ちになれると思います。以下にあります各治療法の流れを参考にしてください。

下肢静脈瘤の状態と治療法

  • クモ状、糸状静脈瘤

通常、保存的治療法(弾性ストッキング)となります。しかし、医療用は、圧力が強すぎ夏などかぶれたりすることもあります。そのため、長時間立っての仕事を行っている方には、スポーツショップで、ランニング用のスパッツなどをおすすめしています。また、なるべくふくらはぎの筋肉を使うような動き(背伸び、びんぼうゆすり)をするようにおすすめしています。

手術はちょっと、という方にもご利用いただけますが、脱いでしまうと圧迫がなくなり静脈瘤が顔をだします。悪化や静脈瘤の予防には効果がありますが、根本治療ではありません。

  • 硬化療法

下肢静脈瘤の中に、各薬液を用いる方法で開発されたが、再発が多いなどの理由で下火になりました。しかし、2000年にTessariが、ポリドカスクレロールと空気(二酸化炭素、酸素)を混合しFOAM(泡)を作成する簡便な方法を開発し、血管内に留まる時間を延長することで臨床成績が向上し、全国的にすこしずつ治療例が増加しています。

対象は、

1)クモ状、糸状静脈のような細いもの

2)術後再発例

3)非典型的な静脈瘤(陰部静脈瘤(varicose vein of pelvic origin))

大伏在静脈や小伏在静脈を介したような典型的な静脈瘤とは異なり、月経、妊娠などで、増悪する、静脈瘤。大腿内側、背側から膝裏にかけて痛み、だるさを伴う。

骨盤うっ滞症候群(婦人科患者の慢性骨盤痛の原因の30-40%)(6か月以上の非周期的に持続する骨盤・腹部・背部の鈍痛)とも連動している場合がある。

方法)

翼状針で、数か所へポリドカスクレロールと空気を混合しFOAM(泡)を注入します。術後圧迫、弾性ストッキングをはいていただきます。

3-6か月経過観察し、残存しているようならば追加治療を考えます。

副作用)

色素沈着、痛み、腫れなど

  • 3mm以上の静脈瘤

股の付け根からの静脈(大伏在静脈)か、膝裏からの静脈(小伏在静脈)の弁不全が、主な原因です。

1. 大伏在静脈の場合

  1. 血管内塞栓術
  2. 血管内焼灼術
  3. 高位結紮術 ※1~3の中から適切な方法を選択します
  4. 静脈抜去術(静脈瘤そのものをすべて取り去ってしまう)痛み、出血、長い入院期間などの理由から当院では行っておりません。
2. 小伏在静脈の場合
高位結紮術を基本術式としています

1.血管内塞栓術(ベナシール)について

2019年12月に国内に認可され保険適応された新しい治療法です。
この方法は、2020年7月現在、愛知県で4か所のみです。岐阜県では2020年9月から当院1か所のみで開始いたします。

膝内側の刺入部に局所麻酔を行った後、同部位から静脈内に細い管を挿入し、血管の中へ接着剤を注入し、閉塞させる方法です。
従来の下肢静脈瘤の血管内焼灼術(レーザー治療、ラジオ波治療)に比べて、多くの利点があります。

  1. 熱を伴わないため、痛みや火傷が起こらない。
  2. 血管周囲の局所麻酔薬を使用する必要がない。
  3. 術後弾性ストッキングを必要としない。
  4. 中止薬が無い。

※静脈瘤の場所・形態により、血管内塞栓術に適さない場合がございます。
また、以下の場合は、この治療法は適しません。

  • 深部静脈血栓の既往
  • シアノアクリレートへのアレルギー
  • 複数のアレルギー
  • アレルギー薬内服中
  • 膠原病
  • 肉芽腫

手術手技の流れ

1. 静脈内へカテーテルを挿入します

2. エコーガイド下に、カテーテルを操作します

3. カテーテルから糊を押し出します

4. 糊が、静脈内で血液と凝固します

5. 挿入部に絆創膏を貼り終了です

資料提供:コビディエンジャパン株式会社

手術スケジュール

  1. 外来で、術前評価(静脈瘤の評価、手術するべきか否か、手術を行う際の全身状態の把握)を行い、手術日程決定、準備説明などを行います。
  2. 手術当日、手術時刻1時間前に入院、準備を行います。1-2か所の局所麻酔で行います。痛いかどうか多くの患者さまが心配されますが、局所麻酔の注射(腕の採血程度)を過ぎれば、それ以上に痛みはありません。リラックスしていただくために、ご希望の音楽を流しています。例)80才女性、美空ひばり。55才女性、ユーミン。30才男性、米津玄師など。お話ししながら、手技を進めます。
  3. 片足であれば30分―1時間程度で終了します。
  4. 病棟で30分安静後歩行していただき、問題ないことを確認し、ご帰宅いただきます。帰宅後は、安静にする必要はなく、通常どおり生活していただきます。大事をとって安静にしておくとかえって、余分に深部静脈血栓などができることがございます。翌日、創部観察し問題がないことをご確認いただきます。この翌日、御自分だけで創部観察することに不安を感じます方は、1泊2日で行います。その場合、手術の翌朝スタッフが介助します。手術から2日後夜からシャワーを許可します。
  5. 約1週間後外来受診し、超音波検査で問題なければ外来通院は終了です。この際、もう一度、CT画像を用いながら、実際どのような手術を行ったのか説明します。入浴(風呂)を許可します。
  6. 一般的に治療された静脈は閉塞し、6か月から1年かけて、無くなります。それまで、ツッパリ感、ごろごろ感はしばらく残ることがあります。静脈瘤が6か月後以降に症状が気になる場合、再評価します。

術後制限

  • ジョギングなど軽い運動、仕事は、翌日から可。
  • 激しい運動(マラソン、登山、ウエイトトレーニング)は7日間禁止。
  • シャワーは、2日後夜から可。入浴は次回外来にて評価します。

2.血管内高周波焼灼(しょうしゃく)術について

下肢静脈瘤の血管内レーザー治療は2011年より健康保険適用の治療となりました。当院では、高周波カテーテル治療器(ClosureFastTM)を用いた血管内焼灼(しょうしゃく)術を行っています。この高周波焼灼術は、最高 120℃ のより低いカテーテル温度で下肢静脈瘤を凝固閉塞させることができるため、より低侵襲・安全な治療法であると考えられております。

血管内高周波焼灼術は従来の外科的治療法と比較し、皮膚切開が少ない・術後の疼痛が少ない・術後感染症のリスクが少ないなどのメリットがあると考えられます。

*静脈瘤の場所・形態により、血管内焼灼術に適しない場合がございます。

資料提供:コビディエンジャパン株式会社

手術手技の流れ

  1. 外来で、術前評価(静脈瘤の評価、手術するべきか否か、手術を行う際の全身状態の把握)を行い、手術日程決定、準備説明などを行います。
  2. 手術当日、手術時刻1時間前に入院、準備を行います。局所麻酔で行います。痛いかどうか多くの患者さまが心配されますが、いくつかの局所麻酔の注射(腕の採血程度)を過ぎれば、それ以上に痛みはありません。リラックスしていただくために、ご希望の音楽を流しています。例)80才女性、美空ひばり。55才女性、ユーミン。30才男性、米津玄師、というように、お話ししながら、手技を進めます。
  3. 片足であれば30分―1時間程度で終了します。包帯をまいて病室に帰ります。帰宅後は、安静にする必要はなく、通常どおり生活していただきます。大事をとって安静にしておくとかえって、余分に深部静脈血栓などができることがございます。
  4. 30分安静後歩行していただき、問題ないことを確認し、ご帰宅いただきます。(通常、日帰りプラン)翌日、創部観察し、包帯をとりはずし、弾性ストッキングをはいていただきます。この翌日、御自分だけでストッキングを履くことに不安を感じます方は、1泊2日で行います。その場合、手術の翌朝スタッフが介助します。手術から2日後夜からシャワーを許可します。弾性ストッキングは手術後2週間くらい履いていただきます。
  5. 約1週間後外来受診し、問題なければ終了です。この際、もう一度、CT画像を用いながら、実際どのような手術を行ったのか説明します。入浴(風呂)を許可します。
  6. 一般的に焼灼された静脈は閉塞し、6か月から1年かけて、無くなります。それまで、ツッパリ感、ごろごろ感はしばらく残ることがあります。静脈瘤が6か月後以降に症状が気になる場合、再評価します。

3.高位結紮(けっさつ)術について

局所麻酔で1~2cmの皮膚切開を数箇所(状態によって変わります)行います。弁が壊れている静脈の根元を縛ることで血液の逆流を止めます。残った静脈瘤に必要に応じて硬化剤を注射します。当院では、術直前に表在血管用超音波検査を行い逆流のある血管(根元だけでなく、穿通枝静脈も)を確実に同定して結紮します。特に、静脈瘤が太く、他の治療法(血管内焼灼術や塞栓術)が適さない場合に有効です。小伏在静脈は、神経が併走しているため術後神経障害が心配されることなどから、この高位結紮術を第一選択としています。膝の裏は、関節の曲がる場所にあります。そのため、正座を習慣的に行う場合など、術後再発する危険性がございます。