ハートセンターなのにフットケア?って思う方もいるかも知れません。実は心臓の働きや血管の硬さと足には深い関係があるのです。
歩くのがつらい、痛いとなると日常生活も思い通りにいかなくなります。すると多くの方は歩かなくなり、足の症状が更に悪化すると言った悪循環が生まれ生活の質も落ちかねません。自分の足で歩くということは足の健康を守る=健康寿命を延ばすことにつながるのです。
当院に来院される患者様の中にも「最近、足に違和感があるんですよね」と足の相談をされる方が多くいらっしゃいます。そのような方々は適切なフットケアをしないと歩けなくなるかも知れません。私たちは、一生自分の足で歩き続けてもらうためにひとり一人がもっと自分の足への関心を持ってほしいと願っています。
そこで、私たちは皆様の足の健康を守るためのフットケア活動を行っています。

血流が悪くなり歩行困難となった「足」を守るために

当院には動脈硬化により足の血流が悪くなり、その血流改善のための治療目的で入院される患者様が多くみえます。血流が悪いと足に出来たちょっとした傷も治りにくくなり、正しいケアがされないとみるみるうちに悪化し歩行が困難な状態になることもあります。そのため必要時には入院中に爪や角質(胼胝・鶏眼・肥厚した踵)のケアを行い、当院フットケアチームが作成した「あしケアのすすめ」というパンフレットを用い、足の観察方法や日々のケア方法、生活上の注意点を患者様と一緒に確認していきます。履物の選択や靴紐の結び方、正しい歩行方法のレクチャーも行い、退院後もご自身で足の健康を守っていただけるような支援を行っています。

むくんでしまった「足」を守るために

また、心不全により心臓の働きが弱くなり、足がむくんだ患者様や、心不全と合併した廃用性浮腫 起立性浮腫 静脈性浮腫などの患者様も多くおられます。このような浮腫に対しての看護介入としては、圧迫療法や運動療法、マッサージ、スキンケアを行っています。まずは、患者様の足の状態を観察し、担当医に相談を行い、どのようなケアが必要か選定し介入しています。圧迫療法は10種類からの筒状包帯、弾性ストッキングや弾性包帯を使用しています。筒状包帯はコットン製で通気性に優れたうす手の包帯です。様々な患者様の足の状態に対応し、高齢者の患者様も着用が容易に行うことができます。
運動療法では、ベッドサイドでも行える運動療法として、下腿三頭筋運動、足首屈筋郡トレーニング、前頸骨筋トレーニングなどの下肢筋ポンプ運動の指導を行っています。マッサージは入浴中でもできる簡単な静脈やリンパ節の流れを促すフットマッサージ指導を行っています。スキンケアは皮膚の湿潤環境を整える保護材としてセキューラやヒルドイドローションの導入を行っています。これらの4つの看護介入を行い、入院時から在宅までの生活を考慮した介入を実施することで患者様の浮腫の軽減に務めさせて頂いています。
一人でも多くの方の足が楽になっていただけるよう、私たちはこのようなフットケア活動を続けていきます。